プロプロフはクロノメーター証書を備えているが、実際の精度はクロノメーター規格よりはるかに優秀だ。
振り角もすべての姿勢でほとんど変わらない。
回転ベゼルも堅固になっている。初代モデルでは、回転ベゼルがベークライトでできており、亀裂が入りやすかった。新生モデルでは、傷に強いサファイアクリスタルが回転式ダイバーベゼルを覆い、内側から蓄光塗料を施した分目盛りと黒い背景がプリントしてある。さらに、どんな条件下でも良好な視認性を確保できるよう、サファイアクリスタルベゼルの表面には無反射コーティングが施されている。
結果は素晴らしい。時刻とダイバーベゼルは、日中の視認性が完璧であることはもちろん、暗がりでも良好である。ダイバーベゼルの数字と三角マーカーは、文字盤の時・分針やインデックスと同じように明るく発光する。また、センターセコンドにも蓄光塗料を乗せた長方形のポインターが付いているので、水中で時計が動いているかどうか確認できる。この点と、ダイバーベゼルに蓄光塗料を塗布した分目盛りが毎分ごとに刻まれていることから、プロプロフはダイバーズウォッチに対して定められたドイツ工業規格(DIN)8306およびISO6425を見事クリアしている。市場に出回っているすべてのダイバーズウォッチが、この規格に適合しているわけではない。 変更が加えられたことで簡単になった操作もある。初代モデルではまず、四角形のリュウズを外側のネジでリュウズガードから解除する必要があった。こうしてやっとリュウズを回すことができたのだが、リュウズの厚みがリュウズガードと同じだったことと、四角形というフォルムのために、操作は少々難しかった。復刻モデルのリュウズは、通常のねじ込み式リュウズと同じように操作できる。解除のために手前に回すと、ロックされたリュウズガードの外側の部分も一緒に動く。フォルムも扱いやすくなったリュウズは、これで簡単に回すことができる。
リュウズを第2ポジションに引き出すと、ストップセコンド機能によってテンプが停止し、時と分を通常とまったく変わらずに合わせることができるのに対して、第1ポジションでは、時針を1時間刻みで合わせることができる点も、新生プロプロフの特徴だ。この方法で時針を合わせると、日付も前後にジャンプするので、スペックとしては日付早送り調整機能を積んでいないにもかかわらず、比較的スムーズに日付を修正することができる。ただし、日付を戻したい場合は、時針が8時位置に達してからでないとジャンプしない。 別個に合わせられる時針は、別のタイムゾーンに移動する場合や、夏時間から冬時間に変わる際などに便利である。時針を動かしても秒針は影響を受けずにそのまま動き続けるので、正確な時刻を維持することができる。
これに比べ、ダイバーベゼルの設定はやや面倒だ。中指でオレンジカラーのセーフティボタンを力いっぱい下に押し込みながら、親指と人差し指でベゼルをいずれかの方向に回す。実際に操作してみると、言葉で説明するよりも複雑ではないが、グローブや濡れた手でこれを行うのは難しい可能性がある。その代わり、ベゼルを誤って動かしてしまう危険性はない。 ミラネーゼブレスのフォールディングバックルは扱いやすく、非常に快適である。バックルは、ふたつの大きなプッシュボタンを押すと簡単に開く。内蔵エクステンションシステムは、バックルを開いて内側から親指で軽く押しながらスライドさせると、合計22mm、引き出すことができる。ブレスレットの長さは、エクステンションを戻すことによって、バックルを閉じた状態でも手首の太さに合わせて1mm刻みで調節することができる。ドライスーツを着るのにもっと長さが欲しいダイバーのために、バックルにはさらに26mmのエクステンションが内蔵されている。精巧に作られたエクステンションシステムは、極めて堅固で操作もとても簡単だ。その上、面取りとポリッシュを施したエッジを持つ重厚なバックルは、同じく重厚な設計のプロプロフのケースと完璧に調和している。
オメガは、 "シャークプルーフ"(鮫に噛まれても切れない)と呼ばれるミラネーゼブレスも復活させた。当時の時代の香り漂うメタルメッシュブレスレットは今回、普通のメタルブレスレットと同じように、バックル付近のコマを外して短くしたり、元の長さに戻したりできるようになっている。ブレスレットは加工精度が極めて高く、手首への馴染みも抜群で、気になる角やエッジはまったくない。 総重量279グラムという超ヘビー級で、最大幅55mmという巨大サイズにもかかわらず、ミラネーゼブレスの恩恵によりプロプロフの装着感は驚くほど快適だ。ただ、ケースバックから大きく隆起した波模様とシーホースのレリーフが手首の骨に当たるのが気になった。 70年代のモデルと同様に、今回もオレンジとブラックカラーのストラップが用意された。今回のストラップはラバー製で、時計に良く似合う。ただ、ラバーストラップで装着すると、重厚なケースとのバランス感がやや損なわれ、時計が頭でっかちに見える感が否めない。