1974年にセイコー初の高級ドレスウォッチブランドとして誕生した「クレドール」は、フランス語で「黄金の頂き(CRÊTE D'OR)」を意味し、誕生以来、「身に着ける歓び」をテーマとして、日本の美意識と精緻を極めた匠の技により、厳選された素材に名工の技術を注ぎ込み、その美しさと品質を守り続けている。この度、創業140周年を記念して、「クレドール」を代表するマスターピースとして世界中から高い評価を得ている「クレドール 叡智(えいち)Ⅱ」をベースに、叡智Ⅱでは初めてのカラーダイアル、瑠璃色磁器ダイアルモデルが2021年1月に発売される。
マイクロアーティスト工房の卓越した技能
「叡智」は「クレドール」が長きにわたって培ってきた高度な技能と先進技術、日本人の感性に訴える繊細な美しさの融合として2008年に発売された。マイクロアーティスト工房(※1)の卓越した技能によって生み出され、日本人の感性に訴える繊細な美しさを突き詰めた“究極のシンプリシティー” を体現している。その「叡智」が、より美しく進化して2014年に誕生し現在に至る、二代目のモデルが「叡智Ⅱ」だ。
瑠璃色ポーセリンダイアル
本作に採用されている「ポーセリン」と呼ばれる磁器ダイアルは、ガラス質の釉薬を高温で焼成するため、溶けたガラスが表面張力で緩やかな曲面を作り出し、冷えて固まるとポーセリンならではの柔らかな表情となるのが特徴。また、クレドールロゴとインデックスは熟練の技を習得した職人が手描きしている。瑠璃色のダイアルとのコントラストが美しく、浮き上がったように見え、手描きならではの温かみが感じられる。
手巻き(スプリングドライブ Cal.7R14)。41石。平均月差±15秒(日差±1 秒相当)。パワーリザーブ約60時間。Ptケース(直径39mm、厚さ10.3mm)。3気圧防水。600万円。
本作の開発が目指した色は、瑠璃(るり)色である。瑠璃とは、古来より珍重されてきた宝石で「ラピスラズリ」とも呼ばれ、エジプトのツタンカーメンのマスクや正倉院の宝物(紺玉帯)にも使用されている。瑠璃色を焼成で再現するのは難しく、独自に調合した天然の釉薬で深みのある色にするため、開発は2年にわたった。数十回もの試行錯誤を繰り返し、白よりも焼成回数を増やすことで美しい瑠璃色のダイアルが実現した。釉薬というガラス素材の特性から、見る角度や周りの明るさによって色彩の見え方は多彩に変化する。また、シースルーバックから見えるムーブメントに装着されたパワーリザーブ表示の針やねじは、純鉄を焼くことで生まれる濃紺の酸化被膜処理「テンパー(ブルースチール)仕上げ」となっており、瑠璃色のポーセリンダイアルと美しく響き合っている。
搭載されているキャリバー7R14 は、「受」の輪郭や、ルビーやねじの埋められる穴の周りの面取り部が、どの角度から見ても美しく輝くよう、手作業によって鏡面の曲面形状に丁寧に仕上げられている。また、キャリバー7R14 の「トルクリターンシステム」は、トルクの大きいスプリングドライブ(※2)の特性を最大限に生かし、限られたエネルギーを有効に使い時計の持続時間を延ばす独創的な機構だ。トルクが大きいフル巻き上げの状態から約35 時間の間は、動力ぜんまいのエネルギーを活用して、ぜんまい自らを巻き上げる。限られたエネルギーを有効に使うこの機構により、従来の7R 系スプリングドライブよりも持続時間が約25% 向上し、約60 時間の持続時間を実現している。
(※1)マイクロアーティスト工房
マイクロアーティスト工房は、「信州 時の匠工房」を構成する主要工房の一つで、2000年に時計の技能を継承する目的でセイコーエプソン株式会社 塩尻事業所内に設立された。現在「技能五輪金メダリスト」「黄綬褒章」受章者を含む「現代の名工」らが所属し、高い技術・技能を活かして複雑時計を手がけている。
(※2)スプリングドライブ
機械式時計と同様にぜんまいのほどける力を動力源としながら、ICと水晶振動子により正確に精度を制御するセイコー独自の駆動機構。電池が不要であること、温度変化や衝撃・振動など外部環境の影響をほぼ受けない安定した時間精度、さらに、流れるように滑らかな秒針の動き(スイープ運針)が特徴。
https://www.webchronos.net/iconic/39436/
https://www.webchronos.net/features/43886/
https://www.webchronos.net/news/48784/