フランス海軍が認めた伝説のダイバーズ・ウォッチ・ブランド、ZRCが日本上陸

ダイバーズ・ウォッチに特化したスイスの時計ブランドZRC(ゼット・アール・シー)が日本に上陸する。輸入、直営店舗である「ノーブルスタイリングギャラリー」および同社ECサイト(https://noblestyling-ec.jp/)での販売も開始される。

ZRC – 長年にわたる家族の歴史

　1904年にエドモンド・ズッコとジョセフ・ロシェによって設立された　ZRCは、ブレスレットやストラップ、そしてダイバーズ・ウォッチを考案することで常に革新を続けてきた。1909年にジュネーブにて登記し、ジュネーブ貿易企業登録簿に No.52として登録された。ガゼット(またはポケットウォッチ)用のチェーンを専門とするこの企業は、ガゼットを手首に着用できるようにした初の「クロー(爪)」ブレスレット、1917年には伸縮式メタル・ブレスレットを開発した。

　1917年、同社は史上初の伸縮式メタル・ブレスレットの開発により、非常に名誉のあるジュネーブ新産業賞を受賞し、その製造において世界のリーダーとなった。旋盤加工のスペシャリストとして、顧客はダイバーズ・ウォッチの防水ケースの製造も同社に依頼していた。1958年、海軍のウォッチメーカーであるイヴ・パストルと、当時同ブランドのコマーシャル・ディレクターであったブルダリアンとの何気ない会話の中で、経営陣はフランス国海軍からの入札について知らされる。ルイ・ブリュネが指揮を執り、同社は「ZRC グラン・フォン」の冒険に乗り出した。そして、ZRCは1995年までクリアランス・ダイバーに装備を提供し続けた。

最初の「グラン・フォン 300」

　最初の「グラン・フォン 300」から50年後の2015年、家族経営の会社を率いるジョルジュ&シャルル・ブルネ（ジョセフ・ロシェの曽孫）が、この象徴的なモデルの復刻版の研究を開始した。そして「ZRC GF300」がよみがえった。

2015年によみがえった「ZRC GF300」

　ZRCは、マテリアルのプログラム化された変形に関連するひずみ研究の分野で高度な専門知識を有しており、ヘリウムバルブやケース内のゲルの存在に頼ることなく、非常に深い水深（5100m）に耐える防水時計を製造することを可能にしている。さらにケースの厚みを抑えることで、時計をより快適に装着できるようにもしている。実際、サファイアクリスタル、スティールもしくはチタニウムケース、セラミックは、圧力や温度の変化に対して同じように反応しない。この卓越した専門技術により。ブランドは信頼性が高く、シンプルで効果的な時計を提供することができるのだ。そして、2021年、各モデルが完全に再デザインされ、現在のコレクションが誕生した。

ZRC とフランス海軍との緊密な関係

　1960年にグラン・フォン 300に正式な承認を与えた後、フランス海軍は設計者に対し、3時位置のリュウズは水中での操作中に脆弱すぎるため問題が生じると説明した。海軍はZRCに、手首の動きを妨げずにリュウズを保護し、何よりも水中でリュウズが解放されないようにするための「解決策を見つける」よう依頼した。そして 1964年、モノブロックから切り出された筒形で構成される独自のシステムを使用してケースに接続された6時位置に配されたリュウズを開発した。

ラグの間のスペースに特化した独自の格納式エンドピース

　1970年、ZRCは、ラグの間のスペースに特化した独自の格納式エンドピースを開発した。これにより完全にねじ込まれていない状態のリュウズでは、エンドピースの凹部に収納することができない。つまり、リュウズがねじ込まれていないと、ブレスレットを正しく装着することができないようにした。またブレスレットは、ふたつの伸縮リンクを備えている点でも独創的であり、ダイビングスーツの上からでも調整なしで時計を着用できる。超発光のマグナム針により、水中での完璧な視認性が確保された。ZRC グラン・フォンは、パリ消防隊とフランスの水上スキーチームに支給された。しかし、何よりもフランス海軍(トゥーロン潜水学校、トゥーロン機雷除去ダイバーズグループ第三師団、特殊部隊コマンド・ユベール)とイタリア海軍の時計でもあった。

　ダイバーがダイバーのために設計した時計として、フランス海軍の支援を受けた非軍事部隊にも採用され、その中には、ジャック=イヴ・クストーの有名なカリプソ号も含まれ、この時計は世界中に広まり、その評判を確固たるものにした。

