時計業界における大きなトレンドのひとつが、ラグジュアリースポーツウォッチ、通称“ラグスポ”だ。高級感のある外装やスポーティーなデザインを持つ腕時計を指すこのジャンルには、多くのブランドが次々と参入している。今回のランキングでは「正規店で購入でき、金属製のブレスレットが付いており、自動巻きのムーブメントを搭載していること」という基準を設定(注:2021年11月当時)。基本的な条件がそろったランクインした10本を並べると、それぞれのモデルが持つ個性が見えてくる。

[クロノス日本版 2021年11月号掲載記事]
2024年3月20日更新


ラグジュアリースポーツウォッチランキング

10位 パルミジャーニ・フルリエ/トンダ GT

20point / 2persons

パルミジャーニ・フルリエ「トンダ GT」

パルミジャーニ・フルリエ「トンダ GT」Ref.PFC910-0000210-B00182
パルミジャーニ・フルリエ初のスポーツウォッチ。ダイアルに施されたクル・トリアンギュレールギヨシェや細かな溝が刻まれたベゼルなど、ブランドを象徴するエレガントな意匠がちりばめられている。優れた装着感をもたらすブレスレット一体型ケースや100mもの防水性が、デイリーユースにもふさわしい実用性を発揮する。自動巻き(Cal.PF044)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。SSケース(直径42mm、厚さ11.2mm)。100m防水。世界限定250本。(問)パルミジャーニ・フルリエ pfd.japan@parmgiaini.com

●ヘッドとブレスレットの重量バランスに優れた腕時計。針合わせにはコツがいるものの、搭載するCal.PF044は巻き上げ効率が良く、感触も良好だ。また、高級機らしくフリースプラングテンプを採用する。シチュエーションを問わず使えるモデルだが、新作の「トンダPF」との被りはやや気になる。(広田)

9位 ティソ/ティソ PRX オートマティック

25point / 3persons

ティソ PRX オートマティック

ティソ「ティソ PRX オートマティック」Ref.T137.407.11.041.00
1978年に誕生した「PRX」のデザインをベースに、現代的なアップデートを加えた現行のPRXコレクション。格子状のパターンがあしらわれたダイアルには、シンプルなバータイプのインデックスと針が組み合わされている。サテンとポリッシュで仕上げ分けられたケースとブレスレットや、約80時間のパワーリザーブを持つムーブメントなど、内外装ともに高いパフォーマンスを発揮する。自動巻き(Cal.パワーマティック80)。23石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径40mm、厚さ10.9mm)。10気圧防水。(問)ティソ Tel.03-6254-5321

●2021年初頭にクォーツが登場したが、大人気で品薄状態。そこでついにメカニカルモデルが登場したのは当然の流れだろう。しかもオートマティックながらアンダー10万円とは超リーズナブルだ。(名畑)

8位 ジラール・ペルゴ/ロレアート

26point / 3persons

ジラール・ペルゴ「ロレアート 42mm」

ジラール・ペルゴ「ロレアート」Ref.81010-11-431-11A
1975年に登場した「クォーツクロノメーター」のデザインをベースに誕生した、「ロレアート」コレクション。クッション型のケースに、ラウンド型の台座、八角形のベゼルを組み合わせた幾何学的なケースラインが特徴だ。随所に取り入れられたポリッシュ仕上げや、ダイアルのクル・ド・パリ装飾が、エレガントな印象を与えている。自動巻き(Cal.GP01800)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約54時間。SSケース(直径42mm、厚さ10.68mm)。100m防水。(問)ソーウインド ジャパン Tel.03-5211-1791

●ケース一体型のブレスレット、八角形のケース、クル・ド・パリ ダイアルと“ラグスポ”のヒットの法則を見事に備えながらも、原点モデルが1975年だということを勘案すれば、それがモノマネではないことは一目瞭然。もっと評価されるべき1本。(安藤)

7位 シチズン/ザ・シチズン メカニカルモデル キャリバー0200

27point / 3persons

「ザ・シチズン メカニカルモデル キャリバー0200 NC0200-90E」

シチズン「ザ・シチズン メカニカルモデル キャリバー0200」Ref.NC0200-90E
2021年に復活したザ・シチズンの機械式モデル。平面を主体としたラグの無いケースデザインは、歴代のアーカイブピースより着想を得たもの。細かなパターンが施されたブラックダイアルは同社が得意とする電鋳によって仕上げられている。フリースプラングテンプを搭載したCal.0200は、グループ傘下のラ・ジュー・ペレの協力を得て開発されたムーブメントだ。自動巻き(Cal.0200)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径40mm、厚さ10.9mm)。5気圧防水。生産終了。(問)シチズンお客様時計相談室 Tel.0120-78-4807

●シチズンの歴史的名機「クロノマスター」や、超高精度を誇ったクォーツモデル「クリストロン」などのデザインを融合させたシャープな造形美が際立つモデル。私としてはデイト無しというのもポイントが高い。(名畑)

6位 ベル&ロス/BR 05

36point / 3persons

ベル&ロス「BR 05 BLACK STEEL」

ベル&ロス「BR 05」Ref.BR05A-BL-ST/SST
ベル&ロスを象徴するスクエアケースを採用したモデル。コクピットクロックに着想を得た、視認性に優れたダイアルを備える。ケースとブレスレットは、サテン仕上げを基調としつつ、随所にポリッシュを取り入れることで、立体感のある仕上がりを見せる。シースルーバックからは、車のホイールに着想を得た自動巻きローターが覗く。自動巻き(Cal.BR-CAL.321)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径40mm)。100m防水。(問)ベル&ロス 銀座ブティック Tel.03-6264-3989

●角型×ラウンドのデザインバランスは秀逸。(篠田)

5位 ブルガリ/オクト フィニッシモ

54point / 4persons

ブルガリ「オクト フィニッシモ S」

ブルガリ「オクト フィニッシモ」Ref.103464
実用的な薄型時計の代名詞である「オクト フィニッシモ」。縦方向のブラッシュ仕上げを与えたダイアルが、モダンな印象をもたらす。八角形のケースには多くのファセットが施され、立体感を生み出している。マイクロローター式の自動巻きムーブメントは、厚さわずか2.23mmながら、約60時間のパワーリザーブを備える。自動巻き(Cal.BVL138)。36石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径40mm)。100m防水。(問)ブルガリ ジャパン Tel.0120-030-142

●薄型ながら複雑なケースと一体になったブレスレットが実にスタイリッシュで、完成度は抜群。まあイチ推し。(菅原)

4位 ショパール/アルパイン イーグル

59point / 6persons

ショパール「アルパイン イーグル ラージ」

ショパール「アルパイン イーグル 41」Ref.298600-3001
デザインのベースは、1980年に登場した「サンモリッツ」。ケースとブレスレットには、高い硬度と審美性、抗アレルギー性を備えたルーセントスティール™を採用する。ダイアルに施された放射状の仕上げは、鷲の瞳の虹彩にインスピレーションを得たものだ。C.O.S.C.公認クロノメーターを取得した、高精度な自社製ムーブメントを搭載する。自動巻き(Cal.CHOPARD 01.01-C)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径41mm、厚さ9.7mm)。100m防水。(問)ショパール ジャパン プレス Tel.03-5524-8922

●ケース径41mmというサイズが決して大きすぎず絶妙。ベゼルのビスも単なる飾りではなく、ちゃんと機能しているという点にも好感が持てる。(名畑)