フュメダイアルの魅力を最大限に引き出したエンデバーの最新作。硬質で耐腐食性に優れるタンタル製ケースは、H.モーザーCEO、エドゥアルド・メイランの家族とのストーリーに結び付いている。
センターに矢形針の月表示、3時位置にデイト、6時位置にスモールセコンド、ケースバック側に閏年表示を配する。インデックスは最小限だが、各表示の位置関係により視認性は確保されている。手巻き(Cal.HMC 800)。32石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約168時間。タンタル×SSケース(直径42mm、厚さ13.1mm)。1182万5000円(税込み)。
Edited by Kouki Doi (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2023年5月号掲載記事]
エンデバー・パーペチュアルカレンダー タンタル ブルーエナメル
必要最小限の要素のみを残し、それらの魅力を最大限に引き出すことで「少ないほど豊かである」ことを体現するのがH.モーザーのエンデバーコレクションである。新作となる「エンデバー・パーペチュアルカレンダー タンタル ブルーエナメル」は、有機的な凹凸とグラン・フー エナメルで仕上げられたブルーのフュメダイアルを備えたモデルだ。ダイアルの凹凸による陰影とブルーのグラデーションによって多彩な表情が生まれている。搭載するCal.HMC 800は、3時位置の日付表示とセンターの月表示、ケースバックの閏年表示によってパーペチュアルカレンダーを実現し、操作禁止時間帯がなく操作性にも優れる。
もうひとつのポイントはタンタル製ケースだ。タンタルは硬質かつ表面の安定した酸化被膜によって耐腐食性が高い一方、磨き加工が難しいとされる金属だ。CEOのエドゥアルド・メイランがタンタルを選択したのは、その特性の良さだけでなく、両親から贈られた初めての高級時計がタンタル製だったことにも起因している。それにより、その実現のために2年以上にわたって磨き加工技術の向上が図られてきた。本作には、H.モーザーの基準をクリアするポリッシュが施され、その仕上がりは素材由来の青みがかったダークグレーを示している。
文字盤に注目すると、インデックスは12時と6時位置のみ。ダイアルが生み出す表情を遮るものは、たとえインデックスでさえ引き算するという徹底したミニマリズムである。このような攻めたデザインを継続的にラインナップさせ、しかもそれが支持されている点は、現在のH.モーザーの強さであり、そのフィロソフィーを深く理解するファンを多く獲得していることを示している。
https://www.webchronos.net/features/83374/
https://www.webchronos.net/features/55299/
https://www.webchronos.net/features/60091/