ビジネスパーソンとしてはベテランの域に入り、身に着けるアイテムにも、より気を配るようになる40代。スーツやカバン、靴などと同様に、腕時計も年齢や社会的地位に見合った選択ができれば、オトナの魅力の底上げにつながるだろう。今回、40代の男性におすすめの高級腕時計を、国産時計ブランドに絞って5本ピックアップした。
Text by Kento Nii
[2024年9月24日公開記事]
日本ブランドから、40代におすすめの高級腕時計を紹介!
スイスが本場と称されることもある高級時計だが、国産時計ブランドも独自に発展し、現代に至るまで堅実にシェアを伸ばしてきた。各ブランドが見せる、日本らしさが息づく真摯なものづくりは、国内外を問わない評価を獲得することにもつながっている。
そんな国産時計ブランドの腕時計は、経験を積んできた40代の男性にとっても魅力的な選択肢となりうる。高い技術力によって実現した高性能なモデル、あるいは日本の情景や伝統工芸などをモチーフとしたデザインなどのモデルは、海外ブランドとはまた違った味わいを感じられるだろう。
国産時計は、なども多く、
以下に、日本が世界に誇る国産ブランドから厳選した、40代にお勧めしたいモデル5選を紹介する。
グランドセイコー「エレガンスコレクション」Ref.SBGM221
日本の高級腕時計ブランドとして知られるグランドセイコーは、1960年にセイコーが「世界最高級の腕時計を作り出す」という志のもと、生み出したブランドだ。2017年には、世界進出を見据えてセイコーから独立。以来、日本らしい美意識と実用性を重んじたウォッチメイキングを特徴としながら、豊富なコレクションを展開してきた。そんんがグランドセイコーのタイムレスかつ洗練されたデザインは、国内外のさまざまな時計ユーザーの需要をカバーしている。
そんなグランドセイコーからは、「エレガンスコレクション」に属するRef.SBGM221をピックアップした。エレガントな佇まいが魅力のGMTウォッチであり、着用者の気品をより引き出してくれる1本だ。
自動巻き(Cal.9S66)。35石。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径39.5mm、厚さ13.7mm)。日常生活用防水。63万8000円(税込み)。
味わい深いアイボリーダイアルが目を引く本作は、ボックス型のサファイアガラスや、上品なブラウンレザーといった、クラシカルなディテールを備えている。同時に、磨き上げられた針やインデックス、ラグが洗練された一面を見せており、クラシカルとはいえ決して古臭さを感じさせない。まさに、グランドセイコーらしい“エレガンス”を体現したモデルと言える。
ムーブメントは、グランドセイコーで最も一般的な機械式ムーブメントCal.9S65に、GMT機能を付加したCal.9S66を搭載する。MEMS技術によって精密に作られた脱進機によって安定した精度を実現しており、また、パワーリザーブは約72時間を有している。トランスパレント仕様のケースバックから、このムーブメントを鑑賞可能な点も特筆したい。
ザ・シチズン「NC1000-51E」
“永く広く市民に愛されるように”という思いをブランド名に込めるシチズン時計。時計の実用性を追求してきたブランドとしても知られており、光発電システム「エコ・ドライブ」や、独自のチタン素材「スーパーチタニウム」を開発するなど、高い技術力を誇っている。また、近年では国外ブランドとのM&Aを積極的に進めており、伝統と革新を織り交ぜた時計づくりを展開している。
ピックアップしたのは、ハイエンドである「ザ・シチズン」コレクションのうち、機械式ムーブメントCal.0210を搭載した「NC1000-51E」だ。2010年以来ぶりの新作機械式コレクションとして登場したCal.0200にデイト表示を備えたモデルとなっている。
自動巻き(cal.0210)。26石。2万8800振動/時。平均⽇差−3〜+5秒。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径40mm、厚さ11.2mm)。10気圧防水。88万円(税込み)。
本作のデザインテーマのひとつは「先進性」だ。ブレスレットと一体化したケースは、ヘアラインをベースに、随所にポリッシュでメリハリがつけられており、シャープな機能美が全体にもたらされている。また、ブラックのダイアルには、電鋳手法によって砂地模様が施されており、モノトーンながらささやかに個性を演出。モダンな一面を見せるだけでなく、針・インデックスが切り立ち、かつメインダイアル、サブダイアルがそれぞれ異なる仕上げを放つことで、視認性の確保にもつながっている。
搭載するCal.0210は、フリースプラングテンプや、微細加工技術「LIGA工法」によって製造された精密な脱進機を採用するなど、高度な技術が駆使されたムーブメントだ。約60時間のパワーリザーブを有しており、トランスパレント仕様のケースバックからのぞくバックビューにも、その先進性が表れている。
MR-G「MRG-B5000B-1JR」
計算機、デジタルカメラ、電子楽器など、幅広い電子機器を手掛けるカシオ計算機株式会社は、国内外問わないシェアを誇る、エレクトロニクス産業の大手メーカーである。そして、2024年で参入から50周年を迎えた時計産業においても、多種多様なモデルを展開し、時計市場において確固たる存在感を確立している。
