2023年のウォッチズ&ワンダーズでロレックスが発表した綺羅星のようなニューモデルの中では、あまり目立たない存在だったのかもしれないが、新しい「オイスター パーペチュアル ヨットマスター 42」の完成度は群を抜いていた。独自のRXLチタンを採用した外装の美しさは、チタンウォッチの常識を凌駕する。
Photographs by Ryotaro Horiuchi
鈴木裕之:文
Text by Hiroyuki Suzuki
2023年4月20日掲載記事
役者ぞろいの新作ロレックスでも最注目の1本
すでにあらゆるメディアで報じられている通り、2023年にロレックスが発表したニューモデルは、どれもが大きな意外性に満ちていた。進化版のムーブメントと共にトランスパレントバック仕様となったデイトナを筆頭に、重厚感に満ちた金ムクのGMTマスターⅡ、ポップなテイストのラッカーで仕上げられたセレブレーションダイアルのオイスター パーペチュアルなど、話題には事欠かない。
自動巻き(Cal.3235)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。RLXチタンケース(直径42mm、厚さ11.60mm)。100m防水。167万900円(税込み)。
そうした中で筆者が最も注目したのは、独自のRXLチタンで外装を仕上げた「オイスター パーペチュアル ヨットマスター 42」(Ref.226627)だ。同社がフルチタンの外装用いるのは、22年発表の「オイスター パーペチュアル ディープシー チャレンジ」(Ref.126067)に続いて2作目。
直径50mmにも達するディープシー チャレンジを普段使いにするのはさすがに難しいだろうから、愛好家の多くは新しいヨットマスター 42で、初めてロレックス製のチタンスポーツに触れることになるだろう。
ヨットセーリング競技での使用を想定したこのモデルのプロトタイプが公表されたのも22年で、イギリスのプロセーラーであるベン・エインズリー卿が競技中に着用している写真が確認されている。その際はノンデイト仕様だったが、新作はサイクロプスレンズ付きのデイト仕様に改められたようだ。
筆者の個人的な趣味ではノンデイトのほうが好きだが、普段使いを考えるならば、デイト付きへの改良は最良の選択と言えるだろう。