富の象徴であるゴールドは、長らく腕時計にも採用されてきた素材だ。一方で近年、機械加工技術の進化や消費者の嗜好の多様化によって、各社のゴールドを使った表現は多種多様になっている。そんな“表現”を楽しめるもののひとつが、ブレスレットだ。今回のランキングは、優れたゴールド製ブレスレットを持つ腕時計をテーマとした。1位のパテック フィリップ「ゴールデン・エリプス」をはじめ、各社の創意工夫にあふれる傑作がきらびやかに並ぶ結果となっている。
各社の個性とともに輝く傑作ゴールドブレスレットウォッチ
10位 オーデマ ピゲ/ロイヤル オーク フロステッドゴールド
14point / 2persons

自動巻き。18KWGケース。896万5000円(税込み)。(問)オーデマ ピゲ ジャパン Tel.03-6830-0000
●ダイヤモンドの付いた工具で表面に凹凸仕上げを施したフロステッドゴールドは古くからある技術だが、今やオーデマ ピゲを象徴する仕上げのひとつになっている。ジェラルド・ジェンタによる独特な「ロイヤル オーク」のブレスレットとの組み合わせは唯一無二の存在感を持つ。(安藤)
9位 オーデマ ピゲ/ロイヤル オーク “ジャンボ” エクストラ シン
30point / 2persons

自動巻き。18KYGケース。要価格問い合わせ。(問)オーデマ ピゲ ジャパン Tel.03-6830-0000
●ゴールドブレスレットと言えば「ロイヤル オーク」は決して外せない。どれも魅力的だが、装着感を言えば薄い“エクシン”に軍配が上がるだろう。ヘッドとテールの重さのバランスは際立って良い。唯一の問題は、価格以上に、まず普通には手に入らないこと。それのみ残念! (広田)
8位 ショパール/アルパイン イーグル
30point / 3persons

自動巻き。18KRGケース。907万5000円(税込み)。(問)ショパール ジャパン プレス Tel.03-5524-8922
●一見シンプルに思えるブレスレットだが、造りがけっこう複雑。そして何より持続可能なラグジュアリーを目指すエシカルゴールドに価値あり。(菅原)
7位 ブルガリ/オクト フィニッシモ
30point / 4persons

自動巻き。18KYGケース。690万8000円(税込み)。(問)ブルガリ・ジャパン Tel.0120-030-142
●「時計薄いは七難隠す」。極薄の「オクト フィニッシモ」は、どんな素材であっても装着感がずば抜けている。着け心地で言えばチタンとセラミックス。しかしフィニッシモの18KYGモデルにはなんとも言えない魅力がある。金でマッシブなのに軽快という個性は、現行品では唯一無二か。(広田)
6位 ピアジェ/ピアジェ ポロ 79
32point / 2persons

自動巻き。18KYGケース。1249万6000円(税込み)。(問)ピアジェ コンタクトセンター Tel.0120-73-1874
●ほぼ時計機能付きジュエリーウォッチ。ピアジェ渾身の復刻モデルは、ケース・ブレスレット一体型の独創的デザインをゴールドで造形する必然性を痛感させる。(菅原)
5位 ブランパン/ヴィルレ ウルトラスリム
38point / 3persons

自動巻き。18KRGケース。653万4000円(税込み)。(問)ブランパン ブティック 銀座 Tel.03-6254-7233
●1960年代、ライスブレスレットと呼ばれる米粒のようなリンクをつないだブレスレットが流行したが、それを思わせつつ、さらに細かな粒で構成された驚くべきブレスレット。これに日付表示なしの極薄モデルを合わせたセンスにも脱帽。(名畑)
4位 ヴァシュロン・コンスタンタン/ヒストリーク・222
38point / 4persons

自動巻き。18KYGケース。1100万円(税込み)。(問)ヴァシュロン・コンスタンタン Tel.0120-63-1755
●精密に組み合わされたブレスレットとケースとの一体感が素晴らしい。ひとくちに“ラグスポ”と言うが、ここまで来るとスポーティーさよりエレガントさが際立つ。(名畑)
3位 パルミジャーニ・フルリエ/トンダ PF
38point / 4persons

