岩手山の七滝が厳冬期に凍てつく「七滝の氷瀑」を、文字盤に表現したブライトチタン製の新作が登場した。氷山を思わせるようなアイスブルーは、さまざまなコーディネートにも取り入れやすい1本だ。
厳冬期の岩手山に現れる「七滝の氷瀑」をテーマに、自然が生み出す氷の表情を、型押しとアイスブルーで文字盤に表現。ブライトチタン製のケースとブレスレットのザラツ研磨部や、針、インデックスが雪のきらめきのようだ。自動巻き(Cal.9S85)。37石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約55時間。ブライトチタンケース(直径40mm、厚さ13mm)。10気圧防水。101万2000円(税込み)。
Text by Shin-ichi Sato
Edited by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2025年3月号掲載記事]
「七滝の氷瀑」をイメージした文字盤
厳冬期のみ現れる大自然の景観を文字盤に表現したグランドセイコーの新作「ヘリテージコレクション メカニカルハイビート 36000 SBGH349」が発表された。テーマとするのは、本作に搭載される10振動の自動巻きムーブメントのCal.9S85を製造する「グランドセイコースタジオ 雫石」から程近い岩手山で、厳冬期にだけ見られる「七滝の氷瀑」だ。落差30mの大滝から流れ落ちる水が徐々に凍結することで生まれるこの現象は「アイスフォール」とも呼ばれ、その不規則な造形や、氷山にも似た青い色調を示すことが特徴である。長く厳しい冬に時間をかけて生み出され、春の訪れと共に溶けゆく氷瀑をテーマとする本作は、「THE NATUREOF TIME」をフィロソフィーとするグランドセイコーらしい。

SBGH349の見どころは、七滝の氷瀑をテーマとした文字盤の型押しとカラーだ。無数に刻まれた垂線の強弱によって変化に富んだ自然の造形を表現し、多面カットのインデックスと針に反射する光が雪のきらめきのようだ。氷瀑を表現したアイスブルーは本作のテーマに沿ったカラーであるのと同時に近年のトレンドでもあり、季節・シーンを問わずコーディネートに取り入れやすい。
ケースとブレスレットはセイコー独自の「ブライトチタン」製だ。その軽量さは着用感向上に大きく寄与し、また、チタンが持つ一般的印象とは異なった明るい色調を持つ。さらに、グランドセイコーが得意とするザラツ研磨によって下地処理が施されているため、歪みのないポリッシュを実現した。このポリッシュとマットな質感のコントラストが、グランドセイコースタイルに通ずる光と影の調和や立体感を際立たせている。