近年ようやく増加傾向を見せ始めたペリフェラルローター以前は、薄型自動巻きの決定打と目されていたマイクロローター。時計師によって賛否両論の飛び交うこの機構のどこに、本誌専攻委員たちは評価軸を置いているのか?

 

マイクロローターの評価基準は?

1位 81point / 6persons

ローラン フェリエ / ガレ・マイクロローター・アントルポン

hoto:「ガレ・マイクロローター・アントルポン」。手巻き。18KPG。問アワーグラス銀座店 ☎03-5537-7888

●ローターの受けに審美性を高める工夫があり、シリコン製パーツを用いた耐衝撃機構も独自性が高い。ナチュラル脱進機も含め、新世代のマイクロローター機を代表する傑作。(髙木)
●現時点において、最も審美性を考慮した自動巻き。第一世代は巻き上げがやや弱かったが、第二世代以降は優秀である。コンプリケーションのベースとして使うことが考えられているため、実用性も悪くない。(広田)
●表からの見た目は、まったく普通のスモールセコンド搭載3針モデル。しかし、裏返すとトゥールビヨンを思わせるブリッジに支えられたマイクロローターが鎮座するという、小粋なモデル。(名畑)



今年のジュネーブに心は震えたか?

2位 63point / 4persons

ピアジェ / ピアジェ アルティプラノ 43mm

Photo:「ピアジェ アルティプラノ 43mm」。自動巻き。18KWG。問ピアジェ コンタクトセンター 70120-73-1874

●一貫して超薄型を追求するピアジェの原点がマイクロローター自動巻き。2.35mmの世界最薄1200Pムーブメントに敬意を表して票を投じる。(菅原)
●薄さと頑強さを両立させた試み。既存の輪列を転用した時計部分は非常にコンパクトだが、しかし基礎設計が古いため信頼性は十分以上にある。またできるだけ受けを大きくすることで、ムーブメントの剛性も比較的高い。(広田)
●薄型化が可能というマイクロローターの利点を突き詰めたCal.1200Pは、やはり名機と呼ぶにふさわしいだろう。シンプルな2針の佇まいも美麗。(髙木)


今年のジュネーブに心は震えたか?

3位 50point / 3persons

ショパール /L.U.C XPS

Photo:「L.U.C XPS」。自動巻き。18KRG。問ショパール ジャパン プレス ☎03-5524-8922

●搭載するCal.L.U.C 96.12-Lは、高級機にふさわしい仕上げとたたずまいを備える。ラチェット式のコンパクトな巻き上げ機構にも工夫が感じられる。外装はシンプルにして上質。(髙木)


今年のジュネーブに心は震えたか?

4位 44point / 4persons

ヴァン クリーフ&アーペル/ ピエール アーペル ユール ディシ エ ユール ダイヨール

Photo:「ピエール アーペル ユール ディシ エ ユール ダイヨール」。自動巻き。18KWG。問ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク 70120-10-1906

●マイクロローターらしからぬ厚い受けは、薄型化ではなく、ダブルジャンピングアワーを載せるための省スペース化が目的なのだろう。結果、耐衝撃性に優れたマイクロローター機が出来上がった。その手堅い設計がアジェノーらしい。(髙木)


今年のジュネーブに心は震えたか?

5位 37point / 3persons

パテック フィリップ /カラトラバ Ref.5120

Photo:「カラトラバ Ref.5120」。自動巻き。18KYG。問パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター ☎03-3255-8109

●シンプルさを極めたカラトラバの2針モデル。昔はあまり好きじゃなかったベゼルのクル・ド・パリ模様も、最近は魅力を感じるようになってきた。やはりムーブメントが美しいです。(名畑)