オシアナス マンタ最新作「OCW-S400」を着用レビュー! 価格以上の価値を提供してくれた1本

2024.04.17

2024年、オシアナス マンタの新作として登場した「OCW-S400」のうち、グリーン文字盤のモデルを着用レビューする。薄く、軽く、それでいて個性も備えた本作は、定価16万5000円を超える価値を提供してくれた。

カシオ オシアナス マンタ OCW-S400

鶴岡智恵子(クロノス日本版):文・写真
Text & Photographs by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2024年4月17日公開記事]


オシアナス マンタの2024年新作「OCW-S400」

 2024年3月、オシアナス マンタに新しいコレクションが加わった。コンパクトな3針モデルの「OCW-S400」である。

カシオ オシアナス マンタ OCW-S400

カシオ オシアナス「マンタ」Ref. OCW-S400-3AJF
タフソーラー。Tiケース(直径41.3mm、厚さ9.2mm)。10気圧防水。16万5000円(税込み)。

 カシオが展開するブランド、オシアナス。Elegance, Technologyを標榜し、優美で洗練された意匠と優れた機能性を両立した腕時計だ。なお、オシアナスの名前はギリシャ神話の海の神「オケアノス」に由来しており、海をモチーフとしたブランドロゴや、海を想起させるブルーを取り入れた意匠も特徴的である。

 そんなオシアナスの中で、「マンタ」はプレミアムラインに位置付けられる。巨大エイの名を与えられたこのコレクションは、Slim&Eleganceが開発コンセプト。もっとも、ケースやブレスレットが薄く、かつカシオが誇る現代技術が投入されているというだけではない(それだけでも、アドバンテージがあると言えるが)。ハイレベルな仕上げや、凝った文字盤、針、インデックスなどを備えることで、高級ハイテクウォッチというジャンルを築き上げているのだ。

 従来のオシアナス マンタのメンズモデルはクロノグラフやワールドタイムを搭載し、インダイアルを3つ備えた、多機能モデルがラインナップされてきた。しかし最新作として、シンプルでベーシックな3針モデルが加わる。従来42〜43mmであったケース径も、41.3mmとコンパクトだ。この新しい3針モデルのうち、グリーンの文字盤とベゼルを備えた、「OCW-S400-3AJF」を着用レビューする。


16万5000円を超える価値

カシオ オシアナス マンタ OCW-S400

チタン製、エレガントな薄型設計、しかも凝った意匠を備える本作の税込み定価が16万5000円という値付けは良心的。高級時計の値上がりが続く昨今においては、ありがたく感じる。

 世界的なインフレや円安、原材料高騰などによって、最近の高級腕時計の値上がりは著しい。一年のうちに幾度か価格改訂を行うブランドも存在する。そんな中で、国産ブランドも値上がりしているとはいえ、為替の影響を受けづらいこともあり、海外ブランドほどの高騰は見せておらず、とりわけカシオウォッチの価格設定は良心的だ。

 もっとも、価格が安ければ安いほど良い時計とは限らないだろう。もちろん高ければ高いほど良い時計というわけでもない。しかし、価格以上の価値を提供できる時計があるとすれば、それは“良い時計”と言って差し支えないだろう。今回レビューするOCW-S400-3AJFは、そんな“良い時計”としての要素を備えていると感じた。

カシオ オシアナス マンタ OCW-S400

サテン仕上げを基調に、ポリッシュ仕上げがコンビネーションされている。こういった仕上げに加えて、ベゼルやブレスレットなど、凝った造形を備えていることも、本作が価格以上の価値が感じられる点だ。

 本作は厚さ9.2mmの薄いチタン製ケース、そして同じく薄型のブレスレットを有することが特徴だ。クォーツウォッチには薄いケースを与えやすい。そのため、「薄い」というだけでは価格以上の価値があるとは言えない。しかし本作は、複雑な造形によって、“立体感”を備えている。薄型時計はどうしてもフラットになりやすく、のっぺりとした外観を持ちやすい。しかし、薄型時計に立体感が加わることで、モダンで洗練されたイメージをまとう。

 また、サテン仕上げを基調としつつ、ベゼルサイドやラグ、ブレスレットの一部にポリッシュ仕上げが与えられているのも特筆すべき点だ。“ラグスポ”ブームの中で、多くのメーカーが採用しはじめた仕上げ手法だが、オシアナス マンタは下地処理にザラツ研磨を用いてポリッシュ仕上げをしているため、稜線が際立ち、複雑な造形と相まって、立体的な意匠となっている。なお、チタンカーバイト処理が施されているため、耐摩耗性と発色が向上している。

カシオ オシアナス マンタ OCW-S400

ブレスレットやバックルも薄型であるため、袖口にすっきりと収まり、ビジネスシーンにも適したコンパクトなサイズ感だ。なお、ブレスレットのコマのサイドはポリッシュになっているため、きらりとさりげなく存在感を放ってくれる。

 こういった仕上げや造形を、16万5000円という価格の中で実現できるというのは、カシオ計算機であるがゆえだろう。オシアナスをはじめとしたカシオの高級ラインは、山形県東根市の山形カシオで製造されている。この工場は徹底的に製造工程の自動化が行われる一方で、人の手による組み立てや品質管理の工程も経ており、「高級腕時計を量産する」という体制が確立されている。であるがゆえに、16万5000円という手の届きやすい価格で本作を販売できているのだ。

 もちろん、初めて自分自身で腕時計を購入しようと思うユーザーにとって、10万円超の定価は高く感じるかもしれない。機械式時計ではなく、クォーツ式であればなおさらだ。しかし、本作の作り込んだ外装、そして後述する機能性を備えていることを鑑みれば、個人的にはかなり良心的な価格設定だと強く感じるし、競合他社の同価格帯のプロダクトと比べても、存在感を発揮していると言えるだろう。


“独創的”な薄型シンプルウォッチを使う!

