スイスの独立系ウォッチ・ブランド、アーミン・シュトロームは、歴史的に最も重要なイノベーションであるコンプリケーション、レゾナンス機構をまったく新しい「デュアルタイム GMT レゾナンス ファースト・エディション」として再解釈し、完全に統合されたマニュファクチュールの15周年記念モデルを発表した。この新しいモデルは、18Kホワイトゴールド製、待望の39mm径ケースで、25本の限定生産となる。
デュアルタイム GMT レゾナンス ファースト・エディション
手巻き(Cal.ARF22)。40石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約42時間。18KWGケース(直径39mm、厚さ9.05mm)。50m防水。世界限定25本。2420万円(税込予価)。
文字盤側のふたつの動的要素が一体となり、魅惑的なスペクタクルを演出
この時計の文字盤側には、レゾナンスの躍動的なスペクタクルが最大限に表現されている。共振状態で作動するふたつのテンプの動きと、振動を伝達するクラッチ・スプリングの脈動が組み合わさり、時計のオーナーに驚きと感動を与える魅惑的な光景を提供する。
完全に独立したタイムゾーン
この時計のもうひとつの貴重な特徴は、ふたつのタイムゾーンを完全に独立して設定できる点だ。ほとんどのデュアルタイムゾーン表示の時計では、時間のみを独立して設定できるだけで、分単位での設定が可能なのはごくわずかであろう。しかし、アーミン・シュトロームの「デュアルタイム GMT レゾナンス」では、ふたつのダイアルそれぞれで、時間と分の両方を任意の時間に設定できる。
ひとつの新しいキャリバーにふたつのムーブメント
デュアルタイム GMT レゾナンス ファースト・エディションには、新しいアーミン・シュトローム製Cal.ARF22が搭載されている。これはレゾナンス機構を備えた手巻きムーブメントで、共同創設者でありマスター・ウォッチメーカーであるクロード・グライスラーの指揮の下で社内設計、製造された18番目のキャリバーとなる。
ふたつの独立したミラード・オシレーターは、共振という自然現象を通じて逆位相で動作しながら互いに同期された鏡像となる。キャリバーにはふたつの香箱があり、それぞれが約42時間のパワーリザーブを提供。これらは4時位置にあるひとつのリュウズで巻き上げられる。独立した時刻表示は、ふたつの別々の輪列によって駆動され、太陽と月がエングレーブされミラー・ポリッシュ仕上げがなされたナイトアンドデイ・インディケーターは、ムーブメントに直接取り付けられた24時間ホイールに搭載されている。ケースの両側に配置されたリュウズで、各ダイアルの時刻を個別に設定できる。
視覚的に最も興味深い特徴の多くは文字盤側で見ることができるが、ケースバックからはムーブメントの特徴的なシンメトリカルな構造がさらに明らかになる。デュアルタイム GMT レゾナンスのムーブメントは、文字盤側のアニメーションに対応したユニークな巻き上げ体験も提供する。ラチェット・クリック・システムは、文字盤上でのこのアニメーションを提供し、ムーブメントの巻き上げを多感覚の体験に変えるだろう。
ラチェットに接続された従来のクリック機構とは異なり、デュアルタイム GMT レゾナンスの3次元ラチェット機構は、ふたつのバレルの間に配置されたピニオンに接続され、負荷をより均等に分散する。このふたつの部分からなるシステムは、メインプレートに固定されたブレゲ・ティースのツヅミ車を備えた下部ギアと、軸に接続されスプリングを備えた上部要素で構成されている。このアプローチにより、巻き上げ機構のより正確な接続と切断が可能となり、より一貫した性能、効率的なエネルギー伝達、部品の摩擦と摩耗の軽減、滑らかな操作性、そしてシステム全体の耐久性が向上する。
2 つのシンメトリックに配置されたダイアル
デュアルタイム GMT レゾナンス ファースト・エディションは、それぞれグレナージュ仕上げがなされたふたつのスカイブルーのダイアルが対称的に配置されている。現在生産されているアーミン・シュトロームのレゾナンス機構を備えたタイムピースの中で、対称的なふたつの時刻表示機能を持つ唯一の時計である。
極上の仕上げ
ファースト・エディションの文字盤はスカイブルーのグレナージュ仕上げで、ブラックのアジュラージュ仕上げがなされたチャプターリングが囲んでいる。リングにはポリッシュ仕上げのバトン型インデックスが取り付けられ、ファセット・カットされた針と調和している。太陽と月がエングレーブされミラー・ポリッシュ仕上げがなされたナイトアンドデイ・インディケーターは、24時間ホイールに直接取り付けられていて、ツインのテンプ受けは初めてのスティール製で、平らな面に手作業で磨きをかけ、伝統的な高級時計装飾の最高基準に従って、鏡面仕上げが施されている。
このキャリバーの贅沢な手仕上げと装飾には、手作業による面取り、スクリュー、シンク、サーキュラー・グレイン、ペルラージュ、ジュネーブ・ストライプが含まれる。アントラサイトとシルバーのトーンの対比が、視覚的な深みと劇的なコントラストをさらに強調している。
レゾナンス(共振)とは ?
ウォッチメイキングにおいて、共振の状態は、ふたつのムーブメントをひとつのケースに収めることで生み出される。これによって、両方のムーブメントのテン輪がほとんど感知できない振動を互いに共有し、リアルタイムで自然に影響しあい調整されるようになる。この共有によって、ふたつのテン輪が完全に同期し、自然な共振状態で互いに調整しあうことで、重力や手首の動きによる時計精度への悪影響を打ち消すことが可能になる。共振状態を維持できる時計の主な利点は、一貫した計時を維持し、計時精度を最大化にできることである。クロノメトリックな一貫性とは、時計が毎日正確に同じ秒数だけ進み、または遅れることを意味する。クロノメトリックな一貫性は、海上航行において経度をより正確に計算するために一貫した計時を必要とする「経度問題」を解決するために、歴史的に何百年にもわたって追求されてきた。
アーミン・シュトロームのレゾナンスへのアプローチは、他のものとどう違うのか ?
アーミン・シュトロームのレゾナンスへのアプローチは、いくつかの点で他のレゾナンス機構搭載の時計とは根本的に異なる。アーミン・シュトロームのレゾナンス・ウォッチは、アンティド・ジャンヴィエのレゾナンス・クロックにヒントを得た「クラッチ・スプリング」と呼ばれる特許取得済みの専用サスペンション・システムを使用して、テンプ間の振動媒介として機能する。これは他の多くのレゾナンス機構搭載の時計が、ムーブメントのメインプレートなどの既存部品に依存して振動を伝達する方法とは対照的だ。アーミン・シュトロームの革新的なアプローチは、その耐干渉性により、レゾナンス現象を活用して、腕の動き、重力、温度変化などの外部要因によって引き起こされる振動率の偏差を事後に修正するだけでなく、事前に防ぐことができる。(他のアプローチでは、影響を受けたテンプが最終的に共振状態に戻るのを待つことになる)。
これらの理由から、他のアプローチでは、アーミン・シュトロームのレゾナンス時計と同じ耐久性、予測可能な計時上の利点、および計時上の一貫性を提供することはできない。この差別化されたアプローチにより、アーミン・シュトロームのレゾナンス時計のツインテンプが、あらゆる位置で同期を保ち、干渉に対する耐性を持ちながら、卓越した計時上の一貫性と精度を非常に効果的に保証する。