ケースサイドからラグへの移行部のみ、
ポリッシュ仕上げが完璧さに欠ける。
2枚のサファイアガラスとねじ込み式リュウズを備えたケースはファセット豊かな設計で、150m防水が確保されている。ポリッシュ仕上げにやや粗さの残るラグへの移行部を除けば、作り込みは極めて秀逸。
さらに美しい内部
外部の構成部品が良好な仕上がりであるだけでなく、内部機構に関しても、現在の時計産業が供給し得る最高の水準と言っても過言ではない。キャリバー8500は、ムーブメントに望むことのできるほとんどすべてを搭載したベースムーブメントなのだ。秀逸な設計によって機能性が高い上に、美しく装飾され、さらなるモジュールを追加できる構造にもなっている。
オメガはこのムーブメントで、数多くの新機軸を打ち出している。直列に接続されたふたつの香箱は、硬度の高いダイヤモンド・ライク・カーボン・コーティングの恩恵により、摩耗に強い特性を持つ。また、両方向巻き上げ式ローターは、新たに設計された切り替え車とジルコニウム製のスライドベアリングによって、巻き上げ効率が高く、ノイズを立てずに作動する。さらに、新しくデザインされた歯先の形状と特殊な潤滑剤によって、輪列全体の摩擦も抑えられている。オメガが自社開発した、並外れて精度の高いコーアクシャル脱進機搭載ムーブメントは、キャリバー8500では3層構造の新型ガンギ車、温度変化に強い特殊合金で出来たブラックカラーのテンワ、そして、フリースプラング(自由振動ヒゲ)で構成されている。本来、緩急針を備えたテンプ受けが配される場所には堅固な両持ちのバランスブリッジが採用され、テンプを両側からしっかりと支持している。その上、テンプの軸方向への遊びも、バランスブリッジの下に備えられた調整用のネジによって正確に微調整することができる。
オメガはムーブメントの仕上げにも独自の手法を考案した。ローターやブリッジは、ロジウムプレート仕上げが施されているだけでなく、“アラベスク風コート・ド・ジュネーブ"と呼ばれる新しい模様彫りで飾られている。ブリッジは、エッジにもきちんと面取りとポリッシュ仕上げが施されている。ブリッジを留めるネジのブラックカラーは、ムーブメントの縁から顔をのぞかせているふたつの香箱やテンワのブラックカラーとよく似合う。このほか、ブリッジやローター、さらに、テンワのアームにまでエングレービングが施され、地板にはペルラージュ模様が入れられている。