風土を伝える老舗「志摩観光ホテル」の魅力的な開業70周年の記念プランを紹介

2020.10.24

真珠の養殖で有名な英虞湾に面する賢島に建つ「志摩観光ホテル」が、開業したのは昭和26年(1951年)4月3日のこと。シマカンの愛称で親しまれ、歴代天皇の行幸啓の宿として、また、作家の山崎豊子氏が贔屓にしていたことでも知られている。2016年の「第42回先進国首脳会議(伊勢志摩サミット)」の会場となったことは記憶に新しいだろう。来年21年には70周年を迎えるにあたり、多くの特別なプランを展開するので、ホテルの魅力と共にご紹介したい。

開業70年を迎える「志摩観光ホテル」

志摩観光ホテル

伊勢志摩国立公園の中にある、約2万5000坪の広大な敷地を誇る「志摩観光ホテル」。
外川ゆい:取材・文 Text by Yui Togawa


豊かな風土を感じる“志摩時間”に身を委ねる滞在

 1951年、戦後初の純洋式リゾートホテルとして誕生した「志摩観光ホテル」。当時、賢島に真珠の買い付けに訪れる外国人が増えたこともあり、洋式ホテルが必要であると開業に至った(現在の「ザ クラブ」)。69年に、現在の「ザ クラシック」が完成し、国内最大級のリゾートとして話題を集めた。その後、2008年には、全室100㎡以上の広さを誇る「ザ ベイスイート」が、真珠の生まれる英虞湾にある大人のリゾートをコンセプトにオープン。館内には、およそ5万個の天然真珠が、装飾としていたるところに使われている。

志摩観光ホテル

「ザ ベイスイート」のフロントロビーでは、天然真珠のシャンデリアが出迎えてくれる。

 70周年記念プロモーションのひとつである宿泊プラン「Luxperience(リュクスペリエンス)~あなただけの志摩時間~」では、四季折々の自然と美食に出会う旅を、ゲストひとりひとりに寄り添ってバトラーが提案。地元の生産者を実際に尋ね、魅力を紹介するホテル季刊誌「志摩時間」(※HPにて閲覧可能)でご紹介してきた三重の豊かな自然に育まれた生産地や、季節ごとの体験を愉しむプランとなっている。期間は20年12月1日(火)~22年3月31日(木)、2名2泊3日(夕食2回、昼食2回、朝食2回)、「ザ ベイスイート」のコーナースイートの滞在で約70万円~(オプションにより料金が変わる)。ここでしか得ることができない出会いや食体験が贅沢な時間となることだろう。

志摩観光ホテル

伊勢志摩のブランド柑橘を育てるアサヒ農園を訪れた樋口宏江総料理長。

 古くから「御食国(みけつくに)」として朝廷へ食物を納めてきた伊勢志摩にある「志摩観光ホテル」ならではのスペシャルな食を満喫できる宿泊プランも用意している。「総料理長樋口宏江の特別なおもてなしをおふたりに。ロイヤルスイートルームで愉しむ特別ディナー」は、「ザ ベイスイート」のロイヤルスイートルーム(バルコニー含む210m²)で、総料理長樋口宏江氏が目の前で仕上げる特別ディナーをご用意。プライベートな空間で樋口シェフとの会話を楽しむひと時は、思い出深い滞在となるだろう。朝食は、テラスで愉しめるよう特別メニューをルームサービスで。期間は21年4月1日 (木)~、2名1泊2日、約50万円(2週間前までの予約制)。

志摩観光ホテル

全50室すべてがスイートルームの「ザ ベイスイート」のロイヤルスイート。

 料理を通して地方食材の魅力を伝え、資源を守り支える取り組みを、志摩観光ホテルでは「伊勢志摩ガストロノミー」と呼び、積極的に三重県、伊勢志摩地方の食の豊かさを発信している。「70年愛されてきたホテルであり、看板料理があることの有難さを感じ、伝統のレシピと精神をしっかりと受け継いでいくことが信条です。その一方で、お客様の記憶より、さらに良いものを提供したいという想いで日々料理を作り続けています。賢島は、訪れるのも不便な場所ですが、ここにしかない食材が豊富ですので、なぜこの土地で生まれた料理なのかを伝えていくことを大切に考えています」と語るのは、総料理長を務める樋口宏江シェフ。

(右)第7代総料理長を務める樋口宏江氏。1991年に志摩観光ホテルに入社後、2008年に「ラ・メール」シェフに、14年に総料理長に就任。(左)フレンチレストラン「ラ・メール」。窓の向こうには雄美な英虞湾の景色が広がる。

 多彩なメニューを用意するが、なかでもオリジナリティ溢れるコースが「フレンチ本膳」だ。フランス料理に日本料理の「本膳様式」を組み込み、すべての料理を素材本来の味にかつおの香りを合わせた出汁がつなぐ斬新なスタイルで、伊勢海老、鮑、松阪牛などを贅沢に組み込み、食べ手の好奇心を刺激する。「鮑ステーキ シャンパンソース」は、新鮮な志摩産鮑を下処理する際にできる滋味深い鮑の出汁に、伝統的な製法「手火山(てびやま)式」で作られる志摩産鰹節の上品な香りを合わせている。まずお椀に入った出汁を口にすることで、ホテル名物の鮑ステーキがさらに深い味わいに。

料理と出汁がセットで提供される「フレンチ本膳」、3万5695円(要予約2日前18:00まで)。

 ヨーロッパNo1プレミアムスキンケアブランド「CLARINS」を使用したリゾートスパ「オー・スパ・バイ クラランス」でも、ホテル開業70周年を記念したふたつのプランを特別プライスで用意。クラランスオイルの心地よい香りの中で、心と身体を癒す至福のひとときを過ごすことができる。「オースパ・バイ・クラランス 70周年記念特別スパプラン」~21年1月31日(日)。施術前には、伊勢に伝わる火打ち石で邪気を払い、日本の名水百選にも選出されている志摩の天の岩戸に流れる湧水で手を清めるなど、伊勢志摩ならではのおもてなしも。

志摩観光ホテル

「オースパ・バイ・クラランス」では、夫婦で同時にトリートメントを受けられる部屋も用意。

「ザ クラブ」2階にある「愚庵(ぐあん)」は、開業当時に設えたままの姿で残る茶室。命名は、地元に続く百五銀行頭取にして「東の魯山人、西の半泥子」と称される、日本を代表する陶芸家でもある川喜田半泥子(かわきたはんでいし)によるものだ。1951年のホテル開業当時より修復を重ねながら現在も、初釜、初夏の茶会、炉開きとゲストに体験いただけるよう茶会を催している。レストラン「ラ・メール ザ クラシック」に飾られている藤田嗣治氏による大作「野あそび」をはじめ、館内には貴重な美術品の数々が展示されているので、美術館を巡るように楽しむのもいいだろう。また、「ザ クラシック」の屋上展望台から望む美しいリアス海岸の夕景は「日本の夕陽百選」に選ばれている。滞在中には、伊勢志摩ならではの歴史や文化、季節や時の移ろいを存分に堪能していただきたい。

「ザ クラブ」の2階にある茶室「愚庵」。貸し切りの利用も可能。


志摩観光ホテル

三重県志摩市阿児町神明731
ザ クラシック チェックイン14:00/チェックアウト11:00
ザ ベイスイート チェックイン15:00/チェックアウト12:00
2名1室利用時の2食付き料金
ザ クラシック 3万4990円~
ザ ベイスイート 5万990円~
※価格はすべて消費税・サービス料込み