チューダーが2023年のウォッチズ&ワンダーズで披露した新作「ブラックベイ 54」は、コレクションの中でも“小さな”ダイバーズウォッチだ。単なるレトロウォッチに止まらない本作は流石の完成度で、時計愛好家にも刺さる実用機と言えるだろう。
広田雅将(クロノス日本版):取材・文
Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
2023年4月7日掲載記事
Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
2023年4月7日掲載記事
レトロなデザイン、モダンなディテール
毎年意欲作をリリースするチューダー。2023年のハイライトは、手頃なサイズに収めた「ブラックベイ 54」だ。直径37mm、厚さ11.24mmというサイズは、おそらく多くの人が待ち望んでいたもの。見た目はレトロだが、ディテールがきちんとモダンになっているのも、今のチューダーらしい。
コンパクトなサイズを持つダイバーズウォッチ。レトロなディテールを盛り込んでいるが、むしろ見るべきは、使えるパッケージングだろう。触った限りでいうと、時計部分とブレスレットのバランスも秀逸だ。自動巻き(Cal.MT5400)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS(直径37mm、厚さ11.24mm)。200m防水。49万6000円。
2015年に自社製ムーブメントを発表して以来、チューダーは着々とバリエーションを増やしてきた。現在、メインとなるのは3種類。キャリバーMT5202(直径20mm、厚さ5.5mm)、キャリバーMT5402(直径26mm、厚さ5mm)、キャリバーMT5602/12(直径31.8mm、厚さ6.5mm)の3つだ。
MT5402とMT5602には、地板とローターを拡大したMT5400(直径30.3mm)とMT5621(直径33.8mm)もあるが、これはバリエーション違いと考えていい。さておき、サイズの違う3種類の自動巻きは、チューダーのコレクションを急激に広げることとなった。
そのひとつが、2023年に発表された「小さな」ダイバーズウォッチ、ブラックベイ54だ。
こちらは原型となった1954年の「サブマリーナー」(Ref.7922)。2023年のブラックベイ54は、このデザインコードを継承している。直径6mmのリュウズも同じ。ただしブラックベイのコードにそろえるため、針はスノーフレーク針に変更された。