ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ(旧SIHH)の開催キャンセルが発表

2020.02.27

 2020年2月27日、FHH(高級時計財団)は、4月25日から29日まで開催予定だったウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ(旧SIHH)の開催をキャンセルすると発表した。
 同イベントは、リシュモン グループ各社を中心とした招待制の時計見本市。近年は独立時計師や小メーカーにも門戸を開くなど、もうひとつの時計見本市であるバーゼルワールドに遜色ない存在感を見せていた。

 長年、旧SIHHとバーゼルワールドは対立関係にあったが、2020年は、開催期間を続けることに合意。4月下旬から5月上旬にかけて、ウォッチーズ&ワンダーズ ジュネーブとバーゼルワールド 2020という、ふたつの時計見本市が連続開催されることになっていた。


開催中止の決定打となった、新型コロナウイルスの広まり

 FHHは、開催中止の理由を次のように説明した。「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な広がりに関する最新の動向を考慮すると、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブの主催者である高級時計財団の義務は、旅行や重要な国際的な集まりに伴う潜在的なリスクを予測することです。したがって、すべてのお客様、メディア関係者、パートナーとチームの健康と良い状態を守るべく、2020年4月25日から29日まで予定されていた、来たるべきウォッチーズ&ワンダーズ ジュネーブ(旧SIHH)とそれに付随するイベント『イン ザ シティ』をキャンセルする決定が下されました」

 そもそも、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブとバーゼルワールド 2020の開催時期が、イスラム教の「断食月」のラマダーンに重なっているため、今年はイスラム諸国からのバイヤーやジャーナリストは来ないと予想されていた。


スイスでは、2月25日に初の感染者を確認

 加えて、ドイツのルフトハンザグループ(スイス インターナショナル エアラインズ、オーストリア航空及びルフトハンザ航空)が、北京、上海、南京、瀋陽、青島との往復便を運行停止し(3月28日まで)、香港の往復便も本数を減らした結果、ふたつの見本市に中国からメディア関係者やバイヤーを呼ぶことが難しくなっていた。しかし、リリースにあるとおり、新型コロナウイルス感染症の患者急増が開催中止の直接のきっかけだろう。
 スイスでは、新型コロナウイルスの感染者を確認できなかったが、2月25日に初の感染者を、26日には新たに3名を加えた。現在感染者のひとりはジュネーブ大学病院に入院しており、その人物と接触した15人が自宅で隔離状態にある。また、スイス国内では、70名の疑わしい事例が確認されている。

 なお、バーゼルワールド 2020に関する情報はないが、近々公式のアナウンスがあると予想される。