静寂のS.I.H.H.から一転して、異様な熱気の中に幕を閉じた今年のバーゼルワールド。スマートウォッチの台頭が場を盛り上げたわけではない。機械式時計の保守本流が気を吐いたのだ。その中で果たして最良の1本に輝いたモデルとは

 

静寂を打ち破るバーゼル

1位 54point / 4persons

ブレゲ / トラディション インディペンデント クロノグラフ 7077

Photo:「トラディション インディペンデント クロノグラフ 7077」。手巻き。18KRG。予価854万円。問ブレゲ ブティック銀座 ☎03-6254-7211

●クロノグラフを独立させた先例は他社にあるが、リセットボタンを押す力でブレードスプリングに駆動力をチャージするという発想が新鮮。(髙木)
●板バネを使った、まったく新しいクロノグラフ機構を開発。これが興味深い。(菅原)
●クロノグラフ機構への新しい提案は、今後が楽しみ。(篠田)



静寂を打ち破るバーゼル

2位 38point / 2persons

パテック フィリップ/Ref.5524 カラトラバ・パイロット・トラベルタイム

Photo:「Ref.5524 カラトラバ・パイロット・トラベルタイム」。自動巻き。18KWG。予価503万円。問パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター ☎03-3255-8109

●ガラス越しに見た時には訝ったが、実物を見て、インデックスや針の圧倒的な質感に驚いた。スーパールミノヴァの通常色。これからヴィンテージに育てていくという気概が感じられる。トラベルタイムの操作ボタンにロック機構が付いたのも好印象。(髙木)
●巷の賛否両論はさておき、デザインと機能のいずれもが好みだ。(菅原)


静寂を打ち破るバーゼル

3位 38point / 2persons

ブレゲ /トラディション ミニッツリピーター トゥールビヨン 7087

Photo:「トラディション ミニッツリピーター トゥールビヨン 7087」。自動巻き。18KRG。予価4988万円。問ブレゲ ブティック銀座 ☎03-6254-7211

●音の調整が完璧ならば、間違いなく1位になっただろう。ケースやハンマーの改良といった小手先の改良に頼ることなく、リピーター自体を極大化させるという方法論が秀逸だ。ブレゲの本気極まれり。(広田)


静寂を打ち破るバーゼル

4位 36point / 2persons

パテック フィリップ/ スプリット秒針クロノグラフ Ref.5370P

Photo:「スプリット秒針クロノグラフ Ref. 5370P」。手巻き。Pt。予価2633万円。問パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター ☎03-3255-8109

●今年のバーゼルで、率直に現物を見られて良かったと心底思ったのがこのモデル。文字盤のブラックエナメルが、ただの黒いエナメルではないことは、実物を見れば一目瞭然だ。(鈴木)


静寂を打ち破るバーゼル

5位 32point / 2persons

グランドセイコー /ヒストリカルコレクション“62GS”限定モデル(復刻デザイン)

Photo:「ヒストリカルコレクション“62GS”限定モデル(復刻デザイン)」。自動巻き。18KWG。180万円。問セイコーウオッチ お客様相談室 ☎0120-061-012

●グランドセイコーのデザイン言語である“セイコースタイル”を正統派とするならば、この“62GS”のオリジナルモデルは良い意味で異端。復刻デザインは、単なる復刻ではなく、新旧の要素を絶妙なバランスで併せ持つ。だからこそ、このモデルは素晴らしい。(鈴木)