グランドセイコーが2024年に発表した限定モデル12本をまとめて紹介

FEATUREその他
2024.12.12

例年、多くの限定モデルを発表することで有名なグランドセイコー。本記事では2024年に発表された限定モデルをまとめて紹介する。本年は「Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン」の新作および、手巻き10振動のハイビートムーブメント、Cal.9SA4の発表と、それを搭載した「45GS」復刻デザインの発表がトピックスだろう。また、スプリングドライブムーブメントCal.9R、誕生20周年にあたり、記念モデルが発売された。いずれのモデルも数量限定のため、基本的には市場在庫のみとなる。

佐藤しんいち:文
Text by Shinichi Sato
[2024年12月12日掲載記事]


2024年に発表されトピックスと呼ぶべき注目を集めたモデル

 まずは2024年に発表され大きな注目を集めたモデルを紹介しよう。トゥールビヨンとコンスタントフォースを同軸上に搭載した「Kodo」の新作が発表された。また、手巻きのハイビートムーブメントCal.9SA5を搭載した限定品である「SLGW002」も見逃せない。そしてグランドセイコーのレジェンドである「45GS」のデザインを復刻した「SLGW005」「SLGW004」を忘れてはならない。

前作と対を成す、夜明け前の薄明りをテーマとした「Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン」

Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン

グランドセイコー「Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン」Ref.SLGT005
手巻き(Cal.9ST1)。44石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。プラチナ950×ブリリアントハードチタンケース(直径43.8mm、厚さ12.9mm)。10気圧防水。世界限定20本。4950万円(税込み)。

 世界で唯一、トゥールビヨンとコンスタントフォースを同軸上に搭載する機構を持つ「Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン」の新作が発表された。2022年に発表された前作は、宵闇をイメージしてムーブメントを黒一色で仕上げたのに対し、今作は夜明け前の薄明りをテーマとして明るい色調にまとめられている。

 Kodoの特徴をおさらいしよう。開発テーマは機械式時計で可能な限りの高精度を実現することであった。そのアプローチとしてグランドセイコーは、主ゼンマイのトルク伝達を均一にするコンスタントフォースと、トゥールビヨンのキャリッジを同軸上に配置する機構を完成させ、2020年にコンセプトモデル「T0コンスタントフォース・トゥールビヨン」として発表。発表時にムーブメントの状態であったT0をブラッシュアップし、腕時計としてまとめたKodo コンスタントフォース・トゥールビヨンが2022年に発売された。

 この特徴的な機構によって、テンワの振り角の変動はコンスタントフォースにより抑えつつ、同時にトゥールビヨンによって姿勢差も軽減している。また、このコンスタントフォースは1秒間に1回作動するため、8振動(2万8800振動/時)のKodoの作動音は16ビートを奏で、聴覚をも刺激する作品に仕上がっている。

 本作に搭載されるCal.9ST1は、テーマとする薄明りから想起される静やかなシルバーカラーで仕上げられている。340を超えるパーツは光が透過する十分な空間を設けながら組み上げられており、光の入射によって照らされる部分とパーツによる影が重なり合ってグラデーションとなり、時と共に変わりゆく夜明け前のような情景をケース内に表現している。また、前作では受け石としてルビーを用いていたが、本作ではその色調に合わせてブルーサファイアを採用している。

 本作に組み合わされるストラップは、革の鞣しと漆塗りの技法を融合させた「姫路 黒桟革(くろざんがわ)」の中でも、白漆で仕上げたものを使用する。さらに付け替え用として、チャコールグレーのクロコダイルストラップが付属する。

約50年ぶりとなる手巻きムーブメントCal.9SA4の発表と共に発売された「SLGW002」

SLGW002

グランドセイコー 「エボリューション9コレクション 手巻きメカニカルハイビート36000 80 Hours 限定モデル」Ref.SLGW002
手巻き(Cal.9SA4)。47石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約80時間。18KPGケース(直径38.6mm、厚さ9.95mm)。3気圧防水。世界限定80本(うち国内50本)。605万円(税込み)。

