世界のセレブたちがどんな時計を着けているのか、ワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は2023年4月上旬に開催されたマイアミ・オープンで優勝し、さらに4月24日付けATP世界ランキングで3位に浮上し、約6カ月ぶりにトップ3へ返り咲いたプロテニス選手のダニール・メドベージェフが愛用する時計に着目した。
Text by Yukaco Numamoto
2023年4月30日掲載記事
錦織圭やジョコビッチも称賛するテニスプレイヤー、ダニール・メドベージェフ
ダニール・メドベージェフは、1996年2月11日にロシア・モスクワで生まれた、現在27歳のテニス選手だ。自己最高位はシングルス1位、ダブルス170位と好成績であり、これまでにATPツアーでシングルス19勝を挙げている。198cmと高長身の人物であるが、スピードとコートカバーリング能力に優れており、特に低い位置で強さを発揮する。その非常に広いコートカバーから「オクトパス」、または優れたゲーム運びにより「チェスマスター」と呼ばれることもある。
メドベージェフの武器はバックハンドストロークと、強力なサーブだ。フラットサーブは時速212kmに達し、対戦相手を翻弄する。ドバイ・デューティーフリー・テニス選手権において、ジョコビッチはメドベージェフに黒星を付けられた際、「今日は自分より良いプレーをした相手に敗れた。自分がいくつかの重要な瞬間にうまくプレーできなかったのは分かっているが、それは彼が質の高いプレーをしていたからでもある」と語った。またマイアミ・オープンでメドベージェフに敗れ、準優勝となったステファノ・チチパスは「奇妙だよ。どうしてミスをしたのか分からないようなミスショットを打たされてしまう」と語った。錦織圭は「他の選手の戦い方をよく分かっていて、どのようなタイプの選手に対しても、うまく対応していると思います」とコメントしている。
急速なスピードでランキングの上位に上りつめたメドベージェフ。2021年にはATPランキングで2位、2022年には1位を達成している。これからの活躍も含めて楽しみな選手である。
ダニール・メドベージェフが愛用する腕時計はボヴェの「ヴィルトゥオーソ Vlll チャプターⅡ」
2023年4月2日に撮影されたマイアミ・オープンでのダニール・メドベージェフの腕元を確認すると、ボヴェの「ヴィルトゥオーソ Vlll チャプターⅡ」と思われる腕時計が確認された。フルリエ44コレクションの、ヴィルトゥオーソシリーズより展開されているモデルである。全5色展開であり、メドベージェフが着用しているのは、おそらくテニスボールに着想を得た、黄色いサブダイアルが特徴のモデルである。
ダニール・メドベージェフは2019年から「ハウス オブ ボヴェ」のグローバルアンバサダーを務めている。ボヴェとのコラボレーションを開始するにあたり、ボヴェと共有している価値観を尋ねられたメドベージェフは次のように答えた。
「いちばんは忠誠心です。これは、私が一緒に仕事をするすべての会社に対して心掛けていることです。良い時もあれば悪い時もあり、それを一緒に乗り越えていくこと。辛いときでも、一緒にいることが大切です。私は会社の多くの人を知っていますが、それは大きな家族のようなもので、私たちはお互いに支え合っているのです。ナンバーワンになった今、大きな期待に駆られています。トレーニングを積んで、一生懸命働かなくてはいけません。自分がプレーするすべての試合に勝つように努めます。トーナメントに勝つにはひとつずつゲームに勝っていく必要があるのです。グランドスラム トーナメントの場合、トーナメントに勝つには7ゲームが必要です。ランキングに関係なく。私の期待はより高く、改善すればするほど、もっと改善したいと思うようになります」。
腕時計で初めてダイアルに砂糖を用いたり、ロールスロイスの特注モデルに付属する車載クロックを製作したりと、想像の斜め上をいく展開を行う時計ブランドがボヴェである。ボヴェは1822年にエドアール・ボヴェがスイスのフルリエで創業した、スイスで7番目に古い歴史を持つ時計ブランドだ。かつてはエナメルやパールで装飾された18Kゴールド製の懐中時計を王侯貴族に販売することで成功を収めたが、世界恐慌と第2次世界大戦によって活動を休止した時期がある。しかし1997年に復活し、超複雑時計を自社一貫製造する高級腕時計メーカーとなった。現在は年間製造数を全シリーズ合計で800本以下(うち200本は顧客からのオーダーメイドで作るビスポークモデル)に調整することで、高水準での安定した製造管理を実現しているブランドである。
今後ますますの活躍が期待されるメドベージェフ
ロシア・モスクワ出身のダニール・メドベージェフは特にハードコートで強さを発揮する。しかし、彼の強さの源になっているのは妻、ダリアの存在かもしれない。ダリアは12歳の時にジュニアのテニス大会を観戦しに行った。どの試合を見るか検討した瞬間、奇声が聞こえてきたという。その奇声を発していたのが、メドベージェフだった。
キャリア初期のメドベージェフはたしかに大声を上げながら奇行をする一面があった。しかし、最近は落ち着いているようだ。メドベージェフ自身も「結婚してからパフォーマンスが上がっているように感じる」と語っている。メンタル面を支えているのは妻の力なのかもしれない。まだ27歳という若さで、これからますます活躍が期待されるメドベージェフ。彼が選ぶプライベート、スポンサー、両方とのパートナーシップを応援したい。
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