中国経済の失速や欧州情勢の不安の煽りか、今年のS.I.H.H.は全体的に落ち着いた雰囲気だった。各社、エントリーモデルやアイコニックなコレクションの強化を図るなど、今は様子見といったところ。しかし、個別に見ると良作はある。本誌選考委員の心に響いたモデルはいかに。

 

 

静閑なジュネーブの中で光る良作

1位 57point / 4persons

A.ランゲ&ゾーネ / リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンド

Photo:「リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンド」。手巻き。Pt。世界限定100本。7万8000ユーロ(参考価格)。問A.ランゲ&ゾーネ ☎03-3288-6639

●端整なデザインで精度へのこだわりを明確に主張。パワーリザーブ表示も新鮮。(篠田)
●動力と運針とを二重輪列で制御し統合する設計が、実に賢い。ジャンピングセコンドとコンスタントフォースが巧みに融合された。(髙木)
●機械式のステップ運針というのになぜか惹かれる。この新作では単にステップ運針するだけでなく、レギュレーター・スタイルのダイアルで時、分、秒をはっきり区別し、計器としての魅力を倍加させている点を評価したい。(名畑)

 

 

 

静閑なジュネーブの中で光る良作

2位 40point / 3persons

オーデマ ピゲ / ロイヤル オーク・ダブル バランスホイール・オープンワーク

Photo:「ロイヤル オーク・ダブル バランスホイール・オープンワーク」。自動巻き。18KPG。予価765万円。問オーデマ ピゲ ジャパン ☎03-6830-0000

●ヒゲゼンマイをそれぞれ反転させて設置したふたつのテンプを同軸に重ね、振動時の偏心を軽減し、同時に慣性モーメントを2倍にするというアイデアがユニークだった。コロンブスの卵的機構。(髙木)
●スケルトン・ムーブメントに搭載された新開発の二重テンプが大いに気になる。さてその実効性はいかに。本誌でぜひ検証してほしい。(菅原)

 

 

静閑なジュネーブの中で光る良作

3位 37point / 4persons

カルティエ /ドライブ ドゥ カルティエ

Photo:「ドライブ ドゥ カルティエ」。自動巻き。SS。予価71万円。5月発売予定。問カルティエ カスタマー サービスセンター 0120-301-757

●何を隠そう、実はクッション・ケース好き。1920〜30年代の同型モデルを何本か所有しているが、これに目を付けたあたり、カルティエの慧眼に感服。個人的にはもう一回り小さいとベストだが、今後の展開に期待したい。(名畑)
●男心をくすぐる快作。(篠田)

 

 

静閑なジュネーブの中で光る良作

4位 36point / 2persons

ヴァシュロン・コンスタンタン/ オーヴァーシーズ

Photo:「オーヴァーシーズ」。自動巻き。SS。予価247万5000円。問ヴァシュロン・コンスタンタン 0120-63-1755

●待望のリニューアル。ストラップ変更システムはかなり使えそう。(篠田)
●旧作のようなある種の硬い表情が和らぎ、顔立ちがすっきりした。何より、お手軽にベルトが付け替えられる換装システムは秀逸だ。(菅原)

 

 

静閑なジュネーブの中で光る良作

5位 32point / 2persons

ジャガー・ルクルト /レベルソ・トリビュート・カレンダー

Photo:「レベルソ・トリビュート・カレンダー」。手巻き。18KPG。予価287万5000円。問ジャガー・ルクルト 0120-79-1833

●「レベルソ」はやっぱりこうじゃなくちゃ。先祖返りかと思わせつつ、新しさもさり気なく取り入れられていて、古くからの偏愛者には魅力的だ。(菅原)