スイスの老舗時計ブランド、デルマが、創業100周年を記念して製作した「デルマ 1924 トゥールビヨン」に、新たなバリエーションが加わった。2024年に発表され大きな話題を呼んだ初代モデルに続き、今回新たに登場したのは、ブルーとサーモンの2色を基調としたギヨシェ装飾のダイヤルを持つ限定モデル。それぞれ世界限定25本という希少性を誇る。
時を超えて語り継がれる、伝統と革新の融合
1924年にスイス・ビエンヌで誕生したDELMAは、これまでダイバーズウォッチやスポーツウォッチを中心に、堅実で高品質な製品づくりで知られてきた。そんな同社がブランド創設100周年という節目に発表した「デルマ 1924 トゥールビヨン」は、単なる記念モデルにとどまらず、スイス時計産業の粋を集めたハイエンドモデルとして高く評価されている。
今回追加された新作は、文字盤に伝統的なグレイン・ドゥ・リッツギヨシェ模様をあしらったもの。手作業によるこの彫り込み装飾は、光の加減によって複雑に表情を変え、芸術性と技術力の高さを物語る。ブルーは知的かつ深みのある印象を、サーモンは柔らかく温かみのある雰囲気を醸し出す。いずれもトゥールビヨンのメカニズムと見事な調和を見せる色彩だ。
自社設計ムーブメント、Cal.DT100.01が叶える高性能
本モデルの心臓部には、デルマが独自に設計・開発した手巻きムーブメントCal.DT100.01が搭載されている。トゥールビヨンを6時位置に配しながら、約105時間ものロングパワーリザーブを実現。ムーブメントには可変慣性テンプやKIF製の耐衝撃システムが備えられており、耐衝撃性は5000G、さらに2000ガウスの耐磁性も確保。華麗な外観に加え、プロフェッショナルユースにも応える高い実用性を備える。
このムーブメントの製造には、スイス国内でも限られた高精度パーツメーカーの協力が不可欠だったという。まさにデルマの100年以上の歴史と技術ネットワークが結実した結晶といえるだろう。
ケースは直径41mm、厚さ14mmのバランスの取れたサイズ感で、素材には高耐久の316Lステンレススチールを使用。サテン仕上げとポリッシュ仕上げを組み合わせることで、落ち着きのあるスポーティーさと高級感を両立させている。防水性能は20気圧を確保しており、トゥールビヨンモデルとしては非常に高いスペックを誇る。
ストラップはステンレスブレスレットに加え、文字盤カラーに合わせたイタリアン・レザーストラップが付属。いずれもクイックリリース仕様で、ユーザー自身が工具不要で簡単に付け替えられる点も嬉しい。
トゥールビヨンの次の100年を示す旗印
「デルマ 1924 トゥールビヨン」のブルーおよびサーモンは、それぞれ限定25本。税込価格は319万円と、ブランドの中でも最上級に位置づけられる1本だ。だが、この価格には単なる素材や機構の価値を超えた、100年の歴史が育んだ信頼、そして次の100年に向けたブランドの覚悟が込められている。
デルマが100年の節目に発表したこのモデルは、過去への敬意と未来への展望を見事に体現した“生きた伝統”であり、コレクターや愛好家にとっては極めて希少かつ意義深い1本となるだろう。

創業100周年を記念したトゥールビヨンモデル。ギョーシェ装飾のブルーおよびサーモンダイヤルが特徴。手巻き(Cal.DT100.01)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約105時間。SSケース(直径41mm、厚さ14mm)。20気圧防水。世界限定25本。319万円(税込み)。
「デルマ 1924 トゥールビヨン」の新作。文字盤には伝統的な“グレイン・ドゥ・リッツ”ギヨシェ装飾が施され、ブルーの色調が光を受けて豊かな表情を見せる。自社開発ムーブメント「Cal.DT100.01」を搭載し、約105時間のロングパワーリザーブを備える。

創業100周年を記念したトゥールビヨンモデル。ギョーシェ装飾のブルーおよびサーモンダイヤルが特徴。手巻き(Cal.DT100.01)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約105時間。SSケース(直径41mm、厚さ14mm)。20気圧防水。世界限定25本。319万円(税込み)。