世界最大の「ラグジュアリー帝国」であるLVMHグループ。これは「完成」への最後の総仕上げなのか!?

2023年2月、時計業界、ファッション業界を驚かせるある噂が世界中を駆け巡った。それは「LVMHグループがリシュモン グループの買収を考えている」というもの。今回は、業界を騒然とさせたこの「噂」について考察する。

まさかまさかの「噂」

　2023年2月28日「モエ・ヘネシー ルイ・ヴィトン グループが、リシュモン グループを買収したいと考えている」という噂が世界を駆け巡った。筆者がこのニュースを読んだのは「FASHONSNAP」という日本のファッション系のウェブマガジンであった。時計業界を知る人ほど、この噂は「あり得ない冗談」だと思ったはず。筆者も、もちろんそう思ってFacebookに「まさかまさかの噂」というコメント付きで投稿した。

「FASHONSNAP」のネタ元は、香港に本拠地があるウェブマガジン「HYPEBEAST」。さらにネタ元を探っていくと、この噂の元の元は、スイスの経済新聞メディア「Finanz und Wirtschaft」に、2月15日に掲載された記事だったことが判明した。

　2月21日にアメリカの金融系メディア「Seeking Alpha」がこの情報を掲載。

　さらに英国の時計業界ウェブサイト「WATCHPRO」の主筆であるロブ・コーダーは2月27日に、「Markets unmoved by rumours of LVMH acquiring Richemont」という記事を書いている。

　辛口のコーダーは「金融市場ではこの噂を真に受ける奴はほとんどいない」とし、その理由を「閉じたドアの向こうから聞こえてきた囁き」のようなものだから、と述べて「一笑に付して」いる。