タイメックス「MK1 オートマチック」はミリタリーウォッチの実用性を踏襲したマスプロダクト【着用レビュー】

2025.04.25

タイメックスの2025年新作「MK1 オートマチック」を、フリーエディターの竹石祐三氏が着用レビューする。ミリタリーウォッチの名作「キャンパー」をルーツとするだけあり、竹石氏もその実用性の高さには太鼓判を押している。

タイメックス MK1 オートマチック

竹石祐三:写真・文
Photographs & Text by Yuzo Takeishi
[2025年4月25日公開記事]


タイメックス「MK1 オートマチック」を着用レビュー

 時計愛好家にはおなじみの「キャンパー」をベースに、ムーブメントを自動巻きに替え、ケースも40mmにサイズアップしたのが、タイメックスが新たにリリースする「MK1 オートマチック」だ。キャンパーは軍用時計をルーツとするだけに、使いやすさには定評があるが、その派生モデルとなる本作の実力はいかに。ベーシックな3針モデルだからこそ求められる視認性や装着感を確かめながら、本作の魅力を詳らかにしていく。


ベースはアメリカの兵士が着用したディスポーザブルウォッチ

 そもそも「キャンパー」とは、ベトナム戦争時にアメリカの兵士に支給していたタイメックス製の軍用時計を、一般向けにリリースしたモデルだ。ベースとなった軍用時計は、樹脂製のケースに手巻き式のムーブメントを収め、引き通しタイプのナイロンストラップを組み合わせたもの。ごくシンプルな構造だが、これは、戦地では時計が壊れても修理する余裕がないという状況に起因している。つまり、時計そのものは必要十分な耐久性を備える一方で、修理や電池交換をせずに新品と交換できる時計が求められ、このようなディスポーザブル(使い捨て)ウォッチが製造された。

「アメリカ軍も認めたミリタリーウォッチ」という広告効果から、人気を博していった「キャンパー」。写真は当時の広告。

 アメリカ軍の要求を満たしたこの軍用時計は注目を集め、1980年代にはキャンパーと名付けられたコンシューマー向けモデルの発売が開始される。当初は手巻きムーブメントを搭載した36mmサイズの時計だったが、ほどなくしてケースを34mmにサイズダウンしたクォーツモデルを展開していく。その後、キャンパーは長らく生産されない状態が続いたものの、2015年に日本企画で復活。クォーツムーブメントを搭載したケース直径36mmの樹脂製モデルを筆頭に、現在は多彩なラインナップを展開しているが、こうしたキャンパーの系譜に連なるコレクションとして新たに追加されたのが、ステンレススティール製のケースに機械式ムーブメントを収めた「MK1」である。

タイメックス MK1 オートマチック

タイメックス「MK1 オートマチック」Ref.tx-tw2y07800
自動巻き。SSケース(直径40mm、厚さ12mm)。50m防水。4万4000円(税込み)。


視認性がさらに向上したダイアルデザイン

 MK1は2025年3月に手巻き式のモデルをリリースしており、これに続いて発売されるのが、今回インプレッションする「MK1 オートマチック」だ。最大の特徴は自動巻きムーブメントを搭載し、ケース直径を40mmにサイズアップしている点だろう。確かに、オリジナルのキャンパーが36mmケースであることを踏まえると40mmはやや大きめだが、実際に手首に載せてみると極端に大きいと感じることはない。文字盤が拡大したことで視認性は高まり、特に軽装となるこれからの季節は、手元にアクセントを添えられる点でも40mmケースは使いやすいはずだ。

 そして本作のダイアルは、インデックスのフォント変更に加えてミニッツマーカーを短く設定し、1/15秒の細かい目盛りも追加するなど、デザインをブラッシュアップ。現行の「オリジナルキャンパー」と比較するとモダンな表情になり、計器らしさが強まった印象を与える。その一方で、基本的なデザインはキャンパーを踏襲。ブラックの文字盤にホワイトのインデックスを組み合わせたスタンダードなデザインを取り入れているため、照りつける太陽の下でも文字盤が反射せず、確実に時刻を判読できる。もちろん、時分針とアワーマーカーには蓄光処理が施されているため、暗所での視認性も十分。これこそ、ミリタリーウォッチをルーツとした実用的なデザインといえるだろう。

タイメックス MK1 オートマチック

大きく記されたアラビア数字のインデックスと太い針を組み合わせ、さらにブラックの文字盤を採用することで高い視認性を確保。写真では確認しにくいが、アクリル製のドーム型風防によってミリタリー感を強めている。


力強いデザインとの好相性を見せるコーデュラナイロン製ストラップ

 引き通しタイプのナイロンストラップを組み合わせたオリジナルキャンパーとは異なり、MK1 オートマチックではコーデュラナイロン製のストラップを採用しているのも特筆だ。軍用品やワークウェアなどにも使われることの多いこの素材は、軽量ながら摩擦や引き裂きに強く、撥水性にも優れているのが特徴。オリーブグリーンに彩られたカラーも、軍用時計をベースとした力強いルックスとの好相性を見せている。しかも、このストラップはレザーのライニングを用いているため肌当たりもよく、適度な張りもあるため装着感は申し分ない。ただ本作は、カジュアルなシーンやスタイルでの着用が圧倒的に多いはず。となれば、ライニングにはラバーを合わせた方が、より着用シーンが広がったのではないだろうか。

タイメックス MK1 オートマチック

コーデュラナイロン製のストラップは耐久性に優れるだけではなく、一般的なナイロンとは異なるテクスチャーによって、本作のデザインをよりタフな印象にしている。

 もっとも、このストラップにはクイックレバーが備わっているため着脱は簡単に行える。ラグ幅も一般的な20mmで交換用ストラップも選びやすいため、着用するシチュエーションやスタイルに応じて付け替えるのもいいだろう。

タイメックス MK1 オートマチック

ストラップにはクイックレバーを装備。キャンパーのように引き通しタイプのストラップを組み合わせるのもいい。


幅広い層にリーチする実用性を備えた、まさにマスプロダクト!

 軍用時計のデザインから逸脱していない極めてベーシックなデザインゆえ、実に使いやすいというのが率直な感想だ。40mmのケースサイズは、トレンドを踏まえるとやや大きく感じられるが、それはあくまで時計好きの視点。一般的には40mmの方が時刻を判読しやすいのは明らかだ。しかも自動巻きムーブメントを搭載しているので、頻繁に巻き上げる必要がなく、デイト表示もないため操作もシンプル。MK1 メカニカルは奇を衒わないルックスと実用性を兼ね備えた、幅広い層にリーチするモデルと言えるだろう。



Contact info: 株式会社ウエニ貿易 Tel.03-5815-3277


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