アップデートされたノモス グラスヒュッテ「アホイ デイト アトランティック」。エレガントかつスポーティーなデザインが魅力

FEATUREWatchTime
2023.04.19

2022年にアップデートされた、ノモス グラスヒュッテの「アホイ デイト アトランティック」。同社らしいエレガントさと、「アホイ」コレクションの特徴であるスポーティーなデザインを兼ね備えたこのモデルだが、一体どのような点がアップデートされたのか? 今回はwatchtime.com編集部による着用レビューをお届けする。

アホイ デイト アトランティック

ノモス グラスヒュッテ「アホイ デイト アトランティック」
自動巻き(Cal.DUW 5101)。26石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径40.3mm、厚さ10.6mm)。200m防水。62万7000円(税込み)。
Originally published on watchtime.com
Text by Alexander Krupp
2023年4月19日掲載記事

アップデートを果たした「アホイ デイト アトランティック」

アホイ デイト アトランティック

リュウズプロテクターは、アホイコレクションに個性を与える魅力的なディテールだ。ノモス グラスヒュッテは、アホイコレクションと「タンジェント スポーツ ネオマティック 42 デイト」でしかリュウズプロテクターを採用していない

 2022年、ノモス グラスヒュッテの「アホイ アトランティック」がアップデートを果たした。「アホイ」コレクションは、同社の基幹コレクション「タンジェント」の、スポーティーな姉妹モデルのような位置付けだ。今回レビューする「アホイ デイト アトランティック」は、アホイ アトランティックの日付表示付きモデルとして、同じく2022年にアップデートが施された。

 “アトランティック”のモデル名は、ディープブルーの文字盤に由来する。アップデートによって、ゴールドカラーだったインデックスがホワイトになり、ゴールドプレーテッドの針はロジウムプレーテッドになった。

 さらに、ダークブルーだったインデックスの蓄光塗料はイエローに変更され、見た目がよりスポーティーになっている。一方、針の蓄光塗料は目立つライトブルーから、馴染みやすいホワイトに変更されている。これはエレガントさが失われないための工夫だろう。蓄光塗料の施された針とインデックスは、ノモス グラスヒュッテのエレガントさの特徴だ。

ノモス グラスヒュッテのウィングド・ピンバックル

ダイアルカラーと調和するブルーブラックのテキスタイルストラップには、2015年からノモス グラスヒュッテで採用されている自社製のウィングド・ピンバックルが付属する。

 ダイアル以外のディテールにも変更が加えられている。ドーム型のサファイアクリスタル風防は、従来のフラットガラスを採用したモデルよりも時計全体を高級に見せるだけでなく、汚れを防ぐ役割も果たす。アホイコレクションの特徴であるリュウズプロテクターは、タンジェントなどのエレガントでクラシックなモデルに比べ、さらに手の込んだ印象を与えている。

 さらに、デザインのみならず質的な面も改善された。裏蓋はプレス式ではなくねじ込み式になり、ねじ込み式リュウズと合わせて200mの防水性能を実現している。テキスタイルストラップは薄いが頑丈な作りで防水性がある。ノモス グラスヒュッテがこれまで採用してきたカーフレザーのストラップとは異なり、バックルによる摩耗やねじれの心配もない。


蓄光塗料を塗布したインデックス

アホイ デイト アトランティック

インデックスと時分針に蓄光塗料を塗布することで、暗所でも視認性が担保されている。

 文字盤の外周に配された長方形のインデックスは、イエローの蓄光塗料が塗布され、細いライトグリーンの線で縁取られている。

 ダークブルーのダイアルにイエローとグリーンという色の組み合わせを、デザイナーたちがなぜ選択したのだろうかと不思議に思う向きもあるだろう。しかし、この組み合わせは驚くほど調和しており、「アウトバーン」コレクションにもみられるノモス グラスヒュッテの大胆さが魅力となっている。


精緻を極めた自社製ムーブメント Cal.DUW 5101

アホイ デイト アトランティック

トランスパレントバックから鑑賞可能な自社製ムーブメントのCal.DUW 5101。グラスヒュッテ・ストライプやペルラージュ、青焼きネジなどの仕上げを堪能することができる。

 アホイ デイト アトランティックが搭載するのは、自社製自動巻きムーブメントのCal.DUW 5101だ。Cal.DUWを完成させるまで、ノモス グラスヒュッテの自動巻きモデルにはスイス製脱進機を備えた「ZETA」が主に搭載されていた。DUWは「Deutsche Uhrenwerke」の短縮形だ。ノモス グラスヒュッテは2014年にノモス スウィングシステムという脱進機を導入して以来、この名称を採用している。

 Cal.DEW 5101は直径31mmで、ノモス グラスヒュッテの中でも大ぶりなモデルに採用されている。ただし「大ぶりな」という概念は、同社のクラシックなモデルのサイズ感と比較してのものである。アホイ デイト アトランティックは直径40.3mm、厚さ10.6mm、重量はわずか70gで、一般的な腕時計としてはけして大きいものではない。

 Cal.DUW 5101の特徴のひとつに、ムーブメントの外周を囲む日付表示のデイトリングがある。これは大ぶりであるがゆえに可能な構造であり、ムーブメント全体の厚みを増やすことなく、より大きな日付表示を可能としている。視認性を高めることにも役立つこのムーブメント構造を、ノモスは「テレビジョン・デイト」と呼んでいる。

 トランスパレントバックからは、グラスヒュッテ・ストライプやペルラージュ、オープンワークが施されたローター、そして両方向の巻き上げを可能にする中間車の駆動などを鑑賞することができる。

 ノモス グラスヒュッテの自動巻きムーブメントには、厚みがわずか3.2mmしかないCal.DUW 3001などあるが、Cal.DUW 5101は厚さ4.3mmだ。ヒゲ持ちの脇には緩急の微調整ネジが取り付けられ、これを回すことでより微妙な調整が可能となっている。

 Cal.DUW 5101ができないこととしては、日付表示のクイック調整がある。それに代わる機能として、1段引きのリュウズを夜の9時から12時を経て、明け方前の3時まで進めることで、必要な分のデイト送りをすることができるようになっている。

 ノモス グラスヒュッテは、日付表示のクイック調整機能を2018年発表のCal.DUW 6101で初めて搭載している。それ以前のムーブメントでは、我慢するしかない。


個性を備えたオールラウンダー

アホイ デイト アトランティック

新生アホイ デイト アトランティックは、従来以上に調和の取れたデザインだ。

 ここまで見てきた通り、新しいアホイ デイト アトランティックはデザイン面においても機能面においても個性的なモデルだ。

 しかし、優れたデザイン性や視認性、快適な装着感、美しく装飾されたマニュファクチュールムーブメントなど、それぞれに調和が取れている。それゆえに“オールラウンドウォッチ”と呼ぶことができる完成度だ。ノモス グラスヒュッテだからこそ、絶妙に実現できたのである。



Contact info: 大沢商会 Tel.03-3527-2682


ノモス グラスヒュッテ「ラドウィッグ」。これは愛好家にこそ勧めたいシンプルウォッチだ!

https://www.webchronos.net/features/93652/
ノモス グラスヒュッテ「タンジェント ネオマティック」をレビュー。ポイントは自社製ムーブメントとバウハウスデザイン!

https://www.webchronos.net/features/91176/
ノモス グラスヒュッテ「テトラ ネオマティック グラスヒュッテ時計製造175年」をドイツ人ジャーナリストがレビュー

https://www.webchronos.net/features/92323/