G-SHOCK「フロッグマン」の新作MRG-BF1000Rをレビュー。最強&最高級ダイバーズには、潜らない者を“その気にさせる”機能も!?

2023.04.22

今回インプレッションを行うのは、G-SHOCKの最高級シリーズのひとつ、フロッグマンの新作、MRG-BF1000R-1AJRだ。ただならぬ雰囲気を放つ、いかつい見た目に反することなく申し分ない機能性を誇り、身に着けた者を「思わず潜りたくなってしまう」ツールでもあるのだ。

MRG-BF1000R-1AJR

G-SHOCK「フロッグマン」MRG-BF1000R-1AJR
クォーツ。タフソーラー。パワーリザーブ:約5カ月(機能使用時)/約29カ月(パワーセービング状態)。Tiケース(縦56×横49.7mm、厚さ18.6mm)。200m防水。59万4000円(税込み)。
加瀬友重:文・写真 Text & Photographs by Tomoshige Kase
2023年4月22日掲載記事

G-SHOCK史上最強たる力強い外観

 G-SHOCKの中でもより過酷な状況に耐える最強シリーズが「マスター・オブ・G」。そして上質な素材と仕上げを施した最高級シリーズが「MR-G」。そんな両シリーズのハイブリッド的に誕生したのが、今回レビューする「MGR-BF1000R」である。いわばG-SHOCK史上最強、そして最高級のダイバーズウォッチというわけだ。

 ケース左側に刻印された文字を見れば分かるとおり、本モデルはマスター・オブ・Gの中の「フロッグマン」(ダイバーズモデルのカテゴリー。潜水士の意味)に属する。ISO規格200m潜水用防水機能を持つ超本格派。フロッグマンのアイデンティティである左右非対称の複雑なケース形状を、MR-Gとしてチタンで作り上げているのが最大の特徴だ。


軽さと洗練の秘密はチタン外装にあり

 確かにもう、見た目からしてただならぬ雰囲気。実にいかつい。だが美しい。

 ケース、ベゼル、裏蓋などの主要パーツから、リュウズ、ボタン、ビスなどの小型パーツにいたるまでチタン素材を採用。防水性を保持するためのOリングや緩衝剤などの部品を含めると、70以上の外装パーツが緻密に組み上げられているという。

 いかついのに美しい理由は、それぞれのパーツが丁寧に研磨されているからだろう。工業製品的な美しさというよりは、アクセサリーのような美しさ。つまり洗練されているのである。では実際、着用してみるとどうか。

MRG-BF1000R-1AJR

手首周りの長さ19㎝でこんな感じ。ちなみにデニムシャツの袖ボタンを外しているのは、腕時計で閉められないからではなく、こういうラフな着こなしが好きだからである。

 ウェットスーツの上からの着用を想定しているフロッグマンだが……全然いけるじゃないか。いやむしろ、カジュアルな服装でOKの職種の方にはぜひともお勧めしたいくらいだ。都会的な空気を備えつつ、適度にラギッドな味もある。どんどん薄着になっていくこれからの季節には、ブレスレットやバングルのような感覚で身に着けるのもアリかもしれない。

 それに! チタン外装のおかげだろうか、見た目の印象をいい意味で裏切る軽さなのだ。公式データの重量は132g。ちなみに普段愛用しているSSブレスレットの自動巻き腕時計を量ってみると139.5gだった。そうか、実際軽かったのか(笑)。

着け心地の良さも申し添えておきたいところ。バンドの素材にはしなやかで耐久性の高いフッ素ラバーを使用。ベタベタせず、肌あたりも意外や爽快だ。それでいて適度なフィット感があり、ケースはフラブラすることなく好ましい位置に安定する。とても良い出来である。

MRG-BF1000R-1AJR

上品な光沢のあるチタンの外装は高級感も演出してくれる。尾錠の止めやすさ、外しやすさも印象に残った。

 繰り返すがダイビングのときはウェットスーツの上に着けるわけだから、着け心地より耐久性や尾錠の外れにくさが重要だろう。でも、陸で使うのだったら着け心地が良いに越したことはない。それに『クロノス日本版』が扱うような高級ダイバーズウォッチは、みんな陸で着用しているじゃないか。

 ケースの大きさと凝った造形に最初は戸惑ったが、着用してみれば違和感は決して大きくなかった。実際、1時間も着けているとすっかり慣れてしまう。感覚に個人差はある。が、わりと細かい性格の自分が大丈夫なのだから、たいていの人はOKだと思う。

MRG-BF1000R-1AJR

盆栽の手入れなんていう細かい作業のときも着用したままで問題なかった。個人的には。

 何よりアクティブな気分が高まってくるのがいい。ダイビングはやらない(シュノーケリング程度は好きだ)が、この腕時計をしているとアウトドアに出たくなる。機能、デザイン、外装。腕時計にはいろいろな魅力があると思うが、身に着けた者を“その気にさせる”というのも、この小さな道具の魅力のひとつではないだろうか。