バーゼル日記3月21日その3・美味しいランチ
バーゼルワールドの期間中は市内のホテルの料金がとても高くなるため、多くの人がチューリッヒやルツェルンなどから一時間以上かけて列車で通ったり、僕のように国境をまたいで宿泊したりと自衛手段を講じる。
国境をまたいでといってもわが宿泊先の貸しアパートメントは、バーゼルの中心部からトラムと呼ばれる市街電車や、フランス側から乗り入れているバスに乗って、およそ20分でフェア会場まで行くことができるから、至極便利ではある。
国境をまたぐだけでスイスとの物価は極端に違い、素敵なレストランを見つけて食事をしても、スイスの半額に近いというおまけまでつくのがうれしい。
僕の時計の旅には家内が同行することが多く、暇を見つけてはフランス側のサン・ルイという町を散策したり、自炊のための商材をマーケットで手に入れたり、お気に入りのレストランで美味しいランチを楽しんだりするのだ。
今回はバーゼルワールドの前々日の19日に到着したので、その日のランチをお気に入りのル・トリアノンという店で楽しんだ。ここは「雛には稀な」と言ったら失礼にあたるが、かなりのレベルの料理を納得できる値段で楽しませてくれるのがうれしい。
30ユーロくらいから50ユーロくらいまでのいくつかのランチメニューがあるが、今回は38ユーロのランチにしてみた。50ユーロの物だと食べきれなくなるからだ。
前菜の前にアミューズブッシュとして出た一皿目に、クリームブリュレのような姿の者があり、一口いただくとそれはなんとパプリカをムース状にしたものを、ブリュレにしたものでものすごく美味しいく、ただでさえ空いていたお腹を完全に刺激し食欲を解放してくれるものだった。
前菜は季節の野菜のサラダに山羊のミルクからつくられたシェーブルというチーズを加熱し、小さなパンに乗せたもの。シェーブルは少し癖のあるチーズだがその日のそれはまろやかな風味のあるものだった。
そしてメインの肉料理は、仔牛のレバーをソテーして濃厚な味のソースに合わせ、トウモロコシをムース状にしたポレンタとともにいただくものだった。
サン・ルイの属するアルザス地方のワイン、ゲウルツトラミュナーとともに食べるランチはまさに至福のひと時である。
そして締めくくりのデザートは、季節の苺をソルベにしたものやカットした苺をクリームといただくもので、ダイエットは明日からと心に念じて楽しみつくした。