ますます魅力が奥深く幅広くなった復刻モデルの新作・5選

2021.10.13

復刻モデルの魅力は、いうまでもなく、ヴィンテージな雰囲気が味わえること。そのうえで、最新モデルと同じ品質や信頼性があるのが、ならではの素晴らしさ。いうなれば、よいとこどり、というのが復刻モデルの長所だ。

また、近年はデジタル技術の進化などによりオリジナルと寸分変わらない完全復刻版が可能になった、というのも重要な点。復刻モデルの楽しさは、ますます奥深くなっているのだ。

今年もそんなさまざまな復刻モデルを多数のブランドが発表。ここに挙げたのは、その選り抜きの5本だ。

オリジナルの生まれ年を1920年代から1970年代と幅広く、機能や用途やデザインも幅広く選んでいるのが注目すべきところ。そのため5本それぞれが各自各様にまったく違った魅力をもつ。

なお、復刻モデルの多くがそうであるように、今回も限定モデルが含まれているので、その点はご注意を。

掲載順はオリジナルの古いものから。さて、あなたはどのモデルがお気に召すだろうか。

福田豊/選&文


ヴァシュロン・コンスタンタン「ヒストリーク・アメリカン 1921」

ヴァシュロン・コンスタンタン「ヒストリーク・アメリカン 1921」

ヴァシュロン・コンスタンタン「ヒストリーク・アメリカン 1921」
直径36.5mm
手巻き(Cal.4400AS)
21石
2万8800振動/時
3気圧防水
18KWG
360万8000円(税込み)

1921年に主にアメリカに向けてデザインされ、少量生産された、歴史的モデル「アメリカン 1921」の復刻版。これまで何度か復刻されているが、今回は誕生100周年の記念作だ。目を引く一大特徴である45度傾けられたダイヤルは、クルマのハンドルを握ったときの見やすさのために考案されたもの。そして独特のクッションケースのエレガントな雰囲気や、傾けられたダイヤルのダイナミックな印象が、まさに狂騒の1920年代を体現しているのが大きな魅力だ。今回の100周年記念では40mmと36.5mmの2サイズの展開。36.5mmはホワイトゴールド、40mmはホワイトゴールドと世界本数限定のプラチナケースが用意されている。


ロンジン「ロンジン シルバー アロー」

ロンジン「ロンジン シルバー アロー」

ロンジン「ロンジン シルバー アロー」
直径38.5mm
自動巻き(Cal.L888.5)
21石
2万5200振動/時
3気圧防水
SS
26万4000円(税込み)

1956年に発表されたモデルの完全復刻版。モデル名は社内公募を行い集まった450以上の候補から選ばれた1つを元に決定したもの。「シルバー アロー」というと、おそらく当時のモータースポーツ界を席巻していたメルセデス・ベンツ 300SLRのことだろう。また、この時代のロンジンの各コレクションにはエンブレムが与えられており、このモデルでは当時のひとびとの憧れだった超音速旅客機がケースバックに描かれている。デザインはオリジナルをほぼ忠実に踏襲しており、ことに日付表示と「Automatic」の表示を廃しているのが注目点。その一方で、シリコン製ヒゲゼンマイ採用の最新鋭ムーブメントを搭載というのも素晴らしい。


セイコー「プロスペックス 1959 アルピニスト 復刻デザイン」

セイコー「プロスペックス 1959 アルピニスト 復刻デザイン」

セイコー「プロスペックス 1959 アルピニスト 復刻デザイン」
直径36.6mm
自動巻き(Cal.6L35)
26石
2万8800振動/時
日常生活用強化防水(10気圧防水)
SS
世界限定1959本
33万円(税込み)

セイコーのスポーツウォッチの原点である、1959年誕生の初代「アルピニスト」=「ローレル アルピニスト」のデザインを復刻したスペシャルモデル。オリジナルの最大の特徴であったレザー製のウォッチパッドの忠実な復刻がファンには嬉しい好ポイント。時計本体も、3時、6時、9時、12時に大きな楔形インデックスを配するなど視認性を考慮したダイヤルを始め、随所にオリジナルのデザインが受け継がれている。という一方で、蓄光塗料をルミブライトに、ドーム型のガラス風防をボックス型のサファイアクリスタルガラスに、などのスペックアップも完璧。ムーブメントも手巻きから自動巻にアップデイトされている。


ゼニス「クロノマスター リバイバル エル・プリメロ A385」

ゼニス「クロノマスター リバイバル エル・プリメロ A385」

ゼニス「クロノマスター リバイバル エル・プリメロ A385」
直径37mm
自動巻き(Cal.エル・プリメロ400)
31石
3万6000振動/時
5気圧防水
SS
96万8000円(税込み)

名前のとおりにゼニスの歴史的モデルをリバイバル=復活させたシリーズ。これまで1969年発表の初代「エル・プリメロ」3モデルのうち「A384」と「A386」が復刻されており、そして今回もう1モデルの「A385」が復刻された。前2作と同様に当時の設計図と製造計画を用いたリバースエンジニアリングを採用。風防をアクリルガラスからサファイアクリスタルに替えたことと、裏蓋を「エル・プリメロ」を覗き愉しめるシースルーバックにしたことを除けば、ほぼすべてのデザインを完璧に復刻。わけても当時は珍しかったグラデーションダイヤルの忠実な再現が見どころ。ラダーブレスレットも独特の魅力だ。


タグ・ホイヤー「アクアレーサー プロフェッショナル300 Ref.844 トリビュート」

タグ・ホイヤー「アクアレーサー プロフェッショナル300 Ref.844 トリビュート」

タグ・ホイヤー「アクアレーサー プロフェッショナル300 Ref.844 トリビュート」
直径43mm
自動巻き(Cal.5)
ETA=25石 SELLITA=26石
2万8800振動/時
300m防水
チタン
世界限定844本
51万7000円(税込み)

「アクアレーサー プロフェッショナル300」は今年発表された「アクアレーサー」の新コレクション。アイコニックな12角形の逆回転防止ベゼルはほぼそのままに、サイドに溝を入れることで操作性をアップ。日付表示の拡大レンズを内側に配し、風防をフラットに。ケースを薄く。ラグを短く。などなどと随所をアップデイトした。これはその特別モデルで「アクアレーサー」の元祖である1978年発売のダイバーズウォッチ「ホイヤーRef.844」のトリュビュート版。赤で記された24時間目盛りはオリジナルから受け継いだもの。針とインデックスに塗られたオールドラジウムのスーパールミノバ®のヴィンテージ感も素晴らしい。





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