SIHHやバーゼルワールドなど新作発表の際には、リリースや画像、スペックデータといった新作の情報が入れられたUSBがブランドより各メディアに配られる、というのがこれまで主流だった。近年ではURLやQRコード、パスワードの載った紙のみが配られて、指定のサイトよりこれら新作情報をダウンロードするという形式も増えつつあるが、USBでのプレスキット配布は、それぞれのブランドの個性が現れていて面白い。ということで、今回はSIHH2019で配られたUSBより、特にユニークなものを紹介しよう。

SIHHのUSBメモリ


A.ランゲ&ゾーネ

ランゲUSB

A.ランゲ&ゾーネは手裏剣型なのが特徴。それぞれが異なる4つのポートを持っているため、様々なデバイスに対応できる。写真上より時計回りで「Lightningコネクタ」「USB 3.1 Type C」「USB 2.0 Type A」「USB Micro-B」となっている。一般的なノートブックPCのみならず、USB 3.1 Type Cしかポートを持たない2016年以降のMacbookシリーズと2015年の一部モデルでも直接使用できるのがうれしい点だ。また、LightningコネクタやUSB Micro-Bポートがあるため、スマートフォンもしくはタブレットがあれば現場で気軽に確認できる。メディアにとってはありがたい構成だ。


ウブロ

ウブロUSB

長さ約3.5cm、厚さ約3mmと超小型だ。世界各国からやってくるメディアにとって、かさばらない配慮は喜ばしい。また、これだけ薄型ながら、メタル素材で作られているため、強度も申し分ない。


フェルディナント・ベルトゥー

ベルトゥーのUSB

長さが約4cm、厚さ約5mmとコンパクトなサイズ。この手の穴を開けているタイプはストラップをつけることが可能なため、紛失のリスクを減らすことができる。USB3.0なのでデータの読み書きも高速だ。


ピアジェ

ピアジェのUSB

高級感と品のあるゴールドカラーケースのUSBメモリ。ブランドロゴ左上に見える小さな穴は、金型から製造する際に変形してしまわないよう意図的に開けらたものだと思われる。


モンブラン

モンブランのUSB

箱を開けると中にカード型のUSBメモリが入っている。薄さはクレジットカード3枚分とほぼ同じくらい。USBメモリの溝の入った部分を裏側から押すと、USB端子が出てくる。

USBの箱
USBメモリ本体


ヴァシュロン・コンスタンタン

ヴァシュロン

本革製のケースに収まっている。少し重量感があり、取り出すとブランドロゴの入ったUSBメモリが出てくる。このUSBメモリ、シャンパンゴールド部分を回転させるとLightningコネクタが出てき、iPhoneなどでデータを見れるようになっている。


オーデマ ピゲ

オーデマピゲのUSB

金属素材でコンパクトながら重量感があり、その形状と相まって存在感を放つ。その重さは、今回紹介する中で1番だと思われる。


カルティエ

カルティエのUSB

今回SIHH2019で配布されたUSBメモリ中で最も異彩を放った存在。ケースにあるベロを引き出すと、USBメモリが出てくる。特筆すべきはその反対側。連動し液晶が出てくるのである。この液晶は今回発表された新作モデルのイメージビジュアルを表示し、ベゼルに配されたふたつの三角形を押すことでページを送れる。バッテリー切れの際は、ケースサイドのUSBポートから充電が可能だ。


IWC

IWCのUSB

外装はキーホルダーを模したデザインで、USBメモリ本体も鍵を模したデザインになっている。


おまけ バーゼルワールド2018で配られたH.モーザーのUSBメモリ

モーザーのUSB
モーザーのUSB2

SIHHとバーゼルワールドのどちらにも出展しているH.モーザー。例年、特徴的なケースを採用したUSBメモリを配布していた同ブランドだが、残念ながらSIHH2019ではダウンロードサイト式に変更となってしまっていた。写真はバーゼルワールド2018で配布されていたもの。一見、ただの人形に見えるが、山岳救助犬が首から提げているワイン樽の中に収納されていた。最初はどこにあるのか分からず、首を引っ張ったり、しっぽを引っ張ったりしたのは、筆者の胸の内に留めておく。


所感

各ブランドがそれぞれ趣向を凝らしており、例年とても興味深く観察している。多くの人の目に触れる事はないであろうUSBメモリという土俵で、ブランドカラーを表現する遊び心が粋である。その面白みを知っていただきたく、一部のブランドだけではあるが、今回紹介させてもらった次第だ。読者の皆様が「欲しい!」「面白い!」と思ったUSBメモリはこの中にありましたか?