独立時計師アントン・スハノフのテーブルクロック第2作「ロータス」が2020年10月に発表された。ハスの花をモチーフに作られたこの時計は、日中花びらが開き、夜になると閉じるという機構を搭載している。
手巻き。35石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約14日間。SS×Ti×アルミニウム(高さ290mm、ベース径180mm)。予価840万円(税別)。
ハスの花をモチーフにした芸術的なテーブルクロック
ロータス(ハス)は、エジプトから日本に至るまで多くの文明において神聖なシンボルとみなされてきた。またさまざまな宗教においても言及され、平和、豊穣、長寿、名誉、幸運の象徴として描かれる花もである。アントン・スハノフ「ロータス・クロック」は、ひと目で分かるとおり、このハスの花をインスピレーション源として製作された。
スタンドからのびた茎の先には、金属でできたつぼみがついている。このつぼみは昼になると花開き、夜になると閉じるという、まるで本物の花のように動く。花びらの中心にはガラスドームがあり、トリプル・アクシス・トゥールビヨンが回転する姿を眺めることができる。この機構は花に集う蝶が飛ぶさまを表現していると同時に、秒表示も兼ねているのだ。ロータス・クロックには、泥の中から花を咲かせるハスのように、人類が2020年に起こったすべての困難を克服して欲しいという想いが込められているという。
アントン・スハノフは、ただ単に外観を似せるのではなく、機械的なイメージと運動学の力を借りて花を「復活」させていのだと述べている。花びらの開閉はまるで本物の花のようにゆっくりとスムーズに開閉し、地球上の昼と夜の周期に従い、永遠のライフサイクルを卓上で見ることができる。
特許取得済みのフレーミング・バランス
スタイリッシュな植木鉢を思わせるクロックのケース
研ぎ澄まされたフォルムのケースは、室内においてインテリアのアクセントになるような、スタイリッシュな植木鉢を思わせる。ベース上面のディスクはチタニウム製で、他の部分よりも耐摩耗性に優れる。マテリアルはステンレススティール、アルミニウム、チタニウム、ブラスで、仕上げはポリッシュ、サテン、サンドブラストを組み合わせたものだ。ケースのパーツ総数は30。
機械と機構をもって、有機物を再現することに挑戦した唯一無二の時計は、前作のファロスとはまた違ったアプローチとなっている。泥の中から大輪の花を咲かせる、生命力にあふれるハスをコロナ禍から立ち上がる人類に重ね合わせた、近未来的な美しさをもつテーブルクロックだ。
https://www.webchronos.net/news/43103/