 グランドセイコーから、Cal.9SA5をベースとする10振動の手巻きムーブメント、Cal.9SA4が発表され、それを搭載したレギュラーモデル「エボリューション9コレクション 手巻きメカニカルハイビート36000 80 Hours SLGW003」と限定モデルSLGW002が発表された。グランドセイコーから新型の手巻きムーブメントが発表されるのは約50年ぶりとなる。

Cal.9SA4

搭載される10振動の手巻きムーブメントのCal.9SA4。大型のプレートには「グランドセイコー 雫石」の近くを流れる雫石川の流れを表現した繊細なストライプが施される。

 Cal.9SA4は、Cal.9SA5の特徴であるデュアルインパルス脱進機とダブルバレルによる約80時間のロングパワーリザーブかつ10振動のハイビートを継承しつつ、手巻き式に改めたものだ。Cal.9SA4はローターが無いためムーブメントの造形を隅々まで堪能できる他、コハゼとコハゼバネを大幅に改良したことで巻き上げ感が良好であり、手巻き式を選ぶ楽しさを訴求したものとなっている。このコハゼの形は、盛岡市の鳥であり、メカニカルウォッチが作られるグランドセイコースタジオ 雫石の敷地内でもその姿が見られるセキレイに着想を得ている。

 SLGW002のデザインは、Cal.9SA5と、それを搭載したエボリューション9の初作となる「SLGH002」をベースとしたものだ。現在のグランドセイコーのデザインコードである「グランドセイコースタイル」を色濃く反映しており、平面で構成されたケースシルエットや、力強いインデックスと時分針からその特徴が感じられる。ダイアルはエボリューション9の象徴的なテクスチャーと言える「白樺」の樹皮から着想を得た型打ち模様だ。レギュラーモデルのSLGW003はブリリアントハードチタンモデルで、限定となるSLGW002は18Kピンクゴールドモデルとなり、一層華やかな仕上がりだ。

往年のグランドセイコーファン歓喜の「45GS」復刻デザインが発表

SLGW005

グランドセイコー「ヘリテージコレクション 45GS復刻デザイン 限定モデル」Ref.SLGW005
手巻き(Cal.9SA4)。47石。36000振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径38.4mm、厚さ10.4mm)。3気圧防水。世界限定1200本。134万2000円(税込み)

 現在のグランドセイコースタイルを形作ったのは1967年発表の「44GS」である。その翌年に登場したのが、44GSのデザインを踏襲した「45GS」であり、45GSはブランド初の手巻き10振動のハイビートムーブメント、Cal.4520を搭載したことが特徴であった。

 本作は、グランドセイコーの重要なマイルストーンである45GSのデザインに、オリジナルモデルの特徴を継承した10振動の手巻きムーブメントのCal.9SA4を搭載する。ケースデザインは、オリジナルモデルを現代の技術によって再現したもので、歪みの無い鏡面を連ねたフラットな表面と、ケースサイドのカーブによるエッジが効いている点が見どころとなっている。文字盤デザインもオリジナルモデルに準拠したものであり、12時位置にSEIKO、6時位置にGSのロゴとHI-BEATおよび、振動数を示す36000と、オリジナルモデルの発祥の地を示す第二精工舎のロゴマークが配される点は、往年のグランドセイコーファンも満足な仕上がりであろう。

 また、オリジナルモデルへのオマージュとして、ステンレスモデルに加えて18Kイエローゴールドモデルも同時に発売される。

SLGW004

グランドセイコー「ヘリテージ コレクション 45GS復刻デザイン 限定モデル」Ref.SLGW004
手巻き(Cal.9SA4)。47石。36000振動/時。パワーリザーブ約80時間。18KYGケース(直径38.4mm、厚さ10.4mm)。3気圧防水。世界限定200本。423万5000円(税込み)


スプリングドライブ、Cal.9R誕生20周年を記念した限定モデル5種

 一般的な機械式時計の原理は、主ゼンマイのほどける力をテンワや脱進機の働きによって一定リズムに整えており、時計の精度向上は、機械的な往復周期の安定性や作動に伴う抵抗との戦いである。スプリングドライブは、精度向上を目的に従来と全く異なるアプローチが取られている。機械式時計同様の主ゼンマイを原動力としながら、その力の開放をクォーツの周期を基準にICによって制御することで高精度を実現し、副次的に流れるような秒針のスイープ運針を生み出している。1970年代後半に基礎開発が始まったスプリングドライブは、約20年後の1999年に発売が開始され、グランドセイコー専用設計のスプリングドライブムーブメント、Cal.R86が2004年に発売された。本年はCal.9Rの誕生20周年にあたり、それを記念する限定モデルが発表された。