自動巻き。18KRGケース。885万5000円(税込み)。(問)パルミジャーニ・フルリエ pfd.japan@parmigiani.com
●パルミジャーニ・フルリエの名前を一気に高めた「トンダ PF」。その成功のひとつの鍵となったのが、ブレスレットのクォリティーだろう。適度な主張がありながら、それでいてゴールドでも前に出過ぎない品の良さ。装着感も良く、すべてにおいてバランスが良い。(安藤)
2位 ロレックス/オイスター パーペチュアル デイデイト(プレジデントブレスレット全般)
44point / 4persons

自動巻き。18KERGケース。698万5000円(税込み)。(問)日本ロレックス Tel.0120-929-570
●1956年の「オイスター パーペチュアル デイデイト」発表時から存在する3連リンクの「プレジデントブレスレット」はまさにゴールドブレスレットの金字塔。かまぼこ型のパーツが連なる姿はアイコニックで、シンプルなケースを引き立てる不滅の名脇役である。(安藤)
●なんだかんだいって、ゴールドブレスレットとなると、これに尽きる。(篠田)
1位 パテック フィリップ/ゴールデン・エリプス
104point / 6persons

自動巻き。18KRGケース。976万円(税込み)。(問)パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター Tel.03-3255-8109
●ケースから続くブレスレットの優美でノスタルジックなデザインをゴールドが一段と引き立てる。手作業で作られた精巧なリンクとしなやかさはなんとも絶妙だ。(菅原)
●見た目が美しいチェーンスタイルのブレスレットは過去にもドレスウォッチに採用されてきたが、本作のそれはまったくの別物。300個以上のリンクを手作業で組み立てており、吸い付くような装着感に加え、サイズ調整も可能なのが革命的。(安藤)
選考委員による選定モデルの詳細
菅原 茂(71歳) 時計ジャーナリスト
「バリエーションを超えられるか?」
特別なジュエリーウォッチを除けば、実際のところゴールドは素材バリエーションの場合がほとんど。必然性とか独創性などの点で評価すべきものはそう多くはない。メンズに限り、思い浮かぶものを選出した。
- パテック フィリップ/ゴールデン・エリプス
- ショパール/アルパイン イーグル
- パルミジャーニ・フルリエ/トンダ PF オートマティック
- ピアジェ/ピアジェ ポロ 79
- オメガ/スピードマスター ムーンウォッチ
- ヴァシュロン・コンスタンタン/ヒストリーク・222
- オーデマ ピゲ/ロイヤル オーク フロステッドゴールド
- ブルガリ/オクト フィニッシモ イエローゴールド
- ウブロ/(ブランド都合によりモデル名不掲載)
- オーデマ ピゲ/ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン オープンワーク
篠田哲生(50) ウォッチディレクター
「時計じゃない。アクセサリーなんだ。」
最近気になっているのが、このゴールドブレスレットの時計。自分自身も年齢を重ね、良くも悪くも“ヴィンテージ” になってきたので、華やかな時計でも着けて自分を輝かせたい。ただしゴールドブレスレットだからといって、凡庸なものは避けたい。自分を輝かせるものなのだから、アクセサリー的要素の高いものをセレクト。
- ブルガリ/セルペンティ トゥボガス
- ピアジェ/ライムライト ガラ
- グラスヒュッテ・オリジナル/パボニーナ
- パテック フィリップ/ゴールデン・エリプス
- オメガ/シーマスター ダイバー300M ブロンズゴールド&バーガンディ
- ブランパン/ヴィルレ ウルトラスリム
- カルティエ/パンテール ドゥ カルティエ
- ジャガー・ルクルト/レベルソ・クラシック・デュエット
- オーデマ ピゲ/ロイヤル オーク フロステッドゴールド
- ロレックス/オイスター パーペチュアル デイデイト
安藤夏樹(49歳) 編集者
「ゴールドブレスは単なるSSの素材違いではない」
スポーツウォッチのブレスレットが実用性追求の結果であるのに対し、ドレスウォッチは装飾的価値が大きい。その点で、SSブレスレットとゴールドブレスレットは似て非なるものだ。ただし、“ラグスポ”ブームがブレスレットの品質を向上させたのも事実。現代の実用性にあった美しいブレスは、腕時計の楽しさをますます大きくしてくれる。
