2022年、新開発のハイビートムーブメントとともに発表された「ウルトラ-クロン」。レトロなダイバーズウォッチは今年、カーボンという新素材を得て大胆に生まれ変わった。

ロンジンとして初めて、カーボン製ケースを採用した「ウルトラ-クロン カーボン」。ダイアルを含めた全体をモノトーンで統一し、モダンな印象に仕上げている。6時位置には、ウルトラ-クロンのロゴが輝く。自動巻き(Cal.L836)。25石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約52時間。Ti×カーボンケース(直径43mm、厚さ14mm)。30気圧防水。75万6800円(税込み)。
Text by Tsubasa Nojima
Edited by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2025年3月号掲載記事]
「ウルトラ-クロン」にカーボンケースが登場
ロンジンの「ウルトラ-クロン」に、同社初となるカーボンケースを採用した新作が加わった。
現行のウルトラ-クロンは、毎秒10振動のハイビートムーブメントを搭載した1968年のダイバーズウォッチを現代的によみがえらせたモデルだ。クッション型のケースや6時位置に輝くロゴなど、再現度の高いデザインもさることながら、新開発のハイビートムーブメントを搭載したことでも話題を集めた。高振動であることは理論上、外部からの衝撃などによる影響を受けにくく、高い携帯精度を得ることができる。まさにハイスペックなスポーツウォッチたる、ウルトラ- クロンにふさわしい仕様だ。
新作のケースに採用されたカーボンは、軽量かつ強度に優れた素材。カーボンファイバーとエポキシ樹脂を固めてから削り出すという製法ゆえ、ケースには個体ごとに異なるマーブル模様が浮かび上がる。この新素材の採用によって、本作はステンレススティールケースモデルと同じく30気圧防水を達成しながらも、大幅な軽量化を果たした。ベゼルとケースバック、リュウズにはチタンが採用され、これらも同様に軽量化へ貢献している。
外装の素材が変更となっただけではなく、カラーリングの変更によってモダンに仕上げたことも特徴のひとつ。ステンレススティールケースモデルではオリジナルに忠実であったが、本作ではモノトーンとすることで印象を一変させた。
常に高い支持を得るロンジンの復刻モデル。その評価の背景は、同社が長い歴史と豊富なアーカイブを擁しているからだけではない。過去に敬意を表しながらも、新たな価値を取り入れる不易流行なものづくりの姿勢こそ、復刻モデルをより輝かせているのだ。