2023年のベストウォッチはIWC「インヂュニア・オートマティック 40」!?「ウォッチ情熱応援団」団長の選ぶNo.1新作時計

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2023.04.28

2023年の新作時計時計の中から、最も気になった時計の魅力を語ってもらう企画。時計系人気Youtubeチャンネル、「ウォッチ情熱応援団」の団長はIWC「インヂュニア・オートマティック 40」をNo.1に挙げた。今作こそ、ジェンタデザインの完成系だと団長は語る。

インヂュニア・オートマティック 40

IWC「インヂュニア・オートマティック 40」
自動巻き(Cal.32111)。21石。パワーリザーブ約120時間。Tiケース(直径40mm、厚さ10.8mm)。10気圧防水。195万8000円(税込み)。
団長:文
2023年4月28日掲載記事


2023年の新生インヂュニアはブランドの集大成!

 ウォッチ情熱応援団・団長です。今回は2023年新作時計、私が最も気になった時計と言うことでIWC「インヂュニア・オートマティック 40」をピックアップしてみたいと思います。

インヂュニア・オートマティック 40

IWC「インヂュニア・オートマティック 40」
自動巻き(Cal.32111)。21石。パワーリザーブ約120時間。SSケース(直径40mm、厚さ10.8mm)。10気圧防水。156万7500円(税込み)。

 1955年の登場から、常に性能とサイズバランスを追い求めて、いく度ものモデルチェンジを重ねてきたインヂュニア。今回のリニューアルは、生まれ変わったどころの話ではありません。

 まるで人の一生のような時の長さを経て完成された「スポーティーでエレガント」な時計。IWCが求め続けた正しいインヂュニアの在り方、その理想の理想。まさにブランドの集大成といっても過言ではないと思います。


長年の理想 ジェンタデザインの完成

ジェラルド・ジェンタ

ジェラルド・ジェンタ
1931年スイス生まれ。51年に宝飾学校卒業後、ジュエリーデザイナーとなる。54年に時計デザイナーに転向(公式な資料では61年から)。69年に自身の名を冠したデザイン事務所を創設する。一時期引退するも、ジェラルド・チャールズで復活を遂げた。2011年死去。

 新インヂュニア、そのデザインのベースは、76年時計界のピカソこと鬼才ジェラルド・ジェンタによって書き起こされた「インヂュニアSL」のスケッチです。

 が、当時はスケッチ通りにとはいきませんでした。ベゼルのビス位置(当時はビスではなかった)や、ブレスレットコマの面取りなど、スケッチと出来上がった実物とでは、異なる点が多くありました。

 それはなぜか?

 ここからは個人的な考察になりますが、おそらく70年代当時では実現不可能なことが多かったのではないでしょうか。正しくは、当時のインヂュニアのコンセプトを維持しながらでは出来なかった、とでも言うべきか。

インヂュニアSL Ref.1832

IWC「インヂュニアSL」Ref.1832
自動巻き(Cal.8541ES)。21石。1万9800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径40mm)。IWC蔵。

 スポーティーでエレガント、そして耐磁性能を有すること。技術面だけを考えれば、マーク11を完成させていた当時のIWCにとっても、実現可能だったように思います。しかし、だからといって、じゃあ作ろうとはなりません。

 時代が時代、クォーツウォッチ登場の直後ですから、IWCに限らず、スイスの時計ブランドはどこも余裕がなかった。単純な話ですが、絶対に売れるものを作る必要があったのではと。

 創業以来、実用性能に長け、高い信頼性を強みにしてきたIWC。彼らにとって、ロイヤル オークのような高額なものチャレンジするのは、まだ機が熟していないタイミングだったのでしょう。結果、ジェンタが描いた理想は、40年以上の時を経てようやく現実のものとなりました。


時を超え作り手とファンとが紡ぎあげた傑作

インヂュニア・オートマティック 40

 公式サイトにも、1970年代のインヂュニアSLに対し、「時代の遥か先を行っていた」と記載されています。あの時は早すぎた。今ようやく機は熟したと。

 では、何をもって機は熟したと言うべきなのか。スポーティーでエレガント、そして耐磁性能を有する作品が作れるようになったことなのだろうか? だけ、じゃないですよね。今なら買う人がいるということも大事なのです。

 つまりは高級時計市場の成長が、新生インヂュニアの誕生にも大きく関わっているではなかろうかと思うわけです。今の成熟した市場であれば、IWCが作る高級モデルに強い興味を示す方も少なくないはず。ならば全力を尽くそうじゃないか! と、ブランドを本気にさせたのは、間違いなく読者の皆様、現代の時計ファンの存在だと思います。

インヂュニア・オートマティック 40

IWC「インヂュニア・オートマティック 40」
自動巻き(Cal.32111)。21石。パワーリザーブ約120時間。SSケース(直径40mm、厚さ10.8mm)。10気圧防水。156万7500円(税込み)。

 IWCは間違いなく応えてくれるブランドですからね。作り手も買い手も隔たりなく、先人たちの思いが形になるまでやり続けてしまう。課題がどんなに深刻なものに膨れ上がったとしても、最後の最後までやり抜いてしまう。これがIWCなんだと。改めて思い知らされた気がします。



Contact info: IWC Tel.0120-05-1868



選者のプロフィール

ウォッチ情熱応援団 団長

腕時計の面白さを伝えるYoutubeチャンネル・ウォッチ情熱応援団のメインMC。モノづくりに憧れ、東証一部の電機メーカーへ研究職として就職。しかしマスプロダクトではなく『手仕事』への興味を自覚したことで職人の世界へ転身。『クラフトマンシップへの賞賛』をテーマに年間およそ300本、これまでに1300本を超える動画を投稿。累計再生回数は3630万回(2023年4月時点)を超える。


IWC/インヂュニア

https://www.webchronos.net/iconic/16038/
ジェンタデザインのIWC「インヂュニア」が復活! お披露目の様子を現地レポート

https://www.webchronos.net/features/92805/
【2023年新作時計ベスト5】人気Youtubeチャンネル「ウォッチ情熱応援団」団長が興味を引かれた新作

https://www.webchronos.net/features/94860/