近年、各社が目を向けるようになったゴルフウォッチというジャンル。しかし、完成度の高さで言えば、今なおヤーマン&ストゥービのコレクションは、頭ひとつ抜きんでた完成度を持つ。見やすく、使いやすく、そして壊れにくい。ゴルファーが作り上げたヤーマン&ストゥービの時計は時計とゴルフを好む人たちにとって、うってつけの相棒となるに違いない。
ヤーマン&ストゥービの代表作。すべてのゴルフカウンターは、8、9、10時位置のプッシャーとボタンだけで操作可能。加えて、初出から15年以上経つスコアカウンターモジュールは、信頼性にも優れている。プロが使用するのも納得だ。C.O.S.C.認定クロノメーター。自動巻き。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径44mm)。100m防水。109万7800円(税込み)。
広田雅将(本誌):取材・文 Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
Edited by Kouki Doi (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2023年5月号掲載記事]
ヤーマン&ストゥービの作り上げたスコアカウンター付きウォッチ
ゴルフのプレー時に使われるスコアカウンターを腕時計に組み込むというアイデアは昔からあった。かのジェラルド・ジェンタも、この機構を腕時計に加えたことがある。しかしスコアカウンター付きの腕時計は、あくまで好事家向けのガジェットに過ぎなかった。ヤーマン&ストゥービの創立以前は、である。
同社を起こしたウルス・ヤーマンは、ゴルフのプレー中に、ヤードをメートルに変換したり、ストローク数を数えることが集中力を削ぐと感じていた。彼はたまたま時計師のパスカル・ストゥービと出会い、共にゴルフ場で使える、ゴルフ専用の時計を作ろうと考えた。ふたりはサプライヤーの協力を得て、2007年に、かつてない機械式のゴルフウォッチを完成させた。これは腕に巻ける大きさにもかかわらず、ホールごとのストローク、総ストローク、そしてプレーしたホール数がカウント可能なものだった。
加えてヤーマン&ストゥービのゴルフウォッチは、ふたつの点で革新的だった。見やすく、操作が簡単で、しかも耐衝撃性に優れていたのである。スイング時には、1ミリ秒間に20〜40Gもの重力加速度が発生するため、そもそも機械式腕時計はゴルフに向かない。対してヤーマン&ストゥービは、ムーブメントの中枠にショックを吸収するラバーを加えただけでなく、ゴルフカウンターを頑強にすることで耐衝撃性能を改善した。創業者がゴルフ愛好家なればこその設計である。
今や、各社も追随するようになったゴルフウォッチ。しかし、見やすさ、使いやすさ、そして信頼性を考えれば、ヤーマン&ストゥービの腕時計は、今なお群を抜いている。多くのプロに好まれるのも当然ではないか。
<凡例>
❶ 総スコア表示 ❷ ストローク表示 ❸ リュウズ ❹ ストローク用プッシャー ❺ リセットボタン ❻ ハンディキャップ比較ベゼル ❼ 次ホール用プッシャー ❽ ホール数カウンター
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