Watches & Wonders 2023で発表されたモデルを中心に、2023年のグランドセイコー新作時計をまとめて紹介。注目はグランドセイコー初の機械式クロノグラフを採用した「エボリューション9 コレクション テンタグラフ SLGC001」だ。
エボリューション9 コレクション テンタグラフ SLGC001
グランドセイコー初となる機械式クロノグラフCal.9SC5「テンタグラフ」および、これを搭載する「エボリューション9 コレクション テンタグラフ」が発表された。
セイコーは、1969年に機械式自動巻きクロノグラフを世界に先駆けて量産を開始したパイオニアのひとつであり、グランドセイコーにおいてはスプリングドライブ式クロノグラフをラインナップしてきた歴史を持つ。
ダイアルは、星々がきらめく夜の岩手山を表現したもので、山肌から着想を得た繊細なパターンに、透明感のあるブルーを組み合わせている。自動巻き(Cal.9SC5)。60石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約72時間。ブライトチタンケース(直径43.2mm、厚さ15.3mm)。10気圧防水。181万5000円(税込み)。6月9日発売予定。
しかし、グランドセイコーにはこれまで、機械式クロノグラフがラインナップされてこなかった。本作の登場はグランドセイコーの新たな一歩と呼べるだろう。
「テンタグラフ」とは「Ten beats per second, Three days, Automatic chronograph」すなわち、本作の特徴である10振動、クロノグラフ作動状態で約3日間のパワーリザーブを備える自動巻きクロノグラフを意味する。これらの性能の達成を支えるのが、2020年発表のCal.9SA5に搭載して市場投入された伝達効率の高い「デュアルインパルス脱進機」である。
これ以外にも、グランドセイコーにふさわしい「正確な計測と操作性、耐久性」の確保のため、指針ずれや針飛びが抑制され、コラムホイールや三叉ハンマーにより計測開始/停止、リセットの操作感が高められている。
また本作を機に、従来の「新グランドセイコー規格」の試験に加えて、クロノグラフを作動させた状態かつ3方向の姿勢で精度評価を行うメカニカルクロノグラフのための精度規格が設定された。
デザインは、世界的に評価されている「エボリューション9 スタイル」を基にしながら、スポーツウォッチとして求められる「瞬時の判読性、直感的に分かる操作性、頼れる堅牢性」を追求して開発されている。
また、ケースとブレスレットにはブライトチタンを採用しつつ、重心が低くなるように形状が最適化されており、優れた着用感が期待できる。
マスターピースコレクション 手巻スプリングドライブ 彫金 限定モデル SBGZ009
スプリングドライブの特徴であるスイープ運針によって、グレーのテンパー処理が施された秒針がダイアル上を滑るように進み、静かに移ろいゆく時の流れを表現している。手巻き(Cal.9R02)。39石。パワーリザーブ約84時間。Ptケース(直径38.5mm、厚さ9.8mm)。3気圧防水。951万5000円(税込み)。世界限定50本。6月9日発売予定。
手作業による彫金が施されたケースと型打ちダイアルで荘厳な白樺林を表現した限定モデル「マスターピースコレクション 手巻スプリングドライブ 彫金 限定モデル SBGZ009」が発表された。
本作は、ザラツ研磨で歪みのない鏡面に磨き上げたプラチナケースに彫金を施し、ベゼルからかん足にかけて広がる深く長い彫金によって、深い雪の中でも存在感を示す白樺の力強さを表現している。
ダイアルはケースと呼応するメタリックカラーを採用し、白樺をイメージした有機的な型打ちを施している。その効果によって、太陽の光を浴びて煌めく雪景色のように、光によって繊細な輝きを生み出している。
時分針とインデックスは14Kホワイトゴールド製で、6時位置には金無垢インデックスを採用していることを示すSD(Special Dial)マークがあしらわれ、本作の特別性を示す。
ムーブメントは、高級時計専門工房「マイクロアーティスト工房」による手巻きスプリングドライブムーブメント、Cal.9R02を搭載する。これは、厚さ4.02mmと現行のグランドセイコー用スプリングドライブムーブメントとして最も薄いもので、本作のスリムで洗練されたスタイリングの実現に貢献している。
マスターピースコレクション スプリングドライブ 8Daysジュエリーウォッチ 限定モデル SBGD213
12時位置にはブルーサファイアを3石、3・6・9時位置は他よりもわずかに幅広のサファイアを採用して視認性を確保するなど、華やかさの中にグランドセイコーが重視する実用性が兼ね備えられている。手巻き(Cal.9R01)。56石。パワーリザーブ約192時間。Ptケース(直径44.5mm、厚さ14.4mm)。10気圧防水。3080万円(税込み)。世界限定8本。6月9日発売予定。
ブランドを象徴する獅子をダイヤモンドとブルーサファイアで表現したジュエリーウォッチ「マスターピースコレクション スプリングドライブ 8Daysジュエリーウォッチ 限定モデル SBGD213」が発表された。
本作はホワイトライオンを題材とした2022年発表の「SBGD209」のデザインを引き継いだ新作で、ブランドカラーであるブルーを随所に取り入れている。
ダイアルの中心部は、ブルーを施した白蝶貝を採用し、ダイアルにはダイヤモンドとブルーサファイアを配置して分目盛りとしている。
現在のセイコースタイルを確立した44GSを思わせるケースシェイプを備え、ケースのかん足にもダイヤモンドをセットし、獅子の研ぎ澄まされた爪の美しい輝きを表現している。
ムーブメントは、マイクロアーティスト工房が手掛けるキャリバー9R01で、その仕上がりはすでに高い評価を得ている。ケースバックから覗くムーブメントデザインも独自性があり、スプリングドライブ誕生の地から霊峰富士山を望む情景が描かれている。