セイコーエプソンがスマートウォッチへの適応が期待されるセンシング関連技術の外販を開始

2020.10.06

セイコーエプソン株式会社は、センシング関連技術の外販を開始した。外販対象となるのは、アクティビティ向けのウェアラブル端末への搭載実績品や人体への装着を想定した製品などである。

センシング関連技術の外販を開始

センシング関連技術

スマートグラス MOVERIO「BT-30C」
メガネのようにかけるだけで大画面映像を楽しめる、両眼シースルー・ハンズフリーのスマートグラス。近年増加しつつあるスマートフォンで動画視聴コンテンツを楽しむユーザーに向けて、スマートフォンで再生した映像をメガネ型ディスプレイにより大画面で楽しむことができるアイテム。

 セイコーエプソンは、センシング関連技術の外販を開始した。対象となる製品およびサービスは以下である。

・GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)、バイタルセンサーなどの各種センシングデバイスならびにモジュール
・各種用途(スポーツ、ヘルスケアなど)向けにセンサーを最適化するソフトウェアライブラリー
・エプソン独自のビッグデータに基づくモーション解析結果の情報提供サービス

 エプソンは、コアとなる独自のセンサー技術を応用したセンシングデバイス製品のノウハウを豊富に有する。2019年まで提供していたランニングなどのアクティビティを想定した腕時計「リスタブルGPS」では、ウェアラブル端末への各種デバイスの搭載実績の他、準天頂衛星システム「みちびき」を活用した高精度な位置取得を短周期で実現し、加速度センサーとの連携でランニングのストライドを算出するなどの走行状態を観測可能としていた。この他に、LEDを使用した脈拍センサーで取得した脈拍情報と、加速度センサーを連携させて体動ノイズを除去し、高精度な脈拍測定を実現している。

スマートウォッチ市場の拡大

センシング関連技術

エプソン「WristableGPS U-350BS」
アスリート層向けモデルからGPSランニングウォッチ初⼼者のエントリー層向けモデルまで、多彩なモデルがそろうエプソン製スマートウォッチ。本格的なマラソン⼤会での記録更新を⽬指すアスリート層向けの「J-350B/F」「J-300T/B/W」や、ランナーの⽇常の健康管理からアクティビティまでサポートし、盤⾯にサファイアガラスを採⽤しデザイン価値を⾼めた「U-350BS」など幅広いラインアップで構成されている。

 エプソンはこれらの技術の外販に際し、スマートウォッチ市場の更なる拡大を視野に入れていることは間違いない。外販対象となる製品には、ウェアラブル端末への搭載実績品に加え、バイタルセンサーのように人体への装着を想定した製品が多く含まれるためであり、その活用事例の最も大きな市場のひとつがスマートウォッチだからである。

 ウェアラブル端末に搭載可能なセンシングデバイスを提供するメーカーは多く存在するが、各種デバイスによる取得情報を統合して解釈するためのソフトウェアライブラリーを有し、それを実装した端末の販売実績のあるメーカーは多くない。

センシング関連技術

3軸加速度センサー「M-A352」
構造ヘルスモニタリングに最適な加速度センサー「M-A352」。今後の本格的な構造ヘルスモニタリング技術の普及に向けて、これまで実現が困難であった精度と耐久性を高い次元で両立させたことで、高精度計測の適用が難しかった多様なアプリケーションへの適用を可能とした。

 エプソンがこれら技術の外販を開始することで、パートナーとなる企業がスマートウォッチを製作する際に、それらデバイスに加え、ソフトウェアライブラリーの提供を受けることができる。単なる位置、加速度、心拍情報を、ユーザーのアクティビティとして解釈できるようになり、パートナー企業はユーザーのアクティビティに対して評価するアプリケーションに注力することが可能になる。

 これにより、エプソンの各種技術は、ユーザーのアクティビティの解釈に関する技術の無かったスマートウォッチブランドに対して大きな訴求力を持つ可能性を秘めており、今後の動向が期待される。


Contact info: エプソンhttps://www.epson.jp/