穂高連峰の朝焼けを映す雪原のようなライトピンクの限定モデル「SBGA497」

SBGA497

グランドセイコー「ヘリテージ コレクション キャリバー9R 20周年記念限定モデル」Ref.SBGA497
自動巻きスプリングドライブ(Cal.R65)。30石。パワーリザーブ約72時間。ブライトチタンケース(直径41mm、厚さ12.5mm)。10気圧防水。世界限定1500本(うち国内650本)。86万9000円(税込み)。

「ヘリテージコレクション キャリバー9R 20周年記念限定モデル SBGA497」は、スプリングドライブムーブメントを生み出す信州 時の匠工房から望む穂高連峰をテーマにしたモデルで、このテーマは過去の名作に因んで選ばれている。

 全体のデザインは、グランドセイコー初のスプリングドライブモデルである「SBGA001」および「SBGA003」を継承したもので、7時位置のパワーリザーブ表示は、本作だけでなく、スプリングドライブモデルのアイコンのひとつとなっている。

 テーマとする穂高連峰の山々は、毎年数か月間にわたって雪に覆われ、ひんやりとした乾いた空気の中で、風に吹かれた雪面が繊細な風紋を作り上げることが知られている。その雪面をデザインソースとしたダイアルパターンを初めて採用した「SBGA211」は、グランドセイコーのスプリングドライブモデルを象徴するモデルであった。本作も、雪面の風紋を取り入れたダイアルパターンを採用し、雪原が朝焼けに染まったような柔らかなピンクのグラデーションに仕上げている。

夏の穂高連峰の朝焼けのような力強さのある限定モデル「SBGE305」

SBGE305

グランドセイコー「スポーツ コレクション キャリバー9R 20周年記念限定モデル」Ref.SBGE305
自動巻きスプリングドライブ(Cal.9R66)。30石。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40.5mm、厚さ14.7mm)。20気圧防水。世界限定1300本(うち国内600本)。84万7000円(税込み)。

「スポーツコレクション キャリバー9R 20周年記念限定モデル SBGE305」は、柔らかな色調の「SBGA497」と対照的な力強い印象にまとめられている。テーマとするのは同じく穂高連峰で、SBGE305は穂高連峰の険しい岩肌と、そこに反射する夏の朝焼けの情景を表現し、赤みの強いブラウンを基調に仕上げられている。

 夏らしいスポーティーな仕立ての本作にはGMT表示機能に加え、20気圧防水と、アクティブなユースを想定して手の甲に干渉しない4時位置に配置されたリュウズを備える。

夏の穂高連峰の朝焼けを表現する新たな手法を取り入れた「SBGC275」

BGC275

グランドセイコー「スポーツコレクション キャリバー9R 20周年記念限定モデル」Ref.SBGC275
自動巻きスプリングドライブ(Cal.9R96)。50石。パワーリザーブ約72時間。ブライトチタンケース(直径44.5mm、厚さ16.8mm)。20気圧防水。世界限定700本(うち国内500本)。183万7000円(税込み)。

「スポーツコレクション キャリバー9R 20周年記念限定モデル SBGC275」も夏の穂高連峰の朝焼けをテーマとし、新たな技法で時の移ろいを文字盤で表現している。その技法とは、光学多層コーティングだ。一般的な塗装は特定波長の光以外を吸収することで、残った光によって色を生み出している。一方、光学多層コーティングは、PVDを重ねた薄膜によって各波長の光の反射率や透過率をコントロールし、特定の色を強く反射、あるいは透過させる技術である。これにより、本作のように文字盤に施した型打ち模様を際立たせながら、光の角度によって色彩を変化させる繊細な表現が可能となっている。

 本作がテーマとするのは、夜が明けきらない夏の穂高連峰において、太陽の赤い光が山々を照らすことで薄紅色に染まった後に、徐々に東雲色へと変化してゆくわずか30分の情景である。山々のテクスチャーを型打ち模様で、光学多層コーティングで移り行く繊細な色調を表現している。

