2019年のシンガポール開催を最後にアナウンスのなかった「パテック フィリップ・ウォッチアート・グランド・エキシビション」が約4年ぶりに、ここ日本で催される。稀少なタイムピースの展示はもちろん、パテック フィリップの製作現場の雰囲気もこの目で確認できる時計愛好家にとって貴重な機会。まずは、特に注目すべき5つの見どころを押さえつつ、来るべき6月のイベントを期待して待ちたい。
[クロノス日本版 2023年5月号掲載記事]
ジュネーブ、来臨
2012年のドバイを皮切りに、13年にはミュンヘン、その後は2年おきにロンドン、ニューヨーク、シンガポールと、世界各地で開催されてきた「パテックフィリップ・ウォッチアート・グランド・エキシビション」。その4年ぶり6回目となる開催地に選ばれたのが、東京だ。
このグランド・エキシビションは、ジュネーブのローヌ通りにある本店サロンやミュージアム、さらには本社工房といった、パテック フィリップにとっての重要拠点の雰囲気を再現しつつ、ミュージアムから厳選した歴史的なタイムピースや新作を含む全ての現行コレクションを展示するイベント。館内は数々のテーマ・ルームに分けられ、史上最大規模となる2500㎡以上ものスペースに500点を超える時計やオブジェが並ぶという。
その中には、日本の文化や自然をテーマに制作された稀少なハンドクラフトピースの展示や、同社が誇るミニット・リピーターにフォーカスしたテーマ・ルームも設置予定だというから、過去最高に充実した内容になるだろう。
一方で、17年にニューヨークのグランド・エキシビションを取材した本誌編集長・広田雅将によれば、当時のもうひとつのハイライトが「開発や制作に携わっている時計師やアルティザンと直に話ができた」こと。貴重な時計の鑑賞や開発者とのコミュニケーションを通じて「パテック フィリップの凄みが理解できる」という。今回もウォッチメーカー・ルームが設置されることを踏まえれば、開発者や時計師に直接話を聞けるような貴重な機会も得られるはずだ。
これはまさに、パテック フィリップの過去と現在に加え、その裏側までもを体感できる一大イベント。時計愛好家であれば会期中、一度ならず二度、三度と足を運ぶべきものであることは間違いない。
Highlight ①
ウォッチメーカー・ルームで技術者自らが時計を組み立てながら解説
会場には、技術者が常駐するウォッチメーカー・ルームも設置され、時計を組み上げる様子を目の前に、その技術についての説明も受けられる。さらに自社開発・製造ムーブメントを展示する専用エリアも設けられ、複雑時計の機構も見られるというから、時計愛好家にとっては実に貴重な機会となるだろう(写真は2015年ロンドン)。
Highlight ②
日本の情景を精緻な技術で表現したレア・ハンドクラフト・ピースを展示
過去のグランド・エキシビションでも、開催国へのオマージュを示したアートピースが展示されてきたが、今回も伝統的な技法を用いて日本の文化や自然を表現した数々のレア・ハンドクラフト・ピースが披露される。
また、金線七宝で富士山や桜、着物を着た女性といった、日本を象徴するモチーフが描かれたドーム・テーブルクロックや、鶴が優雅に舞う姿を描いたポケットウォッチなど、日本人オーナーが所有した時計を鑑賞できる特別なルームもある。日本とパテック フィリップとの深い関わりも実感できるはずだ。
Highlight ③
貴重なミュージアムピース約180点が日本でじっくりと鑑賞できる
創業から184年もの長い歴史を持つパテック フィリップだけに、数多くの歴史的貴重なタイムピースを鑑賞できるのも、このエキシビションの醍醐味だろう。
1851年にイギリスで開催された世界初の万国博覧会に際し、ヴィクトリア女王に献上されたと言われるペンダント・ウォッチをはじめ、創業150周年の節目となった1989年発表の超複雑時計「キャリバー89」、さらには1953年に製造されたブランド初のワールドタイム・ウォッチRef.2523など、選りすぐりのミュージアムピース約180点が、ここ日本で鑑賞できるまたとないチャンスだ。
Highlight ④
新作を含むパテック フィリップのすべての現行モデルが一堂に集結
パテック フィリップの歴史と偉業が理解できるミュージアムピースと併せて見逃せないのが、全現行モデルの展示。写真は今年の新作の5つのチャイム機構や第2タイムゾーン表示、永久カレンダーなど、20種類もの複雑機構を搭載したリバーシブル・ケース採用のモデル「グランドマスター・チャイム 6300GR」。
こうしたグランドコンプリケーションを筆頭に、パテック フィリップの人気が世界的に高まっている現在、店頭ではなかなか目にすることのできない稀少なモデルも閲覧できるなど、ブランドの“現在の姿”も存分に楽しめる内容だ。
Highlight ⑤
エキシビション史上初のマスター・オブ・サウンド・ルームで極上のミニット・リピーターを体感
グランド・エキシビション初の試みであり、時計愛好家であれば確実に足を運んでおきたいのが、マスター・オブ・サウンド・ルーム。
カセドラル・ゴングを備えたグランド・コンプリケーション・モデル「5374」(右)や、グランドソヌリ、プティソヌリ、ミニット・リピーターをひとつの腕時計に搭載した「6301P」(左)など、パテック フィリップの高い技術力が実感できるチャイム・ウォッチの数々を閲覧できるのみならず、なかなか聴くことのできなかったその音色を体験できるチャンスがあるかもしれない。
パテック フィリップ ウォッチアート・グランド・エキシビション(東京 2023)開催概要
●開催期間:2023年6月10日(土)~6月25日(日)
●会場:新宿住友ビル 三角広場(東京都新宿区西新宿2-6-1)
●開催時間:10:00~20:00(入場は閉館の1時間前まで)
●観覧料:無料 ※事前予約が必要です。
●ウォッチアート事務局:info@watchart2023.jp
チケットの入手方法はこちら
www.patek.com/WatchArt2023
https://www.webchronos.net/features/93342/
https://www.webchronos.net/features/89512/
https://www.webchronos.net/features/40276/