ROLEX SUBMARINER DATE
良いものとは、時代を超えて残ってゆくものである。ロレックスのサブマリーナーは、1953年の発表以来、常にディテールの改善が行われてきた。だが、ブランドのアイコンに成長した現在も、サブマリーナーは、同コレクションのデザインを忠実に堅持している。
ニック・シェルツェル:写真 Photographs by Nik Schölzel
岡本美枝:翻訳 Translation by Yoshie Okamoto
+point
・素晴らしいデザイン
・卓越した加工品質
・秀逸な自社製ムーブメント
-point
・サイクロップレンズに難がある
・精度の微調整が最適ではない
成熟したダイバーズウォッチの模範
ロレックスが1953年に発表したサブマリーナーは、回転ベゼルと100mの防水性を備えた世界初のダイバーズウォッチであった。デザインの上でも大成功を収めたこのモデルは、リュウズガードが付いて拡大されたケース(1959年)やデイト付きモデルの導入(1965年)を除けば、これまで、アプライドインデックスや、ケースとブレスレットの側面に施されたポリッシュ仕上げ、そして、ラグ穴の廃止など、わずかにマイナーチェンジされたに過ぎない。サブマリーナー デイトのステンレススティールモデルにおいて、2010年からセラクロムベゼルが採用されるようになったのが、最後に行われたマイナーチェンジである。
50年以上も前に考案されたデザインであるにもかかわらず、サブマリーナーは、見事な外観であるばかりか、時流に合った印象を与えている。ブライトリングのナビタイマーやオメガのスピードマスター プロフェッショナルなどの古典的名作とは異なり、サブマリーナーは年月の経過をまったく感じさせない。これは特に、光を反射する滑らかなセラミックス製のセラクロムベゼルや、光沢のある黒文字盤、無反射コーティングが施されていないフラットなサファイアクリスタル風防の恩恵によるものである。これらの要素は、スーツと同じようにスイムウェアにも合わせられるような気品をサブマリーナーに与えている。
無反射コーティングが施されていないフラットな風防は、特徴のひとつではあるものの、残念ながら、視認性にはややマイナスに働いてしまっている。それでもなお、視認性は非常に良好な部類に入るが、サイクロップレンズがあるために日付は正面以外からは読み取りにくい。時計を少しでも傾けると日付は見えにくくなり、文字盤の別の部分が拡大されてしまう。一方で、サイクロップレンズは拡大率が極めて高いことから、視力の弱いユーザーにとっては大きなメリットである。