 搭載するムーブメントは、標準仕様のCal.9R86を更に高精度にしたスプリングドライブクロノグラフムーブメントのCal.9R96である。Cal.9R86が平均月差±15秒(日差±1秒相当)であるのに対し、Cal.9R96は平均月差±10秒(日差±0.5秒相当)の精度を実現している。特別仕様の証として、回転錘に18KYG製の獅子の紋章をあしらっている。

秋の穂高連峰を朝日が照らす様を映した「SBGY035」と「SBGA499」

SBGY035

グランドセイコー「エレガンスコレクション キャリバー9R 20周年記念限定モデル」Ref.SBGY035
手巻きスプリングドライブ(Cal.9R31)。30石。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径38.5mm、厚さ10.2mm)。日常生活防水。世界限定700本。116万6000円(税込み)

「エレガンスコレクション キャリバー9R 20周年限定モデル SBGY035」と「SBGA499」は、落ち着きも感じられる秋の穂高連峰の情景を、エレガントなドレスモデルにまとめ上げている。ダイアルに表現するのは、秋の夜明けに朝日が山々に射し込み、その岩肌と紅葉が赤く染まる様である。

 SBGY035では、文字盤に穂高連峰の岩肌を表現した型打ち模様が施され、山肌に反射する朝日を思わせる色調が与えられている。搭載されるのは、手巻きのスプリングドライブムーブメントのCal.9R31であり、2つの主ゼンマイを用いたデュアル・スプリング・バレル機構によって約72時間のパワーリザーブを実現する点が特徴である。また、その薄型設計によって、時計の仕上がり厚さは10.2mmに抑えられている。

SBGA499

グランドセイコー「エレガンスコレクション キャリバー9R 20周年記念限定モデル」Ref.SBGA499
自動巻きスプリングドライブ(Cal.9R65)。30石。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40.2mm、厚さ12.8mm)。10気圧防水。世界限定1300本。79万2000円(税込み)

「SBGA499」も赤を基調としながら、紅葉に朝日が反射する様を表現し、より鮮やかな色調に仕上げられている。また、立体感のあるパワーリザーブ表示はサーモンピンクとし、文字盤上のアクセントとなっている。


セイコー発祥の地である銀座をテーマとした限定モデル

 各国の有名ブランド日本旗艦店が立ち並ぶ世界有数のショッピングスポットである銀座は、セイコー創業の地であり、現在も「グランドセイコーブティックフラッグシップ和光」やセイコーウォッチ本社を構えるなど、セイコーにとってゆかりの深い街である。近年のグランドセイコーは、銀座をテーマとして、銀座でのみ購入可能な限定モデルを毎年ラインナップしてきた。本年も魅力あるモデルがラインナップされた。いずれのモデルも、シースルーバック仕様となり、その裏蓋には銀座限定モデルの証としてGINZA LIMITED EDISIONの表記が与えられている。

銀座の静謐な夜明けをダイアルに表現した限定モデル「SBGH317」

SBGH317

グランドセイコー「ヘリテージコレクション メカニカルハイビート36000 銀座限定モデル」Ref.SBGH317
自動巻き(Cal.9S85)。37石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径40.0mm、厚さ12.9mm)。10気圧防水。銀座6店舗限定530本。84万7000円(税込み)。

「ヘリテージコレクション メカニカルハイビート36000 銀座限定モデル SBGH317」がテーマとするのは、夜明けの銀座である。多くの人でにぎわう銀座も夜明けには人通りもまばらで、その時にしか見られない独特の静けさを湛える。夜空が明るくなりはじめ、街の姿が立ち現れるひと時を、薄紫色の文字盤で表現している。

 文字盤には、銀座限定モデルではおなじみの、俯瞰した銀座の街並みを抽象的に表現した銀座グリッドパターンが施されている。光が射し込むことでグリッドが不規則に光を反射して陰影を生み出すことが特徴で、柔らかな朝の光の下ならば、テーマである夜明け時の銀座の風景を映し出してくれることだろう。

SBGH317

銀座限定モデルの証として裏蓋に「GINZA LIMITED EDISION」の表記が与えられている。

 搭載ムーブメントは、グランドセイコースタジオ 雫石で組み立てられるCal.9S85である。シースルーバックからは、ブリッジやローターに与えられた仕上げと共に10振動ムーブメント特有の高速なテンワの動きを堪能することができる。

