2023年に、誕生から40周年(!)を迎えたG-SHOCK。今回は、初号機に付与されていた“DW-5000”品番を継承する「DW-5040PG」のレビューを実施。初号機とルックス面での大きな違いはないものの、ディテールの進化とデザインセンスは、記念モデルにふさわしい満足感を与えてくれた。
2023年4月20日掲載記事
記念モデルのハイライトは、進化したステンレススティールの仕上げ
最初のG-SHOCKブームが巻き起こった1990年代前半。この当時、筆者は学生でG-SHOCKが人気であることを知ってはいたものの、すでに病的にレコード(CD)を蒐集していたため、バイト代をG-SHOCKに充てる余裕も、また充てようという考えもなく、ブームをただ横目で見ていたことを覚えている。
そんな筆者が90年代中頃に初めて手にしたG-SHOCKが、ディスプレイ上部にセコンドインジケーターを備え、カーキに近いグリーンの外装をまとった「DW-6000」。これは当時好きだった女性が……って、それはどうでもいい。
とにかく、爆発的なブームにやや乗り遅れながらも、この「DW-6000」をきっかけにG-SHOCKとの付き合いが始まり、直近では(といっても、もう5年も前だが)フルメタルORIGINの「GMW-B5000D」も手にした。しかしながら、今回のインプレッションモデルも含め、“DW-5000”の品番が付与された最もベーシックなG-SHOCK──つまり“正統なORIGIN”をじっくりと手にするのは、実のところ初めてなのだ。
クォーツ。電池寿命約2年。SS×バイオマスプラスチック(縦48.9×横42.8mm、厚さ13.8mm)。20気圧防水。3万8500円(税込み)。
改めて、今回インプレッションした「DW-5040PG」は、1983年に誕生したG-SHOCKの初号機「DW-5000C」の直系となる40周年記念モデル。黒い樹脂製のスクエアケースにデジタル表示を備えており、一見したところは初号機のデザイン復刻バージョンではあるが、随所にアニバーサリーに相応しいアップデートが施されている。
なかでも特徴的なのが、再結晶化と深層硬化処理を施したステンレススティール製パーツ。「DW-5040PG」は40周年のハイライトとなるRECRYSTALLIZED SERIES(リクリスタライズド シリーズ)にラインナップされており、同シリーズの他モデル「GMW-B5000PS」と「GMW-B5000PG」がケースとブレスレットの全面に同様の処理を施して存在感を放っているのに対し、「DW-5040PG」ではケースバックと尾錠と遊環にのみ、この新しい技術を用いてデザインのアクセントとしている。
また、黒で統一されたアウターケースとストラップは初号機と同様のルックスではあるものの、素材は一新され、再生可能な有機資源を原料とするバイオマスプラスチックが用いられているのも、2023年の現在に相応しいアップデートと言えるだろう。
特別なモデルであることを示すダイアルの意匠
「DW-5040PG」を手首に乗せると、まず実感するのが適度な重さだ。通常の樹脂製モデルはセンターケースにも樹脂を用い、裏蓋には薄いステンレススティールを採用しているため軽量化が図られているが、このモデルではセンターケースと裏蓋をステンレススティールにするのみならず、裏蓋の厚みも初号機を踏襲。そのため、G-SHOCKの一般的な樹脂製モデルよりも重量感があるのだという。
もちろん、その重さはフルメタルの「GMW-B5000」ほどではなく、しかも時計の重心が下がっているため装着感は良好。むしろ、この適度な重さと重量バランスによって安定感と「時計を着けている」実感が得られるので、個人的には軽い樹脂製モデルよりも好みだ。
着用してまず目に飛び込むのはダイアルのデザイン。ディスプレイにはORIGINをベースとした35周年記念モデルと同様、金属メッシュが挟み込まれており、ゴールドの輝きが精悍なブラックケースのなかでいいアクセントになっている。
そしてもうひとつ特筆なのが、ディスプレイの左下側にプリントされた初代G-SHOCK開発チームの名称PROJECT TEAM “Tough”のロゴ。こちらもORIGINベースの周年記念モデルのみに付与される意匠であり、こうした要素が設けられていることで、「DW-5040PG」が特別なモデルであることを実感させてくれる。