1950年代に開発された、現代ダイバーズウォッチ。ダイビングのみならず、マリンスポーツなどのさまざまな用途で一般ユーザーに普及し、現在では各時計ブランドから多彩なモデルが製造される定番ジャンルだ。今回は、そんなダイバーズウォッチの裾野の広さに着目し、あえて同ジャンルの現行品から、「カラフル」をテーマに選出してもらった。“陸ダイバー”ならぬ“街ダイバー”として、街で使いたくなるような意匠を備えることも、条件として加えている。選者の挙げたモデルを見ていると、このジャンルがいかに自由なキャンバスであったかに、驚かされた。
装って街に出たいカラフルなダイバーズウォッチ
10位 ブランパン/フィフティ ファゾムス バチスカーフ
24point / 2persons
自動巻き。SSケース。151万8000円(税込み)。(問)ブランパン ブティック 銀座 Tel.03-6254-7233
●ベゼルにホワイトセラミックスをあしらったモデル。文字盤がホワイトラッカーに改められている。歴としたダイバーズウォッチだが、インデックスが小さく、針も細いため、押し出しは控えめだ。女性だけでなく、男性にもオススメのモデル。(広田)
9位 ベル&ロス/BR 03-92 ダイバー フル ラムs
26point / 2persons
自動巻き。セラミックケース。82万5000円(税込み)。(問)ベル&ロス 銀座ブティック Tel.03-6264-3989
●大ヒット作の新色。グリーンだったスーパールミノバ文字盤がブルーになり、質感は明らかに向上した。全面ルミノバ文字盤の時計は実用に傾きがちだが、本作は使えるだけでなく、色も大いに楽しめる。駆動時間が延び、レギュラーになったのも◎。(広田)
8位 オメガ/シーマスター ダイバー300M
26point / 2persons
自動巻き。SSケース。96万8000円(税込み)。(問)オメガ Tel.0570-000087
●個人的には文句なしの一番。超耐磁機能に加えて、薄いケース、高い視認性、そしてユニークな文字盤と、普段使いのダイバーズウォッチにふさわしい要素を網羅している。価格は上がったが、まだ許容範囲か。(広田)
7位 チューダー/ブラックベイ セラミック “ブルー”
29point / 2persons
自動巻き。セラミックケース。71万8300円(税込み)。(問)日本ロレックス / チューダー Tel.0120-929-570
●ブラックセラミックスのケースにビビッドなブルーのダイアルというマッチングが衝撃的だ。しかもマットなブラックのストラップにはダイアルに合わせたブルーのステッチを入れるという念の入れようも素晴らしい! 価格的にも大納得です。(名畑)
6位 タグ・ホイヤー/タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300
32point / 3persons
自動巻き。SSケース。50万6000円(税込み)。(問)LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー Tel.03-5635-7030
●Kithとのコラボレーションによるカラフルな「フォーミュラ 1」が発表即完売となったタグ・ホイヤーは、ダイバーズでもカラーダイアルの採用に積極的。中でも本作のグリーンとピンクはもともと女性ターゲットながら、男女問わず選びたいモデル。ビビッドカラー、波を彷彿とさせる文字盤の型押し、ブラックベゼル、ダイヤモンドのインデックスのすべてが見事に調和している。(安藤)
5位 スウォッチ/バイオセラミック スキューバ フィフティ ファゾムス
36point / 3persons
自動巻き。バイオセラミックケース。6万500円(税込み)。(問)スウォッチ Tel.0570-004-007
●スウォッチ グループの持つアイコニックなデザインを、スウォッチらしいものづくりで楽しめるシリーズの第2弾は、ブランパンが誇るダイバーズウォッチ、フィフティ ファゾムスとのコラボレーション。バイオセラミックだから可能な独特なケースカラーと王道デザインとの組み合わせが新鮮で、防水性は初代フィフティ ファゾムスと同じ91mにしてある点も芸が細かい。(安藤)
4位 ゼニス/デファイ リバイバル A3648
36point / 3persons
自動巻き。SSケース。101万2000円(税込み)。(問)ゼニス ブティック銀座 Tel.03-3575-5861
●祝復刻! 型破りなカラーとフォルムが腕時計のデザインとして爆発していた懐かしい時代が甦る。弾けるようなオレンジもアスレジャーファッションとの相性がバッチリ。(菅原)
3位 オリス/アクイスデイト アップサイクル
