G-SHOCKの新モデル「フロッグマン GW-8230NT-4JR」を着用して分かったこと。オリジナルモデルに思い入れのある人も満足の1本だ!

2023.04.13

今回インプレッションモデルとして着用するのはG-SHOCK「フロッグマン」GW-8230NT-4JRだ。どんなカジュアルスタイルにもマッチし、頼れるスペックを持つ本作は、かつてフロッグマンを手にした人も、新たに手にする人にとっても満足できるクォリティであった。

GW-8230NT-4JR

ミリタリージャケットのグリーンに映えるレッドの外装。ダイビングに好適なのは間違いないが、さまざまなカジュアルスタイルにマッチする点はG-SHOCKの魅力だ。
佐藤しんいち:文
Text by Shin-ichi Sato
2023年4月13日掲載記事

G-SHOCK フロッグマン30周年を祝う1本

 今回のインプレッションはG-SHOCK初のISO規格に準じたダイバーズモデルとして注目を集めた「フロッグマン」の30周年記念モデル「GW-8230NT-4JR」である。本作のベースとなったのは赤い外装が人気を集めた「DW-8200NT」で、オリジナルモデルと同様に本作にもチタン製ケースが採用されている。

 筆者にはフロッグマンにちょっとした思い入れがある。20年以上前に「フロッグマンDW-9900-8」を購入して15年ほど愛用していたのだ。本作と同様にチタン製ケースを採用しており、日常で目にする機会の多いステンレススティールやアルミニウムと異なる質感に興味を覚えつつ、硬派なツールウォッチの佇まいに興奮したのを覚えている。

GW-8230NT-4JR

G-SHOCK「フロッグマン」GW-8230NT-4JR
クォーツ。タフソーラー。パワーリザーブ:機能使用時 約14ヵ月、パワーセービング状態 約36ヵ月。Ti×バイオマスプラスチックケース(縦52×横50.3mm、厚さ18mm)。200m防水。7万7000円(税込み)。

 あの時の興奮は思い出の中のものだろうか、それとも本作でもそれを感じることができるのだろうか。そんな少しの不安を感じながらインプレッションを開始した。


ISO規格を満たす堅牢さを備えながら軽快さを生むチタン製ケース

 フロッグマンの特徴は、200m防水を備えるISO規格に準じた本格ダイバーズモデルであることだ。

 数値上は近似の20気圧の防水性能というスペックは一般的なG-SHOCKでも見られるものであるが、本作ではISO規格に準じるため1.25倍以上の安全率を見積もった防水性能などを備えるほか、規格に定められた外力への耐性を満たすために、より強固なケースが必要となる。

 そのために用意されているのがチタン製ケースだ。強度を増すためにはケースの厚みを増す必要があるが重くなる。ステンレスを使用するとG-SHOCKのラバーストラップでは重量バランスが取れないと判断したのか、チタンを採用することでヘッドのバランスを取っている。

 フロッグマンとしては、本作のベースとなった2代目フロッグマン「DW-8200」からチタンを採用しており、G-SHOCKの中でチタン採用が比較的早かったように記憶しているし、フロッグマンといえばチタンの採用というイメージがある。

 G-SHOCK以外にダイバーズウォッチは数多あり、それらに対するG-SHOCKのアドバンテージを考えたうえで、ステンレスモデルには無い軽快さを生み出すためにチタンの採用に至ったのではないか? と筆者は考える。もしそうなら、ユーザーが求めるもの、G-SHOCKに対するイメージをカシオが良く理解していると言えるだろう。

 現在のフロッグマンは、本作のようなチタン製ケースの他に、カーボンモノコックケースを採用した「GWF-A1000XC」があり、高性能素材を採用したコレクションという位置付けがなされている。


フロッグマンらしさとG-SHOCKらしさが同居するデザイン

 外観上の特徴は、9時側に飛び出した非対称なシルエットに、爪状の外装がケースを掴んでいるようなデザインである。非対称シルエットは、大型のケースでありながら手の甲に干渉しない形状とするためである。そのほか、ダイビング中の誤操作を防止する大きめのボタンガードも目を引く。

GW-8230NT-4JR

ストラップ固定部分の突起は、固定部のねじを保護するためのガードだ。ハードなダイビングユースでもねじへのダメージを回避し、ストラップの脱落を防ぐ設計思想だ。ボタンガードも有無が使い分けられており、ダイビング中の押しやすさに考慮した設計がなされているのが分かる。

 フロッグマンのデザインを紐解いて特徴を細かく挙げだすときりがないのであるが、筆者を含めたファンがひと目見て「これはフロッグマンシリーズだ!」と感じさせるエッセンスが豊富にある。

 本作は2代目フロッグマンの復刻なので、正確に言えばベースとなったDW-8200NTのデザインコードが現在にも引き継がれていることになる。それと同時に、G-SHOCKに詳しくない人が本作を見た場合には「G-SHOCKだ!」と分かる一貫したシルエットを備えている。

 このように、ラインナップ毎にデザインコードがしっかりとしていること、それでいてG-SHOCKのデザインイメージを逸脱しない点は、G-SHOCKの企画の上手さである。


G-SHOCKが地道に進歩させてきた外装

GW-8230NT-4JR

くっきりとした文字のエンボスは視認性が高まるほかに、全体の見栄えもぐっと良くなる。

 近年に発表されたG-SHOCKの外装品質は上がっている。それは、「MRG-B5000」を始めとした金属製モデルに限らず、本作のような樹脂外装にも当てはまる。網羅的に確認できているわけではないが、以前に筆者がインプレッションしたDWE-5600CCをはじめとして、エッジや文字のエンボスはシャープになっている。

「LIGHT」や「LOG DATA」の文字のキレの良さを見ると分かりやすい。本作にはデザイン的に与えられていないが、深めの文字の掘り込みは以前の物より深くなり、鮮明な印象になっている。

 それら少しずつの改良によって、全体として見栄えが良くなり、精悍な印象を生み出している。なお、ベゼルとバンドはバイオマスプラスチックに改められて環境負荷低減が図られており、しっかりとコシがある以外に違いは感じられなかった。

GW-8230NT-4JR

DWE-5600CCの「G-SHOCK」の掘り込みは深く、シャープだ。近年に発表されたモデルは、このような改良を少しずつ受けている。(筆者私物)

 外装の改良を受けているか否かは、そのモデルの発表時期によって異なるため、いくつかのモデルで悩んでいる人はぜひ店頭で見比べてみることをお勧めする。