ヴァン クリーフ&アーペルがエナメル技法を注ぎ込み、文字盤の蝶々が飛び回る、複雑時計「レディ アーペル ブリーズ デテ ウォッチ」

自然は、創業以来、ヴァン クリーフ&アーペルが大切にしてきたインスピレーションの源であり、その作品に詩情とみずみずしい生命力を吹き込んできた。時の流れと密接に結びついているこのテーマは、メゾンが手がけてきた数多くのタイムピースにも脈々と息づいている。メゾンは、動植物の絶え間なく変容し続ける姿に魅了され、生まれ変わる春、緑豊かな庭園、蝶のはばたきを作品のなかに写し取ってきた。

レディ アーペル ブリーズ デテ ウォッチ

永遠に巡る自然のサイクルへのオマージュ

「レディ アーペル ブリーズ デテ」は、夏の朝に立ち上るさわやかな香気を讃えた新作ウォッチだ。マザー・オブ・パールが控えめな光沢を放つ文字盤には、牧歌的な情景が描かれ、悠久の自然のサイクルと詩的なハーモニーを奏でながら時を刻む。

　ヴァロネエナメルで彩られた花々は、ミニアチュールペインティングによるブルーのグラデーションが印象的で、スペサタイトガーネットの雌しべが周りの花びらを明るく照らす一方、ツァボライトガーネットをちりばめた葉により、文字盤に広がる絵画のような風景の輝きが一層際立つのだ。優美にしなる2枚の細長い葉には、やわらかなグリーンのプリカジュールエナメルが施され、背景に彩りを添えている。

　同じくプリカジュールエナメルをまとい、対角線上でそれぞれ正午と真夜中を示す位置に羽を休める2匹の蝶は、飛び立ち、入れ替わる。ボタンを軽く押すと、文字盤に命が吹き込まれ、まるでそよ風になでられるように花びらが揺れるなかを、蝶が舞い飛ぶのだ。

　詩情に満ちたストーリーはケースの裏に続く。エナメルデカールで描かれた花々がサファイアクリスタルを飾り、エングレービングを施されたゴールドの上に伸びる茎の間から、自動巻きローターを見ることができる。

ミニアチュールの芸術品

　エナメルへのミニアチュールペインティングは、長い歴史を誇る技法であり、17世紀以来、多くの芸術家に賞賛をもたらしてきた。画家がパレットを用いるのと同様に、エナメルアーティストはシリカパウダー、微細に砕いた顔料、油を調合して色とりどりのエナメルを創り出す。

　レディ アーペル ブリーズ デテでは、職人の手により、花びらはヴァロネエナメルの技法で、蝶はプリカジュールエナメルで色付けされる。毛の細いテンのブラシを駆使することで、繊細な色彩のグラデーションを生み出しているのだ。着色のプロセスでは、明るいトーンのものから深みのある色調へと、極めて正確な順序で一色ずつ塗布していく。ひとつの色を塗るごとに焼成を必要とし、その時間と温度を判断できるのは、経験豊富なエナメル職人に限られる。

　フリーハンドで行うドローイングには、正確さと熟練の手技、そして真の芸術的才能が欠かせない。一方、焼成のプロセスでは、そのひとつひとつの工程で絶対的な精度が求められるのだ。

ポエティック コンプリケーション コレクション

　2006年に誕生した「ポエティック コンプリケーション」コレクションでは、時計製作の技術が貴重な素材や伝統的なサヴォアフェールとひとつになり、文字盤のひとつひとつに唯一無二のストーリーを生き生きとつむぎ出していた。レトログラード ムーブメント、回転ディスク、オンデマンドアニメーションをはじめ、複雑を極めたモジュールは、ジュネーブにあるヴァン クリーフ&アーペルの時計工房で開発されている。4年もの歳月をかけて完成したレディ アーペル ブリーズ デテは、この比類ない専門知識を余すところなく体現する作品なのだ。

　メゾンの職人たちは、ひとつの作品を創作するたびに、エナメルからミニアチュール ペインティング、エングレービング、彫刻まで、何世紀も続く技法を継承するだけでなく、さらに発展させている。

ヴァン クリーフ&アーペルとは

　1895年、アルフレッド・ヴァン クリーフとエステル・アーペルの結婚を機に、1906年パリ ヴァンドーム広場22番地に創業したヴァン クリーフ&アーペル。その後1世紀以上にわたり、ミステリーセット技法やミノディエール、ジップネックレス、アルハンブラモチーフなど、詩情あふれる独創的な作品を生み出す卓越性と創造性に秀でたハイジュエリーメゾンとして、世界中でその地位を確立してきた。

　心を揺さぶる特別な個性を持った宝石(ピエール ド カラクテール)と、黄金の手と呼ばれるメゾン専属の職人たちが伝えるサヴォアフェールから生まれる、魔法のように人を魅惑するジュエリーと時計の数々。 自然やクチュール、ダンス、空想の世界から着想を得て、メゾンは時を超える美と調和の世界を描き続けている。