認定中古ロレックスの現在を名門時計店「ブヘラ」担当マネージャーが語る。地元スイスはもちろん、世界各国から購入希望者が!

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2023.04.12

昨年2022年12月、世界中のロレックス ファンを驚かせた「認定中古(Certified Pre-Owned=CPO)ロレックス」の登場。ロレックスが、中古時計市場を揺るがす画期的なこのプログラムの最初のパートナーに選んだのが、1888年にスイス・ルツェルンで創業した、ロレックスを超える130年の歴史を持つ名門宝飾時計店「ブヘラ(BUCHERER)」だ。果たして、CPOロレックスは実際、どのように販売されているのか? ウォッチ&ワンダーズ ジュネーブ(W&WG)開催中のジュネーブで、担当マネージャーに現地でインタビューした。

ブヘラのオフィシャルサイトに表示される「認定中古(Certified Pre-Owned=CPO)ロレックス」のバナー。
渋谷ヤスヒト:写真・文 Photographs & Text by Yasuhito Shibuya
2023年4月12日掲載記事


ジュネーブ旧市街の「ブヘラ」ローヌ通り店、5階の特別フロアで

ブヘラ・ジュネーブ店

ジュネーブ旧市街の高級ブランドが立ち並ぶローヌ通りに面したブヘラ・ジュネーブ店のエントランス。「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ」を意味する「W AND W」をかたどったオブジェが入り口に飾られ、ブヘラも「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ」の趣旨に賛同し、会場外でイベントを盛り立てていることを示す。

 筆者が、『クロノス日本版』の広田雅将編集長と共に、パテック フィリップやカルティエなど、名門時計ブランドのブティックや時計専門店が立ち並ぶジュネーブ旧市街のローヌ通りに面するブヘラの店舗を訪れたのは2023年3月30日の夕方。正面のエントランスを入って奥のエレベーターで5階に上がると、そこが、CPOロレックスが販売されているブヘラ・ジュネーブ店の認定中古時計売り場だ。ちょうどこの日は同じフロアで、H.モーザーやオートランスの新作展示会も開催されていた。

「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ」の期間中、会場外でもさまざまなブランドの展示会が行われていた。ブヘラ・ジュネーブ店においてもこの日、H.モーザーやオートランスの新作展示会が開催されていた。目印はエントランスの「W AND W」のオブジェだ。

 瀟洒なグレーのスーツ姿で取材に応じてくれたのは、プライベート・クライアント・マネージャーのローレン・フォア氏。ブヘラに入社したのは3年ほど前。ブヘラの前は、先日3月19日にUBSに買収されたクレディ・スイスに勤めていたという。

ローレン・フォア

ブヘラでCPOロレックス・プログラムを担当するプライベート・クライアント・マネージャーのローレン・フォア氏。

「私の担当業務はクライアント(顧客)をケアすること。そして、ゴルフクラブやさまざまなイベントに足を運んで、長くお付き合いさせていただく新しい顧客を開拓することです。ブヘラは創業当時から個人のお客様はもちろん、企業の皆さんとも良い関係を築いて参りました。CPOロレックスについて私からご紹介させていただけるのは大変に光栄です」


ブヘラは2019年からCPOウォッチビジネスを展開

「CPO=Certified Pre-Owned」という略称が目新しいこともあり、私たちはややもすると、ブヘラがロレックスから認定中古ウォッチビジネスをスタートさせたように思ってしまう。だが、ブヘラはそれより前から、他ブランドの時計でCPOウォッチビジネスをスタートさせていたのだ。

「私たちブヘラが専門チームを組織して、独自のCPOウォッチビジネスをスタートさせたのは2019年。オンライン/オフラインの両方で販売を行ってきました。私たちはこの分野の主要な担い手だと自負しています」

 ブヘラのオフィシャルサイトのトップページには「ROLEX CERTIFIDE PRE-OWNED」以外に「CERTIFIDE PRE-OWNED(認定中古)」というバナーがあり、このバナーにカーソルを当てると認定中古のページが表示され、左上にある「Show all watches」というブルーの文字をクリックすると、オメガやオーデマ ピゲ、ジラール・ペルゴ、ジャガー・ルクルト、IWC、カルティエ、パネライなど、現在、ブヘラで販売中の認定中古ウォッチが表示される。

CPOウォッチのページ

ブヘラは2019年より独自の「CERTIFIDE PRE-OWNED(認定中古)」ウォッチビジネスを展開する。これはオフィシャルサイトのロレックス以外のCPOウォッチのページ。

 また、ブルーの文字の下には「Discover Certified Pre-Owned」という項目や「Sell or Trade Your Watch」などの項目もあり、そこにはCPOウォッチの説明や、今自分が所有する時計をどうすればブヘラで査定してもらえるのかの説明が書かれている。

「CPOウォッチの中には私たちが新品を販売していないブランドのものもあります。ですが、私たちには時計を販売し、またお客様の時計をお預かりし、メンテナンスや修理をしてきた130年もの長い経験と実績があります。ここで販売するCPOウォッチは、このノウハウを活かして、独自の2年保証を付けて販売しています」

 ブヘラがCPOロレックス・プログラムの最初のパートナーに選ばれたのは、すでにこのCPOウォッチの3年にわたる経験と実績があるからだろう。CPOロレックスの「2年間の国際保証」も、このブヘラのCPOプログラムを参考に決められたのかもしれない。


買い取り&下取りした時計を社内で整備して独自に販売

 では、ここで販売されるCPOロレックスは、どこから入手して、どこで整備されたものなのだろうか?

「CPOウォッチの入手先はさまざまですが、ロレックスも他ブランドのCPOウォッチも、多くはスイス国内のお客様から私たちが査定を行ったうえで買い取りや下取りした時計を社内で整備・修理したものです。CPOロレックスの整備と修理に関しては、ロレックスの公認時計技術者の資格を持つ社内のスタッフが行う場合と、ロレックス本社で行う場合の両方があります」

CPOロレックスのコーナー

ブヘラ・ジュネーブ店の5階には、ロレックスを含む認定中古時計の売り場がある。エレベーターを降りると「BUCHERER Certified Pre-Owned」の表示が目に入る。その奥、右手の一角がCPOロレックスのコーナーである。

 顧客からの買い取りの場合は査定金額に加えて、その10%のバウチャーを発行。次の時計の購入に利用することができる。こうした工夫で、新しい時計やCPOウォッチの流通、売却によるリユースを促しているのだ。

 では、具体的にブヘラ・ジュネーブ店のこのショールームには、どのようなモデルがどんな価格で販売されているのだろうか? また、どんな人々がこちらを訪ねてCPOロレックスを購入しているのだろうか? そちらは後編でご紹介しよう。


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