参加ブランド54、来場者数は約4万9000人と、過去最大の活気を見せたウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2024。独自に新作時計を発表するブランドも増えてきたが、この盛況を見るに、新作見本市は時計業界にとって特別な舞台といえる。今回は、そんなウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブで発表された新作時計をお題とした。超絶コンプリケーションウォッチからシンプルな2針モデルまで幅広く、各社から名作が多数ラインナップされているだけあり、いつにも増して、さまざまなモデル名が挙がっている。
超・複雑機構から2針モデルまで傑作そろうW&WG2024
10位 ローラン・フェリエ/クラシック・ムーン
19point / 2persons
手巻き。18KRGケース。1551万円(税込み)。(問)スイスプライムブランズ Tel.03-6226-4650
●最近、ムーンフェイズ搭載モデルが非常に気になっているが、ローラン・フェリエの新作では年次カレンダーとふたつの月が満ち欠けを示す独創的なムーンフェイズインジケーターを搭載するが、全体としてシンプルな印象が好ましい。(名畑)
9位 ノモス グラスヒュッテ/タンジェント 38 デイト 31colors
23point / 2persons
手巻き。SSケース。38万5000円(税込み)。(問)大沢商会 Tel.03-3527-2682
●31色展開にはただただ圧倒された。(篠田)
●ダイアルの色だけでなく、スモールセコンドやミニッツトラックやそのリム、デイト表示の背景色などを組み合わせた31種類の個性的なモデルを各色175本限定で販売するという奇想天外な新作。個々のモデルにすべて洒落た名前があるというのも面白い試みだ。(名畑)
8位 シャネル/J12 クチュール ワークショップ オートマタ キャリバー 6
24point / 4persons
手巻き。高耐性セラミックス×SS×WGケース。3872万円(税込み)。(問)シャネル(カスタマーケア) Tel.0120-525-519
●キャラ立ちがすごい。オートマタとは、もう遊び心に歯止めがかからない感じ。「やっちゃえ」を許すシャネルの余裕に圧倒されました!(菅原)
●景気後退局面にあっても、自社の強みをしっかりと理解しているブランドは魅力的な新作が多い。今年「クチュール」をテーマにしたシャネルはまさにそのひとつ。本作は、腕時計製造におけるシャネルの技術力と、ブランドの持つ遊び心が結実した1本だ。(安藤)
7位 ジャガー・ルクルト/デュオメトル・カンティエーム・ルネール
26point / 3persons
手巻き。SSケース。655万6000円(税込み)。(問)ジャガー・ルクルト Tel.0120-79-1833
●独自のスタイルで精度に挑戦するデュオメトル。14年ぶりのリニューアルで初めて発表されたSSモデルは、美しい文字盤も見どころ。さまざまな仕上げを組み合わせることで、単色でありながら複数要素の視認性を確保している。(安藤)
●お久しぶりです! 何ゆえのリバイバルかは知らないけれど、とにかく洗練されたお姿での再会は喜ばしい。若い世代にはブランニューに思えるかもな。(菅原)
6位 チューダー/ブラックベイ 58 GMT
32point / 2persons
自動巻き。SSケース。64万3500円(税込み)。(問)日本ロレックス / チューダー Tel.0120-929-570
●機構だけ言えば、2024年のベストかも。短針を単独調整できるGMTながら、瞬時送りを実現している。使い勝手に優れるだけでなく、壊れにくくするための安全機能も盛り込まれている。既存のGMTに比べて、ケースが薄くなったのも美点。しかもマスター クロノメーターだ! (広田)
5位 パテック フィリップ/ゴールデン・エリプス
44point / 4persons
自動巻き。18KRGケース。951万円(税込み)。(問)パテック フィリップジャパン・インフォメーションセンター Tel.03-3255-8109
●近年、時計選びの重要な要素になりつつあるブレスレット。ドレスウォッチに関してはこれまで見過ごされてきた感がある。特に無垢のチェーンブレスはこれまで腕のサイズに合わせて切るのが一般的だったが、本作では、腕のサイズに合わせて長さを微調整できるように。しかも、驚くほど滑らかで腕になじむ。腕にして初めて分かる、革命的で究極な1本だ。(安藤)
4位 カルティエ/トーチュ モノプッシャークロノグラフ
56point / 3persons
手巻き。Ptケース。予価930万6000円(税込み)。(問)カルティエ カスタマー サービスセンター Tel.0120-1847-00
●優美な独創的フォルムと、最新のクロノグラフムーブメントとの絶妙な融合。美のアートと技術のアートに「再び」感動。誰もがダントツ1位かもね。(菅原)
●ムーブメントには距離を置いてきた、という印象のあるカルティエ。しかし、2024年は限定版のコレクション プリヴェにクロノグラフを追加した。薄くてシンメトリーな造形は、機械式クロノらしさに満ちている。緩急針のみは惜しいが、それも些細な弱点か。(広田)
3位 IWC/ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー
56point / 4persons
自動巻き。Ptケース。要価格問い合わせ。(問)IWC Tel.0120-05-1868
●「ダ・ヴィンチ」に始まる、およそ40年に及ぶ永久カレンダー技術の集大成。ムーンフェイズの誤差が4500万年で1日とは桁外れ。でも誰も見届けられないな。(菅原)
●既存の永久カレンダーの小改良で、セキュラーカレンダーを実現。LIGA製の歯車があればこそだが、この簡潔な設計は類を見ない。サイズが増していないのも大きな魅力。実際、これほどのカレンダーを使うかはさておき、久々に見たロマンに満ちた大作。(広田)
2位 パルミジャーニ・フルリエ/トリック プティ・セコンド
57point / 4persons
手巻き。Ptケース。820万6000円(税込み)。(問)パルミジャーニ・フルリエ pfd.japan@parmigiani.com
●ケース、ダイアル、インデックス、時分針、手巻きムーブメントまでゴールドで作り、エレガンスを再定義するという、天晴れなコンセプトに参った!(菅原)
●「PF」のマークしかないがひと目でパルミジャーニ・フルリエと分かるシンボリックなモデル。美しく深い色合いのグリーンのダイアルとヌバック仕上げのアリゲーターストラップやケースの造形が絶妙にマッチした芸術的なタイムピース。(名畑)
1位 グランドセイコー/エボリューション9 コレクション 手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours
72point / 4persons
手巻き。ブリリアントハードチタンケース。145万2000円(税込み)。(問)セイコーウオッチお客様相談室(グランドセイコー)Tel.0120-302-617
●1969年、セイコーがヌーシャテル天文台コンクールで上位を独占し、世界にその名を轟かせたCal.4580。現在、その搭載モデルはヴィンテージ市場で極めて高い評価を得ているが、それから実に55年ぶりとなるハイビート手巻きムーブメントの新作Cal.9SA4を搭載という時点でアーカイブ的に正統性がある。手巻きの巻き心地にこだわり、サイズも自動巻きの白樺よりも小径で約80時間のパワーリザーブと、現代ニーズに合致している点も好評価。ノンデイトも好み。(安藤)
●巻き上げた感触が心地よく、感性的な魅力が深い。(篠田)