フランク ミュラー／クストス 心を踊らせるブランドアイデンティティーを刷新する新作群

昨年に続き、2年連続でのリアル開催となったフランク ミュラー ウォッチランドグループによる独自の新作展示会「WPHH」。2018年に、ふたつの新棟を完成させ、生産体制を一層拡充したウォッチランドにほど近い独自の会場で開催されたWPHHでは、フランク ミュラーとクストスによる、心躍る新展開を目の当たりにすることができた。

注目すべきは一新されたケース構造と挑戦的な素材

　昨年、創業30周年を迎えたフランク ミュラーが、アイデンティティーであり、象徴でもあるトノウ カーベックスのデザインを一新した。言うまでもなく、トノウ カーベックスは、フランク ミュラー独自の三次元曲線をトノウシェイプと組み合わせることで具現化した、メゾンのアイコンだ。その試みは、もはや完成形と言ってもいいトノウ カーベックスケースに、まるで球体を切り取ったかのような大きく湾曲したラウンドシェイプを与え、そのカーブに沿うように、12時方向と6時方向のケースエンドまで、サファイアクリスタル風防を延伸した、よりモダナイズされたものとなった。

「グランド カーベックスケース」と名付けられたこの新形状は、トノウ カーベックスの持つ最大の〝美徳〞である三次元曲線の魅力を最大限に引き出すために考案され、2021年に完成させたトゥールビヨンキャリッジを中心に配した「グランド セントラル トゥールビヨン」で初めて採用されたものだ。この新ケースを採用した新作こそが、今年のフランク ミュラー最大の見せ場である。「マスター オブ コンプリケーション」と称されるフランク ミュラーだけに、世界最大級のトゥールビヨンとして誕生した「ギガ トゥールビヨン」の新作にも、この新ケースが与えられる。

　一方、最もベーシックなセンターセコンドモデルにおいても採用し、そのモデルを「グランド カーベックス」と命名していることからも、いかにフランク ミュラーがこの新ケースを〝推し〞ているのかがうかがえる。また、同じWPHH会場でクストスが発表した、サファイアクリスタルケースを初採用した新作にも要注目だ。