1952年に発表されたオメガのコンステレーションはわずか10年でスイス時計の代名詞的存在となった。名声をもたらした高精度に加えて、薄さとデザインの追求はコンステレーションに多様さをもたらすこととなった。82年のマンハッタンを経て、今に至る道のりをムーブメント、薄さ、デザインの観点から振り返ってみたい。
広田雅将(本誌):取材・文 Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2020年9月号初出]
CONSTELLATION MASTER CHRONOMETER
セラミックベゼルで武装した 第5世代の〝マンハッタン〟
2020年に発表された第5世代は、マスター クロノメーター化された自動巻きを搭載するほか、外装の質感をいっそう高めている。自動巻き(Cal.8900)。39石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。SS×セラミックス(直径41mm)。50m防水。70万円。
2007年の「デ・ヴィル アワービジョン」以降、外装面でさまざまな試みを行ってきたオメガ。その現時点における集大成が、マンハッタンの第5世代に相当する「コンステレーション マスター クロノメーター41mm」だ。デザインは第4世代から大きな変化はないが、細部は大幅に進化した。
それを象徴するのが、セラミックス製のベゼルだ。プロダクトを監修するジャン-クロード・モナションはこう説明する。「今や、4本の爪に実用上の理由はない。しかし、アイコンであるということで残した。セラミックス製のベゼルは、爪を組み込むために極端な製造公差が求められる。そこで、焼結したセラミックス製のベゼルを、T型のダイヤモンドホイールで切削している」。こういったディテールの追求は、枚挙にいとまがない。先述した通り、第5世代のマンハッタンは、風防のパッキンがまったく見えないデザインを持っている。パッキンを隠す設計は他社にも見られるが、固定するベゼルの色に合わせてパッキンを替えるメーカーはいくつもないだろう。また、ムーブメントを支えるホルダーは、視覚効果を強調するため、アルマイト処理で黒くされた。素材はアルミニウム。真鍮に比べて軽いため、このモデルの時計本体は、サイズに比して軽くなった。
ブレスレットがインターチェンジャブル式に変更されたのも大きな違いだ。オメガはこの点を強調していないが、第5世代のマンハッタンは、シチュエーションを選ばない時計に進化したのである。
薄さとデザイン、そして高精度を謳い上げた1982年のマンハッタンとは、60年代にオメガが目指したコンステレーションのひとつの形であった。それから約40年。第5世代のマンハッタンは、再びオメガのアイコンとして舞い戻ってきたのである。
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