スイスに次ぐ時計大国とされるドイツ。質実剛健な時計を手掛けるブランドが多く存在するが、ドイツの人々はどのような腕時計を好むのだろうか? 今回はジン、タグ・ホイヤー、オリスなど、7ブランドのドイツでのベストセラーを調査。クロノグラフが3モデル、3針が3モデル、スモールセコンドが1モデルという結果となった。
ジン「103.B.AUTO」
自動巻き(Cal.Concepto C99001)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。SSケース(直径41mm)。20気圧防水。48万4000円(税込み)。(問)ホッタ Tel.03-5148-2174
クロノグラフを搭載したジンの「インストゥルメント クロノグラフ」は、創業者がパイロットとしての経験に基づいて作り出したコレクションであり、コックピットクロックに由来する高い視認性と精度を備えている。
「103.B.AUTO」は、1960年代にドイツ空軍に採用されたモデルの伝統を踏襲し、分表示付きの両方向回転式のブラックカラーベゼルを装備している。文字盤にはデイ・デイト表示も備える。
またねじ込み式リュウズ、ねじ込み式の裏蓋など必要最小限のスペックに、ドイツ軍に要求された強化アクリル製の風防を装備している。強化アクリル製の風防は、ポリッシュによって簡単に傷を落とすことができる。常に実戦に使用できるため、軍から指定されたスペックだ。
タグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 スポーツクロノグラフ」
自動巻き(Cal.ホイヤー02)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径44mm)。100m防水。80万3000円(税込み)。(問)LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー Tel.03-5635-7054
2020年に、クラシカルなデザインで復活を果たした「カレラ」。完全自社開発・生産の自動巻きムーブメント、ホイヤー02を搭載するのが「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 スポーツクロノグラフ」だ。
このCal.ホイヤー02はブラックPVD加工を施したローターを採用しており、トランスパレントバックにより鑑賞が可能となっている。コート・ド・ジュネーブがあしらわれた受けの一部にも、スケルトン加工がなされている。自社製クロノグラフムーブメントを搭載しながら、税込み80万3000円という価格も非常に魅力的だ。
オリス「オリス アクイスデイト キャリバー400」
自動巻き(Cal.オリス 400)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約120時間。SSケース(直径43.50mm)。30気圧防水。48万9500円(税込み)。(問)オリスジャパン Tel.03-6260-6876
2021年より、オリスの「アクイス デイト」シリーズに自社製ムーブメントであるCal.400搭載モデルが登場し、ベストセラーとなった。
Cal.400シリーズは、シリコン脱進機を含む30以上のパーツに耐磁性(非鉄)素材を採用したものだ。それゆえに実現された2250ガウスの高い耐磁性をはじめ、約5日間のロングパワーリザーブ、10年間の保証期間を特徴とする実用性の高さが魅力のムーブメントである。
ブレスレットはダイビングエクステンションを備えており、取り替えはクイックチェンジシステムによりフラップの開閉で工具を使わず簡単に行える。ステンレススティール製のケースはキズに強いセラミックベゼルを備え、30気圧の防水性を持ち、あらゆるウォータースポーツに適している。手触り、機能性、使い勝手の良さなどが、ベストセラーたる所以だろう。
ユンハンス「マックス・ビル クロノスコープ」
自動巻き(Cal.j880.2/バルジュー7750ベース)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。SSケース(直径40mm)。5気圧防水。42万3500円(税込み)。(問)ユーロパッション Tel.03-5295-0411
1956年、バウハウスの卒業生であるマックス・ビルがにユンハンスのためにデザインしたキッチンクロックをベースとした「マックス・ビル」コレクションが発表された。インデックスがアラビア数字、あるいはバータイプのものという基本的なデザインは今日までほとんど変わることなく、ブランドのアイコンとも言える地位を確立している。
それゆえに、ユンハンスのベストセラーがオリジナルの3針モデルではなく、現代的に進化したクロノグラフモデルの「マックス・ビル クロノスコープ」だったことは驚きだ。
ドイツ、ロイトリンゲンの時計宝飾店「デッペリヒ」のマルティン・トムは、マックス・ビル クロノスコープの理由を「ストップウォッチ機能をオリジナルのデザインに調和させたことと、特に優れた価格性能比にある」と推測する。
スイス製のバルジュー7750を改良したムーブメントを搭載していること、ドーム型のサファイアクリスタル風防を備えていることなどをふまえて、税込み42万3500円という価格は決して高くないだろう。
ティソ「ティソ PRX オートマティック」
自動巻き(Cal.パワーマティック 80/ETA C07ベース)。23石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径40mm)。10気圧防水。10万100円(税込み)。(問)ティソ Tel.03-6427-0366
ティソの「ティソ PRX」は、1970年代後半に発表されたモデルをオリジナルとし、2021年に復刻されたレトロかつスポーティなコレクションだ。世界でも高い人気を確立するなか、ドイツでもベストセラーウォッチとしてトップ争いに加わっている。
レトロな外観のこの時計は、ケースの厚さが10.93mmとスリムで装着感も高い。ソリッドなデザインのステンレススティール製ブレスレットを組み合わせ、トランスパレントバックを備えている。
ムーブメントとして搭載されるパワーマティック 80は、優れた耐磁性をもつ非磁性合金Nivachron™製ヒゲゼンマイを採用し、約80時間のパワーリザーブを備えている。これほど高品質な機能を備えながらも、価格は税込み10万100円だ。
ノモス グラスヒュッテ「タンジェント・ネオマティック41 アップデイト」
自動巻き(Cal.DUW 6101)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径40.5mm)。50m防水。56万1000円(税込み)。(問)大沢商会 Tel.03-3527-2682
グラスヒュッテ製の腕時計が手頃な価格で手に入る。これはノモス グラスヒュッテだからこそできることだ。例えばエントリークラスの「クラブ」コレクションは20万円台から展開され、手作業で作られる高精度な手巻きのアルファ キャリバーが搭載されている。
このクラブとは対照的にバウハウスらしいデザインを提供する「タンジェント・ネオマティック41 アップデイト」も、販売数を伸ばしている。
文字盤の対称性を失わずにデイト表示を可能にした、自社開発・製造のCal.DUW 6101はサファイアクリスタル製ケースバックより鑑賞可能だ。このムーブメントは大型であるが、厚さはわずか3.6mmであり、ケースの厚さも7.8mmに抑えられている。
モーリス・ラクロア「アイコン オートマティック」
自動巻き(Cal.ML115/セリタSW200ベース)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SSケース(直径42mm)。200m防水。26万6200円(税込み)。(問)モーリス・ラクロア(DKSH マーケットエクスパンションサービス ジャパン)cg.csc1@dksh.com
クラシカルさと個性というものは矛盾する特徴だ。しかしモーリス・ラクロアは、クラシカルさと個性を「アイコン オートマティック」で両立させている。
税込み26万6200円で、直径42mmのケースサイズのアイコン オートマティックは、ベーシックな3針時計に搭載される有名な自動巻きムーブメント、セリタSW200をベースムーブメントとしている。ただ、固定ベゼルに12個の特徴的なタブがあり、複雑な構造をした5連のステンレススティール製ブレスレットが個性的なタッチを与えている。
また、レザーストラップやラバーストラップを装着したい人のために、工具を使わずに簡単な手順でストラップをケースに装着できるクイックチェンジシステムを搭載しているのも特徴だ。
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