ブレゲは、1783年に創業者アブラアン-ルイ・ブレゲが発明したミニッツリピーターにオマージュを捧げる「クラシック ミニッツリピーター」を披露した。クラシックという名前の通りミニマルな表情が与えられた本作には、ミニッツリピーターをはじめ、グラン・フー エナメルのダイアルや精緻な手彫り装飾など、ブレゲの熟練した時計技術の多くが詰め込まれている。
古典的な装いから響く「ブレゲ」の音色
ミニッツリピーターは電気が発明される以前の1680年頃に、暗がりで時間を知るための術として開発された。アブラアン-ルイ・ブレゲはこの機能の改善に注力し、1738年にそれまで使用されていたベル型のゴングでは無く、板バネを打ち鳴らすミニッツリピーターを開発。腕時計自体の厚みを大幅に抑えつつも、はっきりとした音を発する複雑機構を作り上げた。
今回、ブレゲはこの創業者の偉大な開発にオマージュを捧げる「クラシック ミニッツリピーター」を披露した。
自動巻き(Cal.567.2)。31石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約40時間。18KRGケース(直径42mm、厚さ12.25mm)。3気圧防水。3589万3000円(税込み)。
18Kローズゴールド製のケースに、ミニマルなブラックダイアルを備える本作は、古典的なミニッツリピーターウォッチの装いを備えている。漆黒のダイアルにはブレゲ数字のインデックスに、ミニッツトラック、ブレゲのサインが施され、際立つローズゴールドのブレゲ針が時分を表示。さらにケースサイドにはお馴染みのコインエッジが施されており、9時位置に配されたレバーを操作することでミニッツリピーターを駆動するようになっている。
この限りなく黒いダイアルは、現代ではあまり見られなくなったグラン・フー エナメルによって彩色されている。
この技法では、粉砕した酸化物とシリカを混ぜ合わせた粉末を水に溶かし、様々な手法によってダイアルに塗布する。その後、焼成によって熱にさらされたエナメルが燃え上がり、溶けることでひとつひとつの層が作り上げられる。その過程は非常に複雑であり、望むような色彩に仕上げるには数週間かかることもあると言う。
ムーブメントにはCal.567.2を搭載する。フィンガーブリッジをはじめ、古典的な設計を特徴とする本キャリバーは、往年のリピーターウォッチを彷彿とさせる仕上がりを見せている。また、シースルーバックからは、余すことなく施された手彫りによるエングレービングも楽しむことができる。
精緻なクラフツマンシップ
本作のミニッツリピーター機構の開発において、ブレゲは象徴的な”ブレゲ”のメロディを追求している。
ゴングのチューニング作業は音響技師と時計職人によって、調和と旋律の2段階を実施。専用の無響室の中で各ゴングの共振周波数を測定し、それをもとに時計職人が手作業で微調整を施すことで、ブレゲらしい音色への追求が行われた。
また、ゴングの素材にゴールドを使用したことで、豊かな部分音(倍音)による調和のとれた音質を獲得している。さらに、ケースと同じゴールドを使用したことで、ゴングとケースが同じ音響インピーダンスを共有。それぞれ等しい音を伝達させることに成功している。
この特許取得済みの機構によって、本作のミニッツリピーターは、より上質な音を、より響かせられるようになったのである。
古い装いから洗練された音色を響かせる本作は、ミニッツリピーターの改良に情熱を注いだ創業者に対する、これ以上ないリスペクトが現れたタイムピースと呼べるだろう。
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