海洋戦略部隊 FOST 乗組員用の ZRC - FOST ウォッチ

　海洋戦略部隊FOSTは、1972年3月1日に創設され、核抑止力を維持するというド・ゴール将軍の意志のもとに誕生した、フランス核戦力の潜水艦部隊である。2016年から2017年にかけて、ZRCはフランス海軍の現役潜水艦乗組員に捧げる50本の ZRC-FOSTウォッチシリーズを製作した。地球上でもっとも技術的かつ強力なマシーンを操縦することに慣れた潜水艦乗組員に装備させることは、ZRCへの究極の評価であろう。

　60年代、アドヴェンチャーとZRCの先駆者は、ダイビングのアイコンとなる素晴らしい時計を開発した。ダイバーによるダイバーのためのデザインで、当時、地中海ダイバーの第3グループと緊密に協力して、フランス海軍からの入札に応じて開発された。多くの点で革命的な時計である「ZRC グラン・フォン 300」は、フランス海軍のダイビング・スクール、3つの機雷除去グループ、およびユベール・コマンドに装備された。特殊部隊の先鋒であるこの伝説の部隊は、すべての大陸で極秘に配備されている。2017年 6月、ZRCと機雷除去ダイバーの小グループがZRCの運用能力を評価するためのテストデイを開催した。グラン・フォンのために実行されたミッションであった。

ZRC の特許取得済み、イージー・クリーン・システム(ECS)

　ECSは、国立海洋研究所の機雷除去ダイバー・グループが数多くの潜水中に遭遇したベゼルとケースの隙間に塩が結晶化し、回転が妨げられるという問題に対する技術的な解決策である。グラン・フォン 300復刻版のために、ZRCは機能的な解決策を開発し、特許を取得した。(No. 1462496)。ECSの誕生である。真水を循環させて海塩を希釈し、排出することでベゼルの内側を洗浄する独自のシステムである ECS は、オリジナルのグラン・フォンへの究極のトリビュートであり、ブランドのアイデンティティと完全に調和している。

ECS内での水の流れ

1：水の取り入れ口
2：ベゼルの切り込み部分のクリーニング
3：ケースとベゼルの間のスペースのクリーニング

ZRCのクラウン プロテクション システム

　格納式エンドピースを使用したこの独自のブレスレット・システムにより、100%の安全性が保証される。このシステムにより、リュウズを元の位置にねじ込まずに時計を水中に入れることが不可能になった。リュウズがねじ込まれていないと、ブレスレットの位置は正しく調整できない。この効果的な方法により、技術的な問題を引き起こす可能性のある見落としを防止できる。

特殊なメタルブレスレット

　新しいグラン・フォン 300には、ダイビングスーツの上からでも着用できる自動調整式ブレスレットが装備されている。この独自の埋め込み式スプリングシステムは、着用者の腕回りに自動的に適応し、比類のない快適さを実現する。ブレスレットの時計側のふたつのリンクが新しい腕回りに合わせて伸びるため、調整は必要ない。

ダイバー クラスプ

　ZRC グラン・フォンのユニークで特別なクラスプは360度ロックを備え、最大限のセキュリティを実現する。フランス海軍の機雷除去グループのニーズを満たすよう開発されたものだ。

ZRC の豊富なストラップとブレスレット

　ZRCは主に2種類のカーフスキンを使用している。ブルガロ（イタリアの老舗タンナーであるロ・スティヴァーレが製造するイタリアンレザー)は、水、紫外線、汗に強いタンニンなめしが施されており、スポーツに最適である。一方、植物タンニンなめしは 100%生体適合性があり、重金属を含まず、時間の経過とともに美しい風合いを出すが、スポーツや水中活動には強くお勧めできない。

独自のメタル・ブレスレット

　1960年代にフランス海軍のダイバーと緊密に協力して開発されたメタル・ブレスレット DIVERS ZRCには、独創的なスプリングが埋め込まれている。この独自のシステムは手首に自動的に適応し、比類のない装着感を提供する。ハーフリンクのおかげで+/- 3mmで調整でき汎用性が保証されている。

NATO ストラップ

　グラン・フォン シリーズには、2つのパーツからなる特別なNATOストラップも装備できる。このストラップのユニークな構成は、手首に自動的に適応し、比類のない快適さを提供してくれる。追加の調整は必要なく、S、SM、M、Lの異なるサイズのおかげであらゆる状況に適応可能だ。

