SEIKO GRAND SEIKO HI-BEAT 36,000
昨年、ようやくドイツ上陸を果たしたグランドセイコー。丁寧な作りで抑制の利いた魅力をたたえ、使い勝手が良く高精度。ドイツでも通好みされるロングセラーシリーズの新作に、果たして何か不足しているものはあるのだろうか。
アレクサンダー・クルプ: 文 Text by Alexander Krupp
OK-PHOTOGRAPHY: 写真 Photographs by OK-PHOTOGRAPHY
市川章子: 翻訳 Translation by Akiko Ichikawa
OK-PHOTOGRAPHY: 写真 Photographs by OK-PHOTOGRAPHY
市川章子: 翻訳 Translation by Akiko Ichikawa
+point
・仕上げ加工が完璧
・自社キャリバーの設計が秀逸
・精度の安定性が非常に高い
・装着性と操作性に優れている
-point
・デザインに独創性が見られない
・文字盤上のコントラストが弱い
日出づる処の実直な堅者
グランドセイコーは、1960年に発売が開始されたロングランシリーズだ。長らく日本国内のみで販売されてきたが、先頃ついに待望のドイツ上陸を果たした。セイコーは多くのモデルバリエーションがあり、ドイツでも通好みするブランドとして愛好家は少なくない。同社のラグジュアリーラインのグランドセイコーも、ファン層の熱い支持がある。我々編集部も、ドイツ上陸の報告の際には若干浮き足立っていたようだ(日本版編集部注/2012年、ドイツ版『03・2012』号ではグランドセイコーの特集があった)。しかしその後、ひょっとしたら我々としたことが、褒めちぎり過ぎてポジティブな判断しかできていなかったかもしれないと、少々冷静になってきた。評価が正しかったか否かを知るには、やはり毎日使って分析するに尽きるだろう。だが、今の段階で言えるのは、グランドセイコーは事実上、日本の時計製造技術の粋を極めたものである、ということだ。少なくとも今回取り上げる高振動バージョンの「グランドセイコー メカニカルハイビート36000」については、その評価に間違いはないと思われる。だが、ここはやはり、慎重に見るべきだろう。そのために、データを手堅く収集・検証していきたい。