腕時計の裏蓋の開け方を紹介。電池交換は自分でできる?

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2023.07.21

クォーツ腕時計の精度が悪いときは、電池切れの可能性が高い。電池交換は時計メーカーや専門業者に依頼するほか、専門工具と知識があれば自分で交換することも可能ではある。腕時計の裏蓋の開け方や交換手順、自分で電池を交換するときの注意点を解説しよう。


クォーツ腕時計の電池交換

クォーツ腕時計は数年おきに電池交換が必要だ。電池切れを起こしている状態で長時間放置すると、時計が長持ちしない。少しでも時計の挙動に違和感を覚えたら、電池交換を考えよう。

電池を交換するタイミング

クォーツ腕時計の電池寿命は搭載されている機構やモデルによって異なるが、3針で2~3年と言われている。電池の消耗が激しいクロノグラフを多用する場合は、基準よりも電池寿命は短くなるだろう。

秒針が飛んだように動く、正確な時刻を示せなくなるといった現象が発生したら、電池切れを起こしていると考えてよいだろう。電池が切れたら早めに交換しよう。そのまま放置していると、電池の液が漏れて時計の故障を招きかねない。

電池交換の作業工程

時計メーカーや時計修理店におけるクォーツ腕時計の電池交換は、一般的に以下の手順で行われる。

  • 外装に故障がないか点検する
  • 専用工具を使って裏蓋を開ける
  • ピンセットで電池を交換する
  • 裏蓋を閉める
  • 点検、クリーニングを行う

電池交換の作業工程は、点検に始まって点検に終わる。ただ単に電池を交換するだけではない。精度不良の原因が電池切れ以外の可能性もあるため、本体の不具合やリュウズに問題がないか作業前に確認する。

電池交換の依頼先

電池交換の依頼先としてはメーカーや時計修理店、家電量販店などが挙げられる。

安心と信頼性を重視するのなら、メーカーや購入した正規販売店に依頼しよう。電池交換だけでなく、依頼すれば正規サービスならではの充実したメンテナンスが受けられる。保証期間内であれば無償で修理に応じてもらえるだろう。

時計修理店や家電量販店なら安価で電池交換を依頼できるかもしれないが、担当者によって技術力にばらつきがある。依頼先を選ぶ際は、時計修理技能士が在籍しているかチェックしておきたい。


電池を自分で交換する方法

機械式腕時計のオーバーホールとは異なり、クォーツ腕時計は電池を自分で交換することも可能だ。どうしても自分で裏蓋を開けて交換したい人は、手順をチェックしよう。ただし、作業にはリスクが伴うことを頭に入れておきたい。

裏蓋の種類

自分で電池交換を行う際にまず確認したいのが、裏蓋の種類だ。腕時計の裏蓋には、ねじ込み式・はめ込み式・ネジ留め式といった種類がある。

ねじ込み式/スクリューバック ねじ込み式の裏蓋。溝にはめ込んで回す作りで、高い防水性能を持つ。
はめ込み式/スナップバック ケースにはめ込んで閉めるシンプルな裏蓋。カジュアルな腕時計に広く用いられている。
ネジ留め式(ビス留め式) パッキンの外側にネジを取り付ける構造の裏蓋。ネジ留めの位置はモデルによって異なる。

それぞれ開け方が異なるため、手持ちの腕時計がどの種類に該当するかチェックしておこう。

種類ごとの裏蓋の開け方

裏蓋の開け方は種類によって異なるが、いずれも丁寧かつ慎重に扱う必要がある。力を入れすぎるとケースに傷を付ける可能性があるため、作業の際は力加減に気を付けよう。

ねじ込み式の場合は、時計本体をしっかり固定してから専用工具「スクリューオープナー」を使って裏蓋を回転させながら開ける。オープナーの爪幅を調整する必要があるため、難易度は高い。

はめ込み式であれば、オープナーを本体と裏蓋の隙間に入れ、優しく押し込むと裏蓋が開く。勢い余って裏蓋を傷付けないように注意したい。

ネジ留め式の場合は、ドライバーで各ネジを緩めながら外す。単純な設計であるため、初心者でも作業しやすいだろう。

電池交換の手順と裏蓋の閉め方

腕時計の裏蓋を開けたら、電池をピンセットでつかんで交換する。ムーブメントは精密機械であるため、くれぐれも素手で触らないようにしたい。

交換が終わったら、裏蓋を閉めて元の状態に戻そう。リュウズの位置がずれないように注意しながら閉めるのがポイントだ。なお、裏蓋を閉める前には防水用パッキンにグリスアップすることをおすすめする。


自分で電池交換する際の注意点

時計メーカーや専門業者に依頼せずとも、クォーツ腕時計の電池交換は自分でも可能だ。しかし、プロと同じクォリティで作業するのは現実的に難しい。その理由を解説しよう。

故障するリスクが高い

裏蓋を開けてムーブメントを露出させる電池交換は、適切な環境下でなければ理想的な仕上がりにならない。工具の扱いを間違えれば、地板に傷を付けたり回路を傷めてしまったりすることもある。

作業中に埃をケース内に閉じ込めてしまうことで、不具合をきたすケースも少なくない。作業台の環境にも配慮が必要だ。メーカーや時計のメンテナンスを手掛ける業者でなければ、現実的に電池交換に適した環境の準備は難しい。

初期費用や知識が必要

専用工具を使用すれば裏蓋を開けることはできるが、作業自体には高度な技術が求められる。どの程度の力加減で作業するべきなのか、どの工具を使うべきなのか、作業回数をこなさないとつかめないコツは素人では体得できない。

工具自体が高価なこともあり、素直にメーカー修理依頼を出した方が結果的に安上がりになるケースは多いだろう。


腕時計の電池交換はメーカーへの依頼が基本

クォーツ腕時計の電池交換は、裏蓋を自分で開けて実施することも可能だ。しかし、上述したように、故障のリスクや作業の難しさ、専用工具にかかる初期費用といった問題は無視できない。

特別な事情がない限り、電池交換は自分では行わずにメーカーに依頼しよう。オーバーホールやメンテナンスと比較すると費用は安価であるため、腕時計を故障させるリスクをわざわざ負う必要はない。それでも作業に興味がある方は、練習用の腕時計を購入するとよいだろう。


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