ラバー・ストラップ

　ZRC ラバー・ストラップは、アルカリや酸の攻撃に強い最高の素材で作られている。炭化水素やアルコールにも非常に耐性があり、手首にぴったりとフィットするよう形成されているので、非常に快適に着用できる。サイズはMとLの2種類が用意される。

グラン・フォン ウォッチ コレクション

　人生は冒険であり、深海を探索することはスリル満点である。そのためZRCは海や陸上の過酷な条件に耐えられるように作られたダイバーズ・ウォッチを提案している。1964年から1985年までフランス海軍に時計を供給していたという伝統を受け継ぎ、ZRCはジュネーブで時計を設計し、タヴァンヌの工房で頑丈で信頼性の高い時計を丁寧に組み立てている。

基本的な構造

　どのモデルも、同じスタイルと技術的な特徴を備えている。各モデルは機能的に設計された六角形のケースを特徴としており、その上には一方向の回転ベゼルがセットされている。ベゼルのローレット加工は完璧なグリップを保証するために微調整されており、傷のつきにくいセラミック・インサートが装備される。「グラン・フォン MN64」には、特許取得済みのイージー・クリーン・システムであるECSが組み込まれており、海で使用するたびに全体を効果的に洗い流す。また、すべてのモデルは、6時位置のリュウズが完全にねじ込まれていないと、ブレスレットやストラップが通常の位置に固定されないクラウン・プロテクション・システムにより、防水性が強化されている。

グラン・フォン MN64

グラン・フォン ヘリテージ リエディション

　細部に至るまで1960年代初頭に作られたオリジナル・モデルと同じ特徴が受け継がれている。滑らかなドーム型の文字盤、マグナムスタイルの針、アワーサークル、ミニマルなベゼルが、このモデルに多面的な個性を与えている。快適なステンレススティール製ブレスレットは、象徴的な六角形の同じくステンレススティール製のケースの際立ったラインを完璧に引き立て、エレガントな特徴を強調する。すべてのZRCウォッチと同様に、究極の防水性を実現するために、そのモダンなデザインには、マテリアルの変形に関する最新のイノベーションが組み込まれている。

グラン・フォン 3000 チタニウム

　ZRCが考案したダイバーズ・ウォッチは、最新のカラー・バリエーションを豊富に取り揃えている。シンプルな文字盤にはスーパールミノーバでコーティングされたアワーマーカーがあり、どんな光の状況でも優れた視認性を発揮する。カスタマイズのニーズを満たすため、快適なメタル・ブレスレットとラバー、レザー、NATOスタイルのファブリック・ストラップはすべて互換性があり、交換可能だ。さらに、3つのコレクションの各モデルは、卓越した精度で際立っている。それぞれに高性能な自動巻きムーブメント、Sellita Cal.SW200-1 または洗練されたバージョンの Sellita Cal.SW300-1 が搭載されている。

MN64 フェニックス リミテッド・エディション

　ZRCは120年の歴史において、85年前の謎を解明するため、1939年6月15日にベトナムのカムラン湾で行方不明となった Q157フェニックス潜水艦の捜索を開始した。この機会に、ZRCは「グラン・フォン MN64 1000M」の限定版を200本を製作した。この限定モデルは、フェニックスのマウスタップと潜水艦の 1/750サイズの模型が付属し、特別なパッケージに収められている。これは沈没中に行方不明になった76人の船員への究極のトリビュートである。

セキュリコード ダイバー 300

　ZRCは120周年を記念して、セキュリコードという印象的な名前の新しいコレクションを発表した。異なるマテリアルにヴィンテージなアクセントを加えた3つのモデルが、ブランドの歴史におけるエキサイティングなチャプターの幕開けとなる。セキュリコードの70年代風の解釈は、3時の位置に日付表示を備えた洗練された文字盤にある。トロピック・スタイルのラバーストラップ（FKM - フッ素ラバー）を備え、ネオ・ヴィンテージルックを演出した。ブラックの文字盤、サテン仕上げのスティール・ケース、トロピック・ラバー（FKM）ストラップを備えたこのバージョンは、1958年モデルの再解釈である。真鍮製の文字盤とセラミック・インサートを備えたベゼルが組み込まれ、ケースはオリジナル・モデルと同様のブラッシュ仕上げである。レトロシックに仕上げられた針は、精巧な自動巻きムーブメントCal.SW200-1によって駆動する。

注目すべきディテール

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