オークションハウス・フィリップスがバックス&ルッソ社と共同で行った「第12回香港時計オークション」の落札価格が、アジアで開催された時計オークションの中で過去最高を記録した。また、アジアのオークションハウスでは初となる「ホワイトグローブ(出品ロットの完売)」を達成した。
さまざまな過去最高記録を達成した香港時計オークション
時計コレクターから注目を集めるオークションハウス・フィリップスが、2021年6月6日にバックス&ルッソ社と共同で開催した「第12回香港時計オークション」に関するビッグニュースだ。同オークションが、アジアにおける時計オークション総額の史上最高額を記録した。金額は1億9123万9320香港ドル(2465万748米ドル)で、日本円に換算すると27億円オーバーだ。
事前の最低予想額である9100万香港ドルの2倍以上を記録した今回のオークションでは、出品数311点の中でロット単位100%、金額単位でも100%の販売率を記録し、ホワイトグローブ(出品ロットの完売)を達成。結果アジアで最も成功した時計オークションになった。
この記録的な結果により、フィリップスは上半期に行われた3つのセールにおいて出品された全ての時計を販売することに成功し、6800万米ドル・日本円で74億8600万円以上の収益を上げたのだ。
フィリップスのシニアコンサルタント、オーレル・バックスと、アジアのウォッチ部門のヘッド、トーマス・パラッツィは以下の共同コメントを発表した。
「今シーズンは、フィリップスの世界的な専門家チームが調査した、最高のコンディションを備えた311点のコレクターズウォッチを提供しました。また、パテック フィリップのRef.3974やピンクゴールドのRef.5208、オーデマ ピゲの永久カレンダー付きロイヤルオークなど、さまざまなブランドで数多くの世界記録が誕生しました。高級時計を愛するすべての人々を魅了する多彩なラインアップを誇り、F.P.ジュルヌ、ドゥ・べトゥーン、モリッツ・グロスマン、ラング&ハイネ、ウルベルクなどのブランドで素晴らしい成果を上げ、独立系時計メーカーによって、フィリップスは最高峰の場であり続けています。フィリップスが昨年から進めてきたデジタル実施の結果、オンライン来場者数は過去最高となり、半数以上の時計がオンライン参加者に販売されました。特に、海外渡航が制限されているこのような厳しい時代だからこそ、世界に広がるウォッチコミュニティのサポートに感激してますし、光栄に思います。」
最高額はパテック フィリップで約2億1800万円超
香港オークションで出品された311にものぼる時計の落札価格の上位では、パテック フィリップのコンプリケーションが目立ち、それにA.ランゲ&ゾーネやオーデマ ピゲなどが追従する形となった。今回の最高額は、パテック フィリップが1950年代に製作した「Ref.2499」で、1537万5000ドル、日本円で約2億1800万円を超える値が付いた。一方で、近年のオークションで目立つようになったのが小規模な独立系メゾンだ。F.P.ジュルヌを筆頭に、個性派の数々が愛好家の注目を集め、その価値を高めている。
1953年ごろに製作されたモデル。クロノグラフとパーペチュアルカレンダー、ムーンフェイズを備えるコンプリケーション。搭載する手巻きのキャリバー13は、バルジューのムーブメントをベースに作られた。ダイアルの仕様は製造年によって異なるが、本作ではアラビア数字のインデックスが植字されている。落札価格:1537万5000香港ドル(日本円で約2億1812万円)。
パテック フィリップの創業150周年を記念して1992年ごろに製作。パーペチュアルカレンダーとミニッツリピーターに加え、マイクロローターの自動巻き機構を備える複雑モデル。丸みを帯びたオフィサーケースは18KPG製で、裏蓋はトランスパレント仕様である。搭載するムーブメントは、現在のコンプリケーションのベースにもなっている名機、Cal.R 27だ。落札価格:932万5000香港ドル(日本円で約1億3229万円)。
2018年に発表された、A.ランゲ&ゾーネが誇るコンプリケーション。手作業による伝統的な技法を用いた装飾を随所に施し、星々が輝くエナメルダイアルが特徴。分積算計付きのスプリットセコンドクロノグラフとパーペチュアルカレンダーを備え、ムーブメントにもエングレービングが施されている。開閉式の裏蓋には、月の女神ルーナが佇む。落札価格:466万2000香港ドル(日本円で約6613万円)。
2002年に発表されたモデル。ハリー・ウィンストン「オーパス」シリーズの初代モデルであり、時計師フランソワ-ポール・ジュルヌとのコラボレーションによって生まれた。搭載するCal.1498は、ゼンマイからのトルクを一定に保ち、精度を向上させる「トゥールビヨン・デガリテ」を備える。ユニークピースを特徴付ける、ピンクカラーのエナメルダイアルが印象的だ。落札価格:365万4000香港ドル(日本円で5182万円)。
ロイヤル オーク初となるパーペチュアルカレンダー搭載モデル。1986年製の本作は、直径39mmのイエローゴールドケースとブレスレットを持ち、ブラックのダイアルカラーが合わせられた。閏年表示がないシンプルな表示で、12時位置は月、3時位置は日付、9時位置は曜日、そして6時位置にはムーンフェイズを備える。落札価格:327万6000香港ドル(日本円で約4647万円)。
オンラインの時代
近年時計愛好家から注目を集めているフィリップスでは、オークションに参加する時計コレクターのコミュニティが成長を続けている。今回のオンライン参加者は55カ国から1705人に上り、全シーズンに比べて約30パーセントの増加が見られた。これはフィリップスがアジアで開催したオークション参加者の最高記録となった。
リアルだけではなく、オンラインでどこからでも参加できる時代だからこそ、オークションという場所が世界中の人々が注目するプラットフォームとして成長を遂げているのである。
フィリップスについて
フィリップスは、200年以上の歴史を持つ、イギリス発祥のオークションハウスだ。20世紀および21世紀の美術・デザイン分野に特化し、全世界における美術品売買のプラットフォームを提供。モダンアートや写真、書物、時計、ジュエリーなどの分野に特化した専門家を擁している。ニューヨーク、ロンドン、ジュネーブ、香港のサロンでオークションや展示会を開催している。世界各地にオフィスを構え、東京など上記の都市以外でもサポートを行う。
また、世界のどこからでもアクセス可能なオンライン オークションのプラットフォームを用意。オークションを通した売買の機会を提供するだけでなく、個人売買の仲介や、出品物の鑑定、評価などのサービスを提供している。
Contact info: フィリップス https://www.phillips.com/
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