- パテック フィリップ/ゴールデン・エリプス
- ピアジェ/ピアジェ ポロ 79
- オーデマ ピゲ/ロイヤル オーク フロステッドゴールド
- ブルガリ/オクト フィニッシモ イエローゴールド
- ロレックス/オイスター パーペチュアル デイデイト(プレジデントブレスレット全般)
- カルティエ/リフレクション ドゥ カルティエ
- ヴァシュロン・コンスタンタン/ヒストリーク・222
- パルミジャーニ・フルリエ/トンダ PF オートマティック
- ショパール/アルパイン イーグル 41
- ウブロ/(ブランド都合によりモデル名不掲載)
髙木教雄(62歳) ライター
「まずエレガントさを重視」
今回のお題だと、どうしても“ラグスポ”に目が行きがちになる。しかし個人的な好みであるクラシック系を上位2作に選んだ。いずれも大量の極小パーツを組み合わせることで、しなやかかつエレガントなブレスレットに仕立て上げている。これは、工芸技巧の極み。ジュエリーを得意とするメゾンの、出来栄えもさすが。
- パテック フィリップ/ゴールデン・エリプス
- ブランパン/ヴィルレ ミルマイユブレスレット全般
- ルイ・ヴィトン/タンブール オトマティック
- オーデマ ピゲ/ロイヤル オーク “ジャンボ” エクストラ シン
- ロレックス/プレジデントブレスレット全般
- パルミジャーニ・フルリエ/トンダ PF全般
- ショパール/アルパイン イーグル全般
- ブルガリ/オクト フィニッシモ イエローゴールド
- カルティエ/サントス ドゥ カルティエ
- ヴァシュロン・コンスタンタン/オーヴァーシーズ全般
名畑政治(65歳) 時計ライター
「品格も財力も求められる狭き門」
「ゴールドのブレスレット」というテーマで探したが、意外にソリッドゴールドのブレスレット装着モデルというのは限られていることに気付いた。それだけゴージャスで着ける人を選ぶということか? 私なんか、まだまだ全然、似合わない。例によってすべて同列、順位なし。
- オメガ/シーマスター ダイバー300M ブロンズゴールド&バーガンディ
- パテック フィリップ/ゴールデン・エリプス
- ヴァシュロン・コンスタンタン/ヒストリーク・222
- オーデマ ピゲ/ロイヤル オーク フライングトゥールビヨン
- ブランパン/ヴィルレ ウルトラスリム
- ブライトリング/クロノマット B01 42
- H.モーザー/ストリームライナー・トゥールビヨン ベンタブラック®
広田雅将(51歳)『クロノス日本版』編集長兼アートソルジャー
「ゴールドブレスをラインナップできるのは、超一流の証し」
時計趣味のひとつの極北が、ゴールドブレスレットだと思っている。金が高騰したためか、以前ほどの数は見られなくなったが、時計としての出来ははるかに良くなった。単に重いだけでなく、装着感をも考慮しているのが大きな特徴だ。いわゆる“ラグスポ” を抑えて1位に輝いたのは、ドレスウォッチの極みと言うべき「ゴールデン・エリプス」だ。
- パテック フィリップ/ゴールデン・エリプス
- ロレックス/オイスター パーペチュアル デイデイト
- オーデマ ピゲ/ロイヤル オーク “ジャンボ” エクストラ シン
- カルティエ/サントス ドゥ カルティエ
- パテック フィリップ/ノーチラス Ref.5811/1
- ヴァシュロン・コンスタンタン/ヒストリーク・222
- ルイ・ヴィトン/タンブール オトマティック
- パルミジャーニ・フルリエ/トンダ PF
- ブルガリ/オクト フィニッシモ イエローゴールド
- チューダー/ブラックベイ 58
ランキングの集計ルール
●選考委員は、各号のテーマに沿った腕時計を10本選び、順位をつける。
●選考委員ひとりあたりの所持ポイントを110点とし、これを1位20点、2位18点…… 10位2点として選考モデルに振り分ける。
●選考された時計が順位無しの場合は、所持ポイントを10等分して、各モデルに11点を与える(選考本数が10本に満たない場合でも、1モデルあたり11点とする)。
●獲得点数が同点となった場合は、選考者数の多いモデル、その中で選考順位の高いモデルの順で優位とする。
●最低有効得票数を2票とする。
●ウブロはブランドの都合によりモデル名を掲載しておりません。