光の強さによって、グリーンがブラックのように暗く変化する。そんな風に表情を変えるところも、また良し、だ。

 薄型ケースに、アナログ表示は3針+デイト表示の小窓のみ、となると、没個性になってしまうことがある。しかし本作は、しっかりとキャラクターが立っている。スポーティーなテイストも感じさせるケース、ブレスレットの複雑な造形はもちろんのこと、蒸着処理によって色付けされたグリーンの文字盤と、同じく蒸着処理によるグリーンのサファイアクリスタル製ベゼルが、本作に独創性を与えているのだ。本作は光発電式の腕時計であるため、文字盤から受光する必要がある。そのためソーラーウォッチの文字盤は光を通しやすい、透明なポリカーボネートなどを用いることが多く、質感は高級腕時計に見られる金属製の文字盤とは異なってくる。しかし本作は、蒸着処理によって、しっかりと濃いグリーンに発色した、質感の良い文字盤に仕上がっている。併せて、オシアナスのコンセプトを思わせる波模様のモチーフも、キャラクターを確立するとともに、この高い質感に寄与する要素となっている。

カシオ オシアナス マンタ OCW-S400

オシアナス マンタの特徴的なブレスレットの造形。なお、チタン製ゆえに軽量で、コマもしなやかに動くため、装着感は極めて快適だ。

 このように、個性がしっかりと立っている本作を実際に使ってみると、この個性が手元で存在感を放つと同時に、優れた装着感やデスクワークの邪魔をしないサイズ感に、改めて感心させられた。

 一般的に、薄くて軽い時計の装着感は良い。加えて本作のブレスレットはしなやかで、エッジが立った外装ではあるものの、肌に当たる部分は滑らかで、着用中に不快感や疲れは感じなかった。なお、実測値はコマを6つ外した状態で66gだ。とても軽い。

 ちなみに、ブレスレットのコマを外せる部分が多いところに、高いユーザビリティーを感じた。時計によっては外せるコマに限りがあり、手首が細すぎると対応できなかったり、逆に太すぎてコマを別途購入しなくてはいけないパターンが発生する。しかし本作はもともとのブレスレット内寸が大きく、かつ外せるコマが多いため、さまざまな手首回りに対応してくれるのだ。

 直径41.3mm、厚さ9.2mmのケースは、手首回り14.7cmである女性の自分にとっては大きい。しかし前述の通り、薄く軽い時計であるがゆえに装着感に優れているため、手首や体格、性別に関係なく着用したい時計であり、そんな思いを汲んでくれているように感じられるのが、ブレスレット調整の自由度の高さだ。


テクノロジーも存分に楽しめる

カシオ オシアナス マンタ OCW-S400

プッシュボタンはひとつのみ。このボタンで標準電波を手動受信させたり、Bluetooth通信によるスマートフォン接続を行ったりできる。

 凝った外装や薄型設計によるエレガントな装いに加えて、オシアナスのもうひとつのコンセプトである“Technology”も、着用レビューの中で存分に楽しめた。

 本作はシンプルな3針表示ではあるものの、世界6拠点の標準電波に対応した電波時計であり、かつ年間を通して手動での日付修正を必要としないフルオートカレンダーや、針位置自動補正機能、パワーセービング機能を備えたハイテクウォッチだ。

 また、モバイルリンク/アプリ連携機能も搭載されており、カシオの専用アプリ「CASIO WATCHES」を自分のスマートフォンにダウンロードし、かつBluetoothによって時計を連携させることで、スマートフォン上での時刻修正や携帯電話探索が可能だ。なお、スマートフォンとの連携は、ケース4時位置のボタンを長押しすることでスタートする。G-SHOCKだと、その造形ゆえかプッシュボタンが押しづらいことがあるのだが、オシアナスはスムーズな操作が可能であった。リュウズの引き出しも、特に難しいと感じることはなかった。ソーラー電波ウォッチは手動操作を前提としておらず、意匠との兼ね合いもあり、極端にリュウズが小さいモデルもある。しかし本作のリュウズは、女性の長い爪でもつまみやすかった。とはいえ、電波時計であるため、日本国内で日常的に使う分には、リュウズでの手動修正はあまり必要ないだろう。なお、4時位置のボタンで、標準電波を手動受信させることもできる。


バリエーション展開もされているので、お気に入りの1本を購入しよう!

カシオ オシアナス マンタ OCW-S400

OCW-S400は、今回着用レビューしたグリーン文字盤のほか、ブラック文字盤とブルー文字盤も展開されている。

 オシアナス マンタに新しく加わった、OCW-S400のグリーン文字盤を着用レビューした。

 薄くて軽く、凝った意匠を備えていることに加えて、カシオのハイテクも楽しめる本作は、定価を超える価値を提供してくれる1本だと感じた。

 本記事で何度か述べた立体感や装着感、肌あたりの良さは、なかなか写真だと伝わりづらいかもしれない。購入を検討している読者は、可能であればぜひ実機を目で見て、手首に載せてみてほしい。


Contact info:カシオ計算機お客様相談室 Tel.0120-088925


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