時計専業ではないメーカーの腕時計が、時計愛好家の間で近年人気を集めている。ファッションブランドとして知られるシャネルも、時計メーカー顔負けの魅力的なモデルを次々と世に送り出している。「J12」や「プルミエール」「ボーイフレンド」「コード ココ」といった、シャネルのレディース向けコレクションと人気のレディースモデルを見ていこう。
シャネルのレディース向けコレクション
シャネルは世界から評価を集めているラグジュアリーブランドだ。創業当初から自立した女性に向けた製品を展開しており、完璧な美しさを追求した気品あふれるデザインを特徴としている。まずはシャネルのレディース向けコレクションの特徴をチェックしておこう。
セラミック × モノトーン「J12」
シャネルのウォッチの代表格である「J12」は、セラミック製の外装を用いたことで時計業界に衝撃を与えた時計だ。J12が誕生した2000年以降、シャネルは時計ブランドとしても広く知られるようになる。
今でこそセラミックスの時計は珍しくないが、時計にセラミックスが採用され始めたのはJ12の登場がきっかけである。J12は時計史に大きな一石を投じたモデルなのだ。
J12の特徴のひとつに、ホワイトとブラックで統一されたモノトーンのデザインも挙げられる。豊富なバリエーションがあるため、好みのサイズやデザインを選ぶことができるだろう。
メゾンの原点「プルミエール」
「プルミエール」は1987年に誕生したシャネル初の腕時計だ。メゾンのアイコンウォッチはJ12だが、シャネルのウォッチメイキングの歴史はプルミエールから始まっている。
八角形のケースデザインは、シャネルの有名な香水「シャネル N°5」のボトルストッパーや、パリのヴァンドーム広場から着想を得たものである。
プルミエールの文字盤にはインデックスがない。「CHANEL」の文字と時針・分針のみが存在するシンプルなデザインが、シャネル独特の気品を醸し出している。
メンズライクなテイスト「ボーイフレンド」
2015年に誕生した「ボーイフレンド」は、プルミエールにマスキュリンな雰囲気をプラスし、その名の通り“ボーイフレンドの時計を借りたような”、マスキュリンなイメージを持つコレクションである。
ケースデザインはプルミエールの八角形を踏襲しているが、ボーイフレンドはより直線的なデザインとなっており、力強さを感じさせる。このようなマスキュリンなイメージは、シャネルの創業者ガブリエル・シャネルへのオマージュでもあるのだ。
男性的なものから女性の魅力を引き出すことに長けていたガブリエル・シャネルは、女性のファッションに多大な影響を与えた。彼女の価値観から着想を得て作られた時計が「ボーイフレンド」なのである。
常識にとらわれない個性「コード ココ」
「コード ココ」は2017年に登場した、比較的新しいウォッチコレクションだ。常識にとらわれないシグネチャースタイルを確立し、大人の女性の腕元を彩っている。
ブレスレットを手首に巻いた後、ケース部分の留め具で装着する構造がコード ココの大きな特徴である。シャネルのアイコンバッグ「2.55」のターンロック式クラスプからインスピレーションを得た仕様だ。
リュウズやバックルのない洗練されたデザインが、コーディネート全体をセンスアップしてくれるだろう。ブレスレットがキルティング調である点も、シャネルならではだ。
J12の人気レディース時計
「J12」には、数多くの魅力的なモデルがラインナップされている。そのなかから厳選した、人気のレディースモデルを紹介しよう。
美しい円形ローターを備えた「J12 キャリバー 12.2」
自動巻き(Cal. 12.2)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。高耐性ホワイトセラミック×SSケース(直径33mm)。200m防水。106万1500円(税込み)。
「J12 キャリバー 12.2」は、ケース径33mmのレディースモデルだ。約50時間のパワーリザーブを保持する、ケニッシ製ムーブメントCal. 12.2を搭載している。
C.O.S.C.認定を受けているCal. 12.2は、実用性に優れた小型ムーブメントだ。印象的な美しい円形ローターを、ケースバックから鑑賞できる。
ケースやブレスレットの素材には、J12を象徴する高耐性ホワイトセラミックスが採用されている。シャネルの時計製造技術が詰め込まれており、開発と組み立てはスイスの自社工房で行われている。
最小ケースサイズの「J12・XS」
クォーツ。高耐性ブラックセラミック×SSケース(直径19mm)。30m防水。207万9000円(税込み)。