特にG-SHOCKは、同社の革新性を象徴する存在であり、ベーシックなラインからハイエンドまで、幅広い年齢層に当てはまるモデルがそろっている。
そんなカシオが誇るG-SHOCKの最高峰である「MR-G」は、40代の男性が着用するうえでお勧めのコレクションだ。中でも、「MRG-B5000B-1JR」は、オリジンとも呼ばれる初代G-SHOCKを、最高峰の技術と素材でリビルドした1本であり、手元に遊び心を演出する、魅力的なモデルとなっている。
タフソーラー。フル充電時約22カ月(パワーセーブ時)。64Ti×コバリオン(縦49.4×横43.2mm)。20気圧防水。49万5000円(税込み)。
本作の外装には、「DAT55G」と呼ばれるチタン合金と、コバルトクロム合金である「コバリオン」を採用することで、フルメタルでありながら高級感と、オリジンを思わせる黒い外観、そして類まれなタフネスすべてを維持することに成功している。なお、複雑な形状のケースは、細かいパーツに分断して個別に磨き上げられている。これを実現する「マルチガードストラクチャー」構造によって、最高峰モデルにふさわしい輝きとともに、高い耐衝撃性を確保しているのだ。
レンガパターンやレッドのサークルラインといった、オリジンから継承した各種ディテールも本作の魅力と言える。さらに、ゴールドの差し色を加えることで高級感も与えられており、コレクション全体で妥協のない仕上がりを見せている。
なおG-SHOCKらしく、本作は機能性も充実している。高い耐衝撃性に20気圧防水を備えており、ソーラー発電機能、電波受信機能、Bluetoothによるスマートフォンとの連携機能など、便利機能が満載となっている。
オリエントスター「M34 F8スケルトン」
オリエントスターは、日本が誇る国産腕時計ブランドのひとつだ。「オリエント時計株式会社」のフラグシップとして、1951年にその歴史をスタートした。現在に至るまで機械式時計の製造に注力しており、2017年のセイコーエプソンとの統合を経てからは、先端技術を活かした、より独創的なウォッチメイキングを展開している。
そして、2023年よりリリースされている、星雲や星団をテーマとした「Mコレクションズ」は、オリエントスターの独創性が強く表れたコレクションとなっている。そのうちのひとつ、「M34 F8スケルトン」は、個性を重視する40代の男性におすすめしたい手巻き式時計だ。
自動巻き(Cal.F8B61)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径39mm、厚さ10.8mm)。5気圧防水。36万3000円(税込み)。
大胆にスケルトナイズされたダイアルを特徴とする本作は、のぞく機構の随所に宇宙から着想を得たディテールを持つ。スモールセコンドから垣間見える、天の川銀河系をイメージしたブルーのシリコン製がんぎ車や、彗星を想起させる9時位置の特徴的な抜き形状などが印象的で、ダイアルの奥の奥までのぞいてみたくなるような魅力を備えたモデルに仕上がっている。
また、コレクション全体をグレートーンとし、そこにブルーの針を配置することで、視認性を確保しつつ、落ち着きのあるコンテンポラリーデザインが構築されているのも特徴だ。スケルトンウォッチを数多く手掛けてきたオリエントスターらしい、センスよくまとめられた1本と言えるだろう。
ムーブメントには機械式のCal.F8B61を搭載しており、パワーリザーブは約70時間を備えている。ローターを持たない手巻きムーブメントであり、その薄型構造は腕時計自体のスリム化にも貢献している。
ミナセ「セブン ウィンドウズ」Ref.VM15-M01NBL-SSB
秋田県の皆瀬に製造拠点を置くミナセは、2001年より腕時計製造をスタートしたブランドだ。高性能工具を手掛けるKYOWAを母体に持ち、“100年後も語り続けることのできる時計を作る”という目標のもと、自社の技術を活かした優れた仕上げや、独特の構造美を持つコレクションを展開している。
自動巻き(Cal.KT7002)。SSケース(縦46.5×横37.4mm、厚さ13mm)。5気圧防水。66万円(税込み)。
ミナセからは、HiZシリーズ(「秀ず」から由来する)、に属する「セブン ウィンドウズ」のブルーモデルをセレクトした。名前の通り、風防、ケースサイド、バックに合計7つの窓を持つ、インパクトのあるコレクションだ。「ケース イン ケース構造」と呼ばれる、2重のケース構造を採用しており、7つの窓から立体感のあるデザインを隅々まで楽しむことができる。また、ケース中央に配置されたブルーダイアルには、上品なサンレイ仕上げが施されており、ビジネスからカジュアルまで好適なモデルとなっている。
さらに、ミナセ独自の「MORE構造」も本作の魅力となるだろう。組木細工から着想を得たこの構造は、パーツを可能な限り細分化し、研磨してから組み上げることで完成に至る。これにより、それぞれのパーツが歪みない輝きを備えるだけでなく、メンテナンスの利便性の向上にもつながっている。ケース製造において高い技術力がなくては実現しない、ロマンにあふれた仕様と言える。
内蔵するムーブメントには、ETA2892ベースのCal.KT7002を採用しており、シースルーバックからは、独特なオープンワークが施されたローターを含め、そのムーブメントを鑑賞することができる。