雨に濡れた夜の銀座をダイアルに映した「SBGA501」

SBGA501

グランドセイコー「ヘリテージコレクション 銀座限定モデル」Ref.SBGA501
自動巻きスプリングドライブ(Cal.9R65)。30石。パワーリザーブ約72時間。ブライトチタンケース(直径41.0mm、厚さ12.5mm)10気圧防水。銀座6店舗限定500本。94万6000円(税込み)。

「ヘリテージコレクション 銀座限定モデル SBGA501」も銀座をテーマとしつつ、ダークな色調で雨に濡れた夜の銀座を表現したモデルである。夜の闇と、雨による灯りの反射という塗装による表現が難しい色調は、特定の周波数のみ透過あるいは反射する光学多層コーティングを用いて表現されている。これにより、光の当たる角度によって黒や濃紺、紫などにほのかに色調が変化する表情が生まれ、多彩な光に包まれる夜の銀座を思わせる仕上がりとなっている。また、放射模様のダイアルに、降り注ぐ雨のような不揃いな分目盛りを水色で描き、それと呼応する水色のパワーリザーブインジケータを組み合わせている。

 搭載ムーブメントは、信州 時乃巧工房で組み立てられるスプリングドライブムーブメントのCal.9R65であり、降り注ぐ雨を想起させるようなスイープする秒針の動きを楽しむことができる。

秋の夕陽に染まるセイコーハウスをテーマとした和光限定モデル「SBGH357」

SBGH357

グランドセイコー「ヘリテージコレクション 和光限定モデル」Ref.SBGH357
自動巻き(Cal.9S85)。37石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約55時間。SS(直径40mm、厚さ12.9mm)。10気圧防水。和光限定85本。92万4000円(税込み)。

 本年も、和光限定モデルが発売された。「ヘリテージコレクション 和光限定モデル SBGH357」のテーマは、秋の優しい夕陽に染まるセイコーハウスの石壁で、その色彩からインスピレーションを得た薄いピンクがかかったオレンジ色の文字盤が特徴である。文字盤に施した縦横の繊細な筋目パターンが陰影を作り出し、夕陽の光と影を表現している。また、太陽の輝きを思わせるゴールドカラーのGSロゴと秒針も、文字盤の色彩にマッチしたものとなっている。

 搭載するのは10振動のメカニカルハイビートムーブメントのCal.9S85である。グランドセイコーを選ぶ理由のひとつにもなりうる10振動のハイビートと高い信頼性を誇る魅力あるムーブメントだ。裏蓋には獅子の紋章に加えて、WAKO LIMITED COLLECTIONの表記とシリアルナンバーが記される。限定数量の85本はムーブメントのCal.9S85に因んでいる。なお本作は、和光 本店1階 グランドセイコーフラッグシップブティック 銀座限定で販売された。

 2024年に発表されたグランドセイコーの限定モデルを総覧にして眺めると、夜明け前のひと時をテーマにしたモデルが多いことに気が付く。これはグランドセイコーのフィロソフィーで、自然の季節の移ろいからインスピレーションを受ける感性と、時の本質に迫ろうとする匠の姿という日本特有のふたつの精神性を表すTHE NATURE OF TIMEに呼応したものだ。そして、本年の夜明けの先に、2025年に何らかの幕開けが待っていることを示唆しているのではなかろうか? 筆者はそう思えてならない。

 夜明けのひと時という繊細な色彩を含んだ情景を表現するために新たな技法の採用も行われている。2025年はどんな魅力的なモデルが登場するのか、今から楽しみだ。



Contact info: セイコーウオッチお客様相談室(グランドセイコー) Tel.0120-302-617


よみがえった「45GS」。グランドセイコーの2024年新作「ヘリテージコレクション 45GS復刻デザイン 限定モデル」を振り返り!

FEATURES

あなたに似合うグランドセイコーは? しっくりくるには訳がある、骨格別時計選びのススメ!

FEATURES

時計業界のトレンドを牽引するグランドセイコーの文字盤。特筆すべきモデル3本からその実力を見る!

FEATURES