49point / 3persons
自動巻き。SSケース。63万8000円(税込み)。(問)オリスジャパン Tel.03-6260-6876
●このモデルの魅力はなんといっても海洋から回収されたプラスティックをアップサイクルした、リサイクルPET製ダイアルのカラフルさ。ランダムに現れるマーブル模様は廃棄物をリサイクルしたとは思えない美しさだ。(名畑)
●美しいダイアルは社会貢献の証し。(篠田)
2位 ブライトリング/スーパーオーシャン オートマチック
50point / 3persons
自動巻き。SSケース。64万9000円(税込み)。(問)ブライトリング・ジャパン Tel.0120-105-707
●本格ダイバーズウォッチながら、サイズとカラーバリエーションが豊富。ファッションと組み合わせて楽しむのに最適なオールラウンダー。(菅原)
●マルチカラーは意外と使い勝手良し。(篠田)
1位 オーデマ ピゲ/ロイヤル オーク オフショア ダイバー
52point / 4persons
自動巻き。SSケース。440万円(税込み)。(問)オーデマ ピゲ ジャパン Tel.03-6830-0000
●2017年にイエローやオレンジ、ライムグリーンなどビビッドカラーのコレクションを発表したオフショア ダイバー。残念ながらそれらは現在ディスコンのようだが、入手可能なのがこのオリーブグリーンのモデル。ガンダムのザクにも通じるこの色味は、主張がありつつもオンオフ問わず使いやすい万能カラーだ。(安藤)
●グリーン×ゴールドの配色は上品で良い。(篠田)
選考委員による選定モデルの詳細
菅原 茂(70歳) 時計ジャーナリスト
「変わるカラートレンド」
ダイバーズも今やタウンユースのファッションアイテム。最近は元気カラーで演出する分かりやすい手法から落ち着いたニュアンスカラーへと変わりつつあるように思う。というわけで、そんな傾向に注目しながら選んだ。
- ロンジン/ロンジン レジェンドダイバー Ref. L3.764.4.90.6
- ブライトリング/スーパーオーシャン オートマチック全般
- ジャガー・ルクルト/ポラリス・デイト
- オメガ/シーマスター プラネットオーシャン
- ベル&ロス/BR 03-92 ダイバー フル ラム
- ゼニス/デファイ リバイバル A3648
- ユリス・ナルダン/ダイバー X スケルトン ホワイト
- オリス/ダイバーズ65 コットンキャンディ
- スウォッチ/バイオセラミック スキューバ フィフティ ファゾムス
- チューダー/ブラックベイ 58 18K
篠田哲生(49) ウォッチディレクター
「ツールウォッチの向こう側へ」
本来であれば骨太なツールであるべきダイバーズウォッチだが、こういった時計を着けて海に潜る人は、今はいない。となれば“道具として”ではなく、ライフスタイルウォッチとして進化をするのは当然のこと。それが美しいカラーリングとして現れるのだろう。つまりこれがダイバーズウォッチの正常進化であり、その流れはこれからも加速するだろう。
- オリス/アクイスデイト キャリバー400 アップサイクル
- チューダー/ブラックベイ セラミック “ブルー”
- タグ・ホイヤー/タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300
- ブライトリング/スーパーオーシャン オートマチック 42
- ブランパン/フィフティ ファゾムス バチスカーフ
- ゼニス/デファイ エクストリーム ダイバー
- ロンジン/ロンジン レジェンドダイバー Ref. L3.374.4.40.2
- オメガ/シーマスター ダイバー300M
- オーデマ ピゲ/ロイヤル オーク オフショア ダイバー
- モンブラン/モンブラン アイスシー オートマティック デイト
安藤夏樹(49歳) 編集者
「高額機種も続々登場のジャンル」
カラフルなダイバーズウォッチというと、かつてのセイコーのサーフタイマーやG-SHOCKなど、比較的低価格帯の時計が頭に浮かぶが、カラーダイアルの人気もあり、近年は高額モデルにもその波が波及している。すでにダイビングの“装備品”から最も身近な腕時計の選択肢のひとつとなったダイバーズウォッチ。楽しみ方は無限だ。
- ルイ・ヴィトン/タンブール オトマティック ストリート ダイバー ネオンブラック
- ゼニス/デファイ リバイバル A3648
- スウォッチ/バイオセラミック スキューバ フィフティ ファゾムス
- オメガ/シーマスター ダイバー300M ブラックブラック
- オーデマ ピゲ/ロイヤル オーク オフショア ダイバー
- オリス/ダイバーズ65 コットンキャンディ
- タグ・ホイヤー/タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300
- ジャガー・ルクルト/ポラリス・デイト
- ブランパン/フィフティ ファゾムス Xファゾムス
髙木教雄(61歳) ライター
「〝町用〟だからこその、チョイス」
潜水士の安全を守るという役割が、ダイブコンピュータに取って代わられた現在、ダイバーズウォッチのダイアルやベゼルリングのカラーリングは実に多彩になった。その中から町に似合うという視点で、ややシックな色合いも選択肢に入れた。またボリューム感、デザインも含めたチョイスである。これをダイバーズウォッチと呼んでいいのか? というモデルも選んでいるけど、町用だからご容赦を。
- オーデマ ピゲ/ロイヤル オーク オフショア ダイバー
- オリス/アクイスデイト アップサイクル
- スウォッチ/バイオセラミック スキューバ フィフティ ファゾムス
- ルイ・ヴィトン/タンブール オトマティック ストリート ダイバー アーバングリーン
- ロンジン/ロンジン レジェンドダイバー Ref. L3.374.4.40.2
- チューダー/ブラックベイ S&G
- ゼニス/デファイ リバイバル A3648
- オメガ/シーマスター プラネットオーシャン
- タグ・ホイヤー/タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル200
- ブライトリング/スーパーオーシャン オートマチック 46 スーパーダイバー
名畑政治(64歳) 時計ライター
「百花繚乱のダイバーズ新時代」
これまで何度もブームを繰り返してきたダイバーズウォッチだが、今やひとつのジャンルを確立し、ベーシックモデルから超ハイスペックモデル、今回選んだファッション性に優れたモデルまで百花繚乱。良い時代になったものです。例によって、すべて同列、順位なし。
- ブローバ/アーカイブスシリーズ オーシャノグラファー “デビルダイバー” Ref.96B32
- エドックス/ネプチュニアン オートマティック
- セイコー プロスペックス/大谷翔平 2023限定モデル Ref. SBDC19(1 完売)
- シチズン/シチズン プロマスター エコ・ドライブダイバー200m Ref.BN0157-11X
- ブライトリング/スーパーオーシャン ヘリテージ '57 ハイランズ
- オリス/アクイスデイト キャリバー400 アップサイクル
- オメガ/シーマスター プラネットオーシャン ディープブラック ETNZ エディション
- チューダー/ブラックベイ セラミック “ブルー”
- オリエント/スポーツコレクション ネオ クラシックスポーツ Ref. RN-AA0E06B
- イエマ/ネイビーグラフ・マリーンナショナル CMM.10 Ref. SKU:21.14.55.SN.M
広田雅将(50歳)『クロノス日本版』編集長兼アートソルジャー
「性能がいいのは当たり前、ダイバーズは色で選べ」
文字盤とベゼルに色をあしらえるダイバーズウォッチは、普通のモデルよりはるかに色との相性がいい。しかも近年は実用性を損ねない範囲で、巧みに色を合わせるモデルが増えてきた。個人的なベストは一貫してオメガである。
- オメガ/シーマスター ダイバー300M
- ブライトリング/スーパーオーシャン オートマチック 42
- オーデマ ピゲ/ロイヤル オーク オフショア ダイバー
- ベル&ロス/BR 03-92 ダイバー フル ラム
- ブランパン/フィフティ ファゾムス バチスカーフ
- モーリス・ラクロア/ポントス S ダイバー
- タグ・ホイヤー/タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300
- ブローバ/アーカイブスシリーズ オーシャノグラファー “デビルダイバー” Ref.96B350
- ロレックス/オイスター パーペチュアル ロレックス ディープシー
- セイコー プロスペックス/Diver Scuba Ref.SBDY129
ランキングの集計ルール
●選考委員は、各号のテーマに沿った腕時計を10本選び、順位をつける。
●選考委員ひとりあたりの所持ポイントを110点とし、これを1位20点、2位18点…… 10位2点として選考モデルに振り分ける。
●選考された時計が順位無しの場合は、所持ポイントを10等分して、各モデルに11点を与える(選考本数が10本に満たない場合でも、1モデルあたり11点とする)。
●獲得点数が同点となった場合は、選考者数の多いモデル、その中で選考順位の高いモデルの順で優位とする。
●最低有効得票数を2票とする。