J12 コレクションの中で最もサイズが小さい「J12・XS」は、フェミニンかつ華奢なフォルムを特徴とするモデルである。どのようなシーンにもマッチするだろう。
ダイアル外周には32個、ブレスレットには116個のブリリアントカット ダイヤモンドがセッティングされている。ケースとブレスレットの素材は高耐性ブラック セラミックスとステンレススティールだ。
ともすればスポーティーなイメージに偏りがちなセラミックウォッチを、美麗なデザインでエレガントな時計へと昇華させている。
独創的なムーブメントの「J12 ホワイト キャリバー 3.1」
手巻き(Cal. 3.1)。高耐性ホワイトセラミック×18KWGケース(直径38mm)。30m防水。3190万円(税込み)。
「J12 ホワイト キャリバー 3.1」は、独創的なムーブメントが目を引くモデルだ。手巻き機械式ムーブメントCal. 3.1が、ケース内でまるで浮いているように見える。
ベゼルには46個のバゲットカット ダイヤモンドがセッティングされ、クリアな文字盤にも劣らない輝きを放っている。インデックスにも12個のダイヤモンドが配されたハイジュエリーウォッチである。
素材には高耐性ホワイトセラミックス以外に、18Kホワイトゴールドも使われている。他ブランドのスケルトンウォッチでは味わえない、メゾンの魅力が詰まった時計である。
ブラック&ゴールドの2023年新作「J12 キャリバー 12.1」
自動巻き(Cal. 12.1)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。高耐性ブラックセラミック×18KYGケース(直径38mm)。200m防水。231万円(税込み)。2023年9月末発売予定。
2023年の新作である「J12 キャリバー 12.1」は、ブラックセラミックスに18Kイエローゴールドを用いた気品あるカラーリングが特徴のモデルだ。
ベゼルやリュウズにはイエローゴールドを用いているほか、針とインデックス、そしてムーブメントのローターにまでイエローゴールドの仕上げを施している。
ケニッシ製ムーブメントのCal. 12.1は、約70時間のパワーリザーブを備えた実用性の高い機構だ。ケースバックからはムーブメントの精緻な動作美を堪能できる。
人気レディース時計、プルミエール
シャネルらしい洗練された時計として人気のプルミエールも、多彩なモデルが展開されている。プルミエールの人気モデルを見ていこう。
女性らしい細身のストラップが特徴の「プルミエール リボン」
クォーツ。SSケース(縦19.7×15.2mm、厚さ7.5mm)。30m防水。89万6500円(税込み)。2023年9月6日発売予定。
ヴェルヴェットタッチのブラックラバーストラップに、ステンレススティールのケースを組み合せた腕時計が「プルミエール リボン」だ。
しなやかな細身のストラップが上品な雰囲気を醸し出し、フェミニンな魅力を放つ人気のモデルである。
ケースの外周には、52個のブリリアントカットダイヤモンドをセッティング。ジュエリーのような印象を与えるデザインだ。
アイコニックな要素を凝縮した「プルミエール オリジナル エディション」
クォーツ。SS(18KYGプレート)ケース。(縦26.1×20mm、厚さ7.6mm)。SS(18KYGコーティング)にレザーを編み込んだチェーンブレスレット。30m防水。85万8000円(税込み)。
シャネル初の腕時計として1987年に登場した初代プルミエールを、よりモダンなテイストにアップデートした復刻版が「プルミエール オリジナル エディション」だ。
パリのヴァンドーム広場や伝説的な香水「シャネル N°5」のボトルストッパーから着想を得た八角形のケース、ブラックレザーを編み込んだブレスレットなど、独自のデザインコードをそのまま継承している。
なめらかで深みのあるブラックラッカーの文字盤が、時計に優雅さや上品さをプラスしている。
メタルチェーンの「プルミエール」
クォーツ。SSケース(縦19.7×15.2mm、厚さ7.5mm)。リュウズにオニキスのカボション。30m防水。61万6000円(税込み)。
メタルチェーンをブレスレットに採用したこのプルミエールは、八角系の直線的でシャープなケースに対して、丸みのあるメタルチェーンブレスレットとの組み合わせが美しいモデルだ。
シンプルな文字盤と、艶のあるブレスレットの輝きは、オンオフを問わず華を添えるタイムレスな時計として愛用できる。
心躍る宇宙がテーマの「プルミエール ロボット」
クォーツ。18KYG×高耐性ブラックセラミック×Ti×ダイヤモンド×オニキスケース(縦19.7×15.2mm、厚さ7.5mm)。30m防水。366万3000円(税込み)。数量限定。
「プルミエール ロボット」は、2023年に発表された「シャネル インターステラー カプセル コレクション」のひとつだ。SFや宇宙をテーマとしたカプセルコレクションだけに、ケースをロボットに見立てたユニークなデザインとなっている。
ロボットのパーツには、ブラックセラミックス、チタン、オニキスが採用されている。目とジョイントの部分には、ブリリアントカット ダイヤモンドがセッティングされている。
ヴェルヴェットタッチのブラックラバーストラップが、ブラックラッカーのダイアルと見事に調和している。宇宙へのロマンを感じさせる、遊び心にあふれた1本だ。
ボーイフレンドの人気レディース時計
自分らしいスタイルを見つけたい女性には、マスキュリンなボーイフレンドを試してみるのがおすすめだ。ボーイフレンドの人気レディースモデルを紹介しよう。
オパールホワイトダイアルの「ボーイフレンド」
クォーツ。SSケース(直径27.9×21.5mm、厚さ6.2mm)。キルティングパターンのカーフスキンストラップ。30m防水。113万8500円(税込み)。
このボーイフレンドは、ステンレススティールケースにオパールホワイトのギヨシェダイアルを組み合わせたモデルだ。ベゼルには62個のブリリアントカット ダイヤモンドがセッティングされている。
ブラックのカーフスキンにシャネルらしいキルティングパターンが施されているストラップが特徴だ。
スストラップはインターチェンジャブル仕様で、購入時に1本好きなストラップを選ぶことができ、簡単に付け替えが可能だ。その日の気分に合わせて、好きなように手元を演出できる。
シャネル独自のベージュゴールド「ボーイフレンド スケルトン」
自動巻き(Cal. 3)。18Kベージュゴールドケース(直径37×28.6mm、厚さ8.4mm)。30m防水。1661万円(税込み)。世界限定55本。
この「ボーイフレンド スケルトン」は、全体をシャネルのコードカラーであるベージュでカラーリングしており、ケースもメゾンの独自素材であるベージュゴールドを採用している。自社製スケルトンムーブメントのCal. 3も、ベージュゴールドのカラーに染められている。
シャネルが3年かけて開発したCal. 3は、縦に連なる美しい円が、まるで浮かんでいるかのように配置されている。スケルトンダイアルのブリッジの面取りが奥深さを強調し、ブラックのブリッジが時計の構造を際立たせている。
どの角度から見ても美しい、本格派の時計を堪能しよう。
コード ココの人気レディース時計
コード ココはシャネルならではの豊かなファッション性を備えたコレクションである。コード ココの人気レディース時計を紹介する。
バッグのクラスプをモチーフにした「コード ココ」
クォーツ。SSケース(直径38.1mm×21.5)。ブラック セラミック×SSブレスレット。30m防水。154万円(税込み)。
この「コード ココ」は、ブラックセラミックスとステンレススティールが描くコントラストが鮮やかなモデルだ。黒はメゾンを象徴するカラーでもあり、クールな印象を醸し出している。
ダイアルにプリンセスカットダイヤモンド1個、ベゼルにはブリリアントカット ダイヤモンド52個がセッティングされている。
ターンロック式のクラスプを回して開閉する独創的なデザインも特徴的である。ブレスレットの格子モチーフは、シャネルのバッグやジュエリーを彩ってきたキルティングを想起させる。
インパクトのあるデザインの「コード ココ サイバーゴールド」
クォーツ。ブラック コーティングを施したSSケース(直径39.3×25.0mm、厚さ8.8mm)。カーフストラップ。30m防水。133万1000円(税込み)。
シャネルが2023年に発表したカプセルコレクションには、コード ココの新作も含まれている。宇宙やSFの世界をテーマにしたのが「コード ココ サイバーゴールド」だ。
ゴールドのキルティングパターンのカーフスキンストラップには、「CHANEL」の文字が立体的かつ力強く刻まれている。
ブラックコーティングを施したケースと、ゴールドのストラップが近未来的なコントラストを見せ、インパクトのあるデザインとなっている。
女性の魅力を引き立てるシャネルのウォッチ
シャネルは1910年に創業して以来、常に女性のファッションスタイルの中心に存在し続けているメゾンだ。ファッション・ジュエリー・香水・化粧品と同様に、腕時計も多くの女性から支持を集めている。
人気コレクションの中から気になるモデルを手に取り、シャネルでしか表現できない魅力を堪能してみよう。
*価格はすべて